興味深いニュースが入ってきました。
「居宅介護支援の管理者、4割強が主任ケアマネ資
居宅介護支援は平成30年度の介護保険改正により、次回改正の2021年4月以降は、居宅介護支援の管理者は「主任ケアマネ」以外認めないとされました。
つまり、この時点で2021年4月までに、現体制のままではどう頑張っても実務経験年数が足りないなどの理由で主任ケアマネが取得できない事業所は、実質の「廃業」が決定されたという恐ろしい改正なのです。
「廃業したくなければ、主任ケアマネを外から雇うなり努力しろ」というのが国からのメッセージです。
しかし、例えば一人事業所等は、そもそも人を雇うお金などありません。また2~3人の小規模事業所等も誰かが取得できなければ廃業だし、そのような小さな事業所が募集をかけた所で、主任ケアマネが来てくれる可能性は低いと考えます。
なぜなら、今後はこの改正までに居宅事業所同士で主任ケアマネの取り合いが起こる事が予想されるからです。
主任ケアマネの立場からすると、複数の事業所から「是非うちに来てください」と引く手あまたな状態です。
つまり、主任ケアマネは「働く事業所を選択する権利」が今後より強くなります。そのような状況で、大手よりどう頑張っても条件を良くできない小規模事業所に主任ケアマネが来てくれるのか?恐らく難しいでしょう。
もう一つ起こる問題ですが、主任ケアマネの研修の駆け込み受講が膨大な数になり、そもそも条件を満たしている全てのケアマネに期日までに受講させられるのかという問題です。
これに考えられるパターンは2つあります。
①タイムリミットまでには、条件を満たしている人は研修規模を拡大させるなどして強行策で受講させる。
→研修の質が下って、結果質の低い主任ケアマネが大量生産される
②ひとまず、主任ケアマネの取得要件を満たしている人は申請などして「暫定主任ケアマネ」みたいな立場で管理者として認められる
→研修受けてないから、結局主任ケアマネとしての責務が果たせなくて意味がない
どうでしょう?個人的にはどちらにしてもあまり良い結果をもたらしそうにない気がします。
そもそも論ですが、僕は一律に「居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネ以外認めない」という点に疑問を持ちます。
これまでの特定事業所加算を取得する事業所であれば、加算を取得する分の質の担保として主任ケアマネを配置して事例検討や定期研修、困難事例の受け入れ、地域のケアマネへのスーパーバイズ、等するのはある程度納得できます。
しかし、1~3人程度の小規模の居宅事業所もたくさんあります。そのような事業所では主任ケアマネを雇う事の難しさや、主任ケアマネがいても特定事業所加算の取得要件を満たせなくて取ってない事業所もあります。
ですが、そのような小規模事業所が大手の特定事業所加算取得している事業所よりも「質が低い」とは僕は決して思っていません。
むしろ、大手だとなんだかんだ理由をつけて断るような予防の方や、身寄りのない生活保護受給者、困難ケースと呼ばれる人達を積極的に受け入れているところはたくさんあります。
そして、そのような大変なケースをたくさん経験しているからこそ、大手の型通りやマニュアル通りだけの業務しかしていない特定事業所よりもケアマネの質が高いことはよくあるのです。
今回の改正は、そのような質の高いケアマネがいる事業所を国が潰しにかかったという「暴挙」であると僕は思います。
僕のこの件での結論は「理想は管理者が主任ケアマネであることだが、一律それしか認めない決定には反対だし、必要ない」です。
次の改正でこのルールの廃止、あるいは改正をしてくれることを希望します。