ヘルパーのコロナ裁判、今後僕達がやらなければいけない事とは?

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ヘルパーのコロナ裁判、今後僕達がやらなければいけない事とは? ニュース

先日介護業界はおろか、全国的に注目されるニュースが発表されました。

広島県三次市で、新型コロナウイルスに感染して亡くなった遺族が、感染したのはヘルパーのせいだとして裁判を起こしたというもの。

この裁判結果的には和解になったのだが、この部分だけ切り取って見ると多くの人がこう思ったのではないでしょうか?

「こんな裁判で有罪が普通に認められたら、介護や医療の仕事なんてやってられない」

「一体どこまでこっちの責任にされてしまうのか?」

どうしてもまず感情的に考えてしまうと思います。僕も正直最初に感じた印象は

「とんでもない事が起きてるな・・・」

というものです。しかし冷静にまずは報道で分かっている限りにはなりますが、事実確認をしていきましょう。

亡くなった利用者Aさん(82)

ヘルパーBさん

三次市で初めてコロナ感染が確認された高齢のCさん

Cさんは3月28日に発熱などのコロナを疑う症状が出現。4月8日のPCR検査で陽性である事が判明。

一方ヘルパーBさんはAさん、Cさんの2人に対して訪問介護のサービスを提供していた。3月31日に発熱等の症状が出たが、翌日の4月1日には改善した為そのままAさんへのサービス提供を続けた。4月1日以降だと2日と6日にサービス提供を行った。

Aさんは4月3日から咳などの症状が出ていた。

Cさんの陽性が確認された4月8日以降はAさんもヘルパーBも濃厚接触者と認定。4月9日にはAさんが、4月10日にはヘルパーBが共に陽性と認定された。

Aさんは4月19日、新型コロナウイルスによる肺炎で死亡。

遺族は「新型コロナウイルスに感染したのはヘルパーBからしか考えられない」として、訪問介護の運営会社に感染への安全対策が不十分だったとして、安全配慮義務違反で損害賠償4400万円を求め、広島地裁に提訴した

これが報道等で分かっている事実の情報です。

まず大前提として、「発熱があったヘルパーを訪問させたことへの是非」について整理します。

現在新型コロナウイルスが疑われる状態像というのは次のように示されています。

▽少なくとも以下のいずれかに該当する場合には、すぐに相談を(これらに該当しない場合の相談も可能)
▼息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
▼重症化しやすい方(高齢者、糖尿病・心不全・呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方、透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
▼上記以外の方で「発熱や咳など比較的軽い風邪の症状」が続く場合(症状が4日以上続く場合は必ず、「強い症状」と思う場合にはすぐに相談を。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様)

引用元:厚労省 新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について 

これをベースに各介護事業所は、発熱が見られた職員の対応方法などを決めていると思いますが、熱があってもすぐ下がり、体調に問題がない場合は体調観察と感染予防策を行うことが大前提ですが、業務に従事させる場合がほとんどではないでしょうか?

つまり、運営会社がヘルパーBを4月1日以降、業務に従事させた事自体は問題ないと思います。

ここでは2つ、考えられる想定の話をしていきます。

①ヘルパーがマスク使用等の感染対策を十分にできていなかった

①ヘルパーがマスク使用等の感染対策を十分にできていなかった

あまり考えられない事ではあるのですが、ヘルパーBがAさんに対してマスクの使用等、標準的な感染予防策(スタンダートプレコーション、以下SP)ができていなかった可能性です。

ちょうど4月頃はマスクを中心に必要な物資が大幅に不足した時期です。比較的規模の大きい医療法人であったり社会福祉法人等であれば備蓄していたマスクでしばらく乗り切る事ができたと思うのですが、小規模の故人が運営している会社などでは物資が足りず、マスクなどを職員個人で用意するように指示していた事業所も存在していたと聞きます。

その場合マスクをつけずに仕事をしていた可能性もあります。或いはマスクが手に入らず、長期的に使い捨てマスクを使用し続けていた可能性もあります。

さらにマスクをつけていたとしても、手洗い等の他のSPは十分だったのか?ヘルパーへの教育が十分でなく、この辺りが不十分だった可能性もあります。

仮にそうであった場合は、残念ながら必要な感染対策が行われていなったと言われてもおかしくありません。この場合であれば運営会社は責任を取る必要があります。

②感染へのSPが十分に行えていた

②感染へのSPが十分に行えていた

2つ目に感染へのSPが十分に行えていた場合です。

この場合は恐らく裁判を起こされたとしても負ける事はありません。何故なら運営会社は必要な安全配慮義務を守っていると言えるからです。

必要な安全配慮義務、今回の件で言えば感染症へのSPですが、それを行っていたとしても感染症へのリスクを100%予防できるわけではありません。Aさんが亡くなった事は僕も大変残念ではあると思いますが、その原因が運営会社にあるとは言えないのです。

コロナの時代、事業所はどうすれば自分達の身を守れるのか?

コロナの時代、事業所はどうすれば自分達の身を守れるのか?

今回の裁判は、結果として和解に至りましたがこれをきっかけに同じような事で全国各地の介護事業所が「事業所のせいで、新型コロナに感染させられた。責任を取れ」というような事が起きる可能性があります。

これに対して僕達はどうやって自分達の身を守り、リスクに対処すれば良いのでしょうか?

①事前にどのような感染対策をしているのか説明する

サービス提供する前に必ず契約と重要事項説明をしますよね。その際に自分達の事業所が新型コロナを始めとした感染症に対してどのような対策をしているのか説明しておきましょう。

対策と言っても、基本的には特別な事をする必要は全くありません。一般的なSPで十分です。

・マスクの常時着用
・ケアの前後に手洗い・アルコール消毒を行う
・職員は業務開始前に必ず体温などの健康チェックを行う
・発熱・嘔吐等の感染症が疑われる利用者への対応は、できるだけ最低限の職員だけで行う。使い捨てガウンやフェイスシールドなどの防護用具の使用

②サービスを断る条件も伝えておく

介護事業所は利用者を守る事ももちろんですが、そこで働く職員も守る必要があります。

新型コロナの感染症が疑われる利用者、或いはその家族が疑われる場合もあるでしょう。その場合はサービス提供を断る場合もあるのですが、先に説明しておかないとトラブルの元になり、場合によっては「サービスを不当に断られた結果、状態が悪化した」等と訴えられる可能性があります。

・利用者本人、もしくは同居の家族に発熱などの感染症を疑う症状が続いている場合。もしくは疑いがある人と直近で接触した
・事業所内の職員が新型コロナに発症し、他の職員も濃厚接触者と考えられサービス提供ができない時
他にもあるでしょうが、一度事業所としてこれまでの経験をまとめ、どういった場合に断る事があるのか説明しておくほうが良いでしょう。

③感染のリスクはある事も承知でサービスを利用してもらう

最後はこれにつきます。僕が個人的に思うのは、日本人の多くは相手に期待しすぎです。

「学校で起きた全ての問題は、学校が取るべき。自分達親には責任はない」
「病院で体調が悪くなんておかしい。そうなったのは病院が悪いんでしょ」
「施設に預けたのに転倒するなんておかしい。ちゃんと見守りしてないからそうなるんだ」
こんな風に考える人が多い事に時々ウンザリします。こういったマインドが蔓延したのは
「お客様は神様」
これでしょう。しかしこの言葉の意味を履き違えている人が多いです。この言葉の由来は生前の三波春夫が言った言葉です。
『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。ですからお客様は絶対者、神様なのです』
このマインドの本質は「お客様を神様のようにリスペクトして、全身全霊で仕事をし喜んでもらいたい」という仕事をする側の心構えを説いたものです。
それを客側が勘違いし、「客は神様なのだから、何をしても許される」等という傲慢な発想に至ったのが今の多くの日本人の姿です。
この傲慢なマインドが、モンスタークレーマーやモンスターカスタマーを生み出したのです。
そしてそのモンスターたちの無理難題に一生懸命対応してきたのですが、彼らは自分達の欲求が通れば、さらに過大な要求を行ってきます。
しかし最近ではこのモンスターマインドに疑問を感じる人達も少しずつ増えてきた印象です。
「飲食店で、店員に偉そうな態度取るのって格好悪くない?」
こういう価値観が少しずつ広がってきたことは嬉しく思います。
話が脱線しまくったの元に戻しますが、要は社会全体として完璧な商品もサービスもありえないという事を共通の認識として持っておく必要があるのではないかということです。
「病院だから、介護施設や事業所だから絶対安全というわけではない」
サービスを受ける顧客側も、このように意識を変えていく必要があります。そうでないと、ちょっとの不利益も許せない、訴える等という事がまかり通れば、医療や介護といった社会のセーフティーネットワークは完全崩壊します。しかしそれは誰が崩壊させるのかと言えば、無理難題を要求する顧客である自分達です。そして必要な時にサービスを受けたいと思っても、自分達で崩壊させたのだから受けられないという、笑えない結末になる可能性もあります。
僕達も自分達のサービスは絶対に大丈夫などという、過度な期待は相手にさせない事です。むしろ想定されるリスクは、大きいものも小さいものも含めて全部説明しておく事がこれからは必要になります。
「そんな事言って、サービス断られたら?」
それならそれで良いのです。リスクを説明して断る人を、無理やり利用してもらってもモンスタークレーマーになるのが目に見えています。それはお互いの為にならないでしょう。しっかり事前にリスクを理解してもらう方がお互いに安心です。
コロナ後の時代は、社会全体でリスクを共有する。これが必要なのではないでしょうか?

 

 

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