毎年この時期に結果が出る社会福祉士試験の結果
1万2038人の社会福祉士が新たに誕生! 合格率は1.3ポイント減の28.9%
今回は前回に比べて合格率は多少下ったものの、概ねいつも通りの20%後半の合格率となりました。
僕が社会福祉士に合格したのは随分昔のことになりますが、その頃から合格率は大体3割と言われていたので、大きく難易度は変わっていません。
僕は前々から個人的に思っている事があり、誤解を恐れず言うと
「ケアマネは社会福祉士がやるのが、一番適切ではないか」
ということです。ちょっと説明しますね。
介護支援専門員が持っている資格
(引用:厚生労働省HP 単純集計による調査結果の概要)
これを見て分かる通り、ケアマネの基礎資格は圧倒的に「介護福祉士」「看護師」が占めており、大体全体の8割程になります。
一方で社会福祉士はこの2つに比べると少なく、全体の10%程度といった状況です。
ただ介護福祉士も看護師も基本は患者や利用者に直接ケアを提供する職種ですが、ケアマネはクライエントに対して「相談援助」とそれに基づいて、必要なケアを提供する人達を結びつける事が主な仕事になります。
つまり、直接自分がケアを提供するのではなく、その人に必要なケアをしてくれる人達とクライエントを結びつけるのが主な役割になります。
これを僕達社会福祉士は「社会福祉援助技術」と言い、これは大きく分けると
Ⅰ:直接援助技術
①ケースワーク ②グループワーク
Ⅱ:間接援助技術
①コミュニティーワーク ②ソーシャルワーク・リサーチ
③ソーシャル・アドミニストレーション
④ソーシャルアクション ⑤ソーシャル・プランニング
Ⅲ:関連援助技術
①ネットワーク ②ケアマネジメント ③スーパービジョン
④カウンセリング ⑤コンサルテーション
この中の「Ⅲ:関連援助技術」の中にしっかりとケアマネジメントが入っています。それ以外にも地域の社会資源とクライエントを結びつけるためのコミュニティワークやソーシャルアクション、ネットワーク。
さらに、僕が重要視している面接技術にも通じるカウンセリングと個人に焦点を当てるケースワークなど必要なスキルが含まれていることが分かります。
もちろん、介護福祉者や看護師でもこのような相談援助技術の学習はあると思いますが、全体のウェイトとしてはあまり大きくないと思います。それは職種の性質上どうしても、スキルに関する学習のウェイトが直接期なケアに関するものが多くなるからです。
ケアマネに求められるスキルは、社会福祉援助技術のような内容になるのは分かると思います。その為、僕自身は社会福祉士がケアマネをやるのが、これまでの経験やスキルを生かしやすいという意味で一番適切ではないかと考えています。
しかし、介護福祉士や看護師がケアマネをやるのが不適切だと言っているわけではありません。ただ介護福祉士や看護師からケアマネをやる場合は、
これまでの仕事の延長線 → ☓
これまでと全く違う仕事をする → ○
という新しいマインドの再セットが必要になります。
例えば建設現場で言えば、これまで図面を見て実際に材料などを組み立てていた大工さんが、突然お客さんと「こんな家を作りたい」と話を聞きながら図面を引き、何度も打ち合わせを重ねる。
こういった事が、大工さんの感覚のまま急に今日からやれますか?という話と同じです。図面を引くスキルもそうですが、お客さんを不快にさせない会話やコミュニケーションのテクニック、お客さんの本当のニーズを探り、引き出す能力や提案力も必要です。
そして、実際に図面を書き、それを現場の職人達に伝えて、どんな風に組み立ててほしいのか伝え、「そんなのできないよ」と言われた時のクライエントや会社、職人の人達との調整力も求められます。
このようなマインドの再セットができ、ケアマネに必要なスキルの獲得に努力されるのであれば、直接ケアをクライエントに行ってきた経験が生きる為、むしろ社会福祉士の経験しかないケアマネを上回る可能性も高いと思います。
逆に社会福祉士しか経験がない場合は、ケアマネをやる前にケアの現場を経験しておくといいかもしれません。
個人的には、もう少し同じ社会福祉士のケアマネが増えることを願っています。今回社会福祉士を合格された人で、一人でも多くの人がケアマネをやりたいと思ってもらえるよう、僕も微力ながら頑張っていこうと思います。