2024年4月からの介護保険改正に向けて、ケアマネ関連の改正情報も次々と出てきています。
そこでピックアップされた内容の一つ、それがサービス割合説明を努力義務化する事です。
これは特定事業所集中減算で算定しているサービス利用割合を、利用者に説明する事を義務化したもので、前回の介護保険改正、2021年4月から追加されたルールです。
「特定事業所集中減算って何?」って方はコチラをご参照ください。
またサービス利用割合の説明が義務化された事に関して、詳しい事はコチラの記事にまとめてありますのでご参照ください
今回のルール変更を知って僕が思った事は
だからこんな事をしても意味が無いって言ったのに!僕達ケアマネの労力は一体何だったんだ?
ではなぜ僕がこのように考えたのか?その理由についてまとめてみます
音声で聴きたい方はコチラから
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理由①説明を聞いても理解できない
まずそもそもですが、特定事業所集中減算のルールや、その算定をするための計算方法。その計算が年度内に2回行われている事を知っている人がどれだけいますか?
おそらくほとんどの人は知らないはずです。僕もケアマネになる前はこのようなルールがある事を知りませんでした。
この複雑なルールや計算方法、運営状況の内容を説明しても、高齢の利用者さんで理解できる人がどれくらいいるんでしょうか?多くの人がこう考えた事でしょう。
よく分からないし興味もないけど、ケアマネさんから説明受けた事を証明する為にこの書類にサインをしたらいいのね
大体こんな感じです。こんなやり取りを半年に1回程度のタイミングで全ての利用者にやらないといけないのです。非常に労力がかかっているのにあまり喜ばれない。ケアマネにとっては虚しい仕事の一つです。
この説明を義務化した理由、それが
公正・中立なケアマネジメントの推進の為
つまりルール改正した当時の厚労省の狙いはこうです。
②「なんでここは利用率がこんなに高いの?」という利用者からの質問にケアマネが挙動不審になる
③そんな様子を見て「なんかやましい事をしているんじゃないか?こんなケアマネがいる事業所は信用できん」と利用者が考え、集中率の高い事業所から利用者が減っていく。その結果、集中率が極端に高い運営状況の居宅は淘汰されていく
④そうなりたくないから、多くの居宅事業所は極端な集中状況の改善に向けて取り組むだろう
その理由については次にお話しします
理由②「集中率が高い=悪」じゃない
あなたはあまりよく分からない状態で、1ヶ所だけ飛び抜けて人気がある商品があったらどうしますか?
おそらく多くの人がこう考えるでしょう。
これだけ人気があるという事は、良い商品なのだろう。じゃないとこんな結果にならないだろうから
これは心理学で「社会的証明」と言います。僕達は何を選んで良いか?自分で判断できない時、他の人から多く選ばれているものを自分も選択しようとする心理が働きます。
つまりこのような説明をしても、十分な理解ができない場合は厚労省の考えとは逆の結果。つまり
「集中率の高い事業所を自分も選びたくなる」状態になる可能性が高くなるのです。
集中率の高い事業所というのは、ほとんどの場合は自分が所属している法人が経営しているサービス事業所になります。
今は昔に比べたら改善されてきていますが、それでも雇っているケアマネに対して自法人のサービスを利用者に紹介するよう圧力をかける経営者は大勢います。その結果、どうしても自法人のサービス利用率が高くなるのです。
しかしこれは必ずしも悪いわけではありません。利用者や家族からしても、あちこちの法人を利用するより、ケアマネが所属している法人のサービスで固めたほうが連絡なども一本化できるのでやりやすいという声はたくさんあります。
たとえケアマネから
「別に自分達の法人のサービスを利用する必要はないんですよ。他の法人のサービスを利用しても構わないんですよ」
このように説明しても、わざわざ以前利用していた法人のサービスを解約してまで同じ法人にしてほしいというニーズも結構あります。
それは利用者や家族側の負担軽減。加えて
「ケアマネも同じ法人の人達とのほうが連携しやすいだろう」=「ケアマネが連携しやすいという事は、自分達へのサービスの質も高くなる可能性がある」
という考えもできます。このような事から別にケアマネから誘導などしなくても同じ法人のサービス利用を希望される事も多いのです。
このような事からも「集中率が高い=悪」という単純な考えは成立しません。
努力義務になるのはありがたいが、今までの労力は何だったんだ?
このルールが努力義務になるのはありがたい事です。努力義務とは「やるように努めてね。ただしやらなかったからと言って別にお咎めとかは無いから」という事です。
このルールが努力義務になれば、サービス割合を積極的に説明するケアマネはほとんどいなくなるでしょう。なぜなら先述したように利用者とケアマネ、双方にメリットがほぼないからです。
ただそうなるとこのような問題が浮上します。
僕達ケアマネのこの3年間の労力は一体何だったんだ?
このルール改定が起きた時、ほとんどのケアマネから大ブーイングでした。それはケアマネの負担が重くなる事に加えて、それだけの労力をかけるメリットが全く見えないからです。
仮に負担が重くなったとしても、それが最終的に利用者や家族などのクライエントの利益に繋がるのであればまだやりがいがあります。しかしそんなメリットも全く見えない。だから猛反対だったのです。
しかしゴリ押しで通ってしまったので、ケアマネの人達は必死になって書類を作り、利用者にできるだけ分かりやすいように説明を丁寧に繰り返してきました。その結果が
あんまりやっても意味ないっぽいから、止めちゃいます
これに対して僕を含め、この記事を読んでくれているあなたはこう思いませんか?
ふざけるな!だからやる前から「止めろ」って言ったんだよ。俺達の時間と労力を返せ!
あと細かい事ですが、今回の変更があくまでも「努力義務」であることにも注目です。
これ、要するに「自分達の考えは間違ってはいなかった。しかしケアマネさんの負担を軽くしてあげたいから、渋々努力義務にしてあげるだけだから。本当はやってもらったほうがいいんだからね」
これです。
素直に自分達が無意味なルール改正をした事でケアマネに迷惑をかけた事を謝罪するのであれば百歩譲ってこちらも落とし所を探せたかもしれません。しかし反省するどころか見苦しい言い訳をして自分達の行いを正当化している。これが国の僕達への態度であり姿勢なのです。
このような国がやってくるルール改正にロクなものはありません。事実ここまで出ている内容で、ケアマネの処遇が大きく改善しそうなものは一つも見当たりません。
これ以上ケアマネの労力が国に搾取されるのは見過ごせない。その為にも一人一人が声を挙げていく必要があると思います。
「ケアマネになりたい、でも試験に全然受からん」
こんな人へ。大丈夫、ケアマネ試験は正しい勉強方法を知っていれば誰でも受かります
僕が試験に一発合格した時に使った方法を教えます
次こそ試験に合格して、周りの人達を見返してやりましょう。その方法をこのnoteに余すことなく書き上げましたので、試験に受かりたい人は読んでみてください