皆さん、「日常生活自立支援事業」ってどんな制度が知っていますか?
「聞いたことあるけど、利用したことないのでよく分からん」
「成年後見制度との違いが分からない」
「そもそもどんな事をしてくれるのか?」
この日常生活自立支援事業。結構いい制度なんですが、あまり活用されておらず、成年後見制度に比べるとマイナー感が強いことは否めません。そこで今回は日常生活自立支援事業についてご紹介します。
日常生活自立支援事業とは
事業の実施者
各都道府県、市町村の社会福祉協議会
主なサービス内容
「専門員」「生活支援員」と呼ばれる職員が下記のような援助を行ってくれます。
①福祉サービスの利用援助
・さまざまな福祉サービス(高齢者や障害者向けの福祉サービス等)の利用に関する情報の提供、相談
・福祉サービスの利用における申し込み、契約の代行、代理
・入所、入院している施設や病院のサービスや利用に関する相談
・福祉サービスに関する苦情解決制度の利用手続きの支援
独居などで、家族がいない人が介護サービスの契約をする時はとても助かります。
②日常生活を送るうえで必要な事務手続きの援助
・住宅改造や居住家屋の賃借に関する情報提供、相談
・住民票の届け出等に関する手続き
・商品購入に関する簡易な苦情処理制度(クーリング・オフ制度等)の利用手続き
③支払いや通帳預かりなどの金銭管理
・福祉サービスの利用料金の支払い代行
・病院への医療費の支払いの手続き
・年金や福祉手当の受領に必要な手続き
・税金や社会保険料、電気、ガス、水道等の公共料金の支払いの手続き
・日用品購入の代金支払いの手続き
・預金の出し入れ、また預金の解約の手続き
・保管を希望する通帳、ハンコ、証書などを預かる
(※保管できるもの(書類等) 年金証書、預貯金通帳、証書(保険証書、不動産権利証書、契約書など)、実印、銀行印、その他実施主体が適当と認めた書類(カードを含む))
よく利用者さんで通帳をしまった場所が分からなくなったり、介護サービスや病院の費用を支払いが滞る人がいますねよ。そんな時にとても助かります。
利用料
「1回○円」という感じで、1回訪問して上記に挙げたような援助をしてもらう度にお金が必要です。その金額は実施主体の社会福祉協議会によって異なりますが、大体1000~1200円程です。
また通帳や書類を預かってもらっている場合は別に保管料がかかります。そこまで高額ではありませんが、年で3000~6000円が相場のようです。
ただし、利用に関する相談などには無料で対応してもらえますので、制度の利用を検討している場合は気軽に相談が行え、ケアマネが単独で相談に行くことも可能です。
利用するにはどうすればいい?
①相談の受付
当たり前ですが、まずは利用したい旨を社会福祉協議会に申し出てください。
②訪問、相談
専門的な知識を持った担当者(専門員)が自宅や施設、病院などを訪問し、相談にのってくれます。この相談の前に、ケアマネから必要な情報提供を行うとスムーズです。特にこの制度の利用が必要な理由や状況、どんな援助を頼みたいと考えているのかは伝える必要があります。合わせて本人のおおよその意向も伝えておきましょう。
③利用申込み
話し合いの結果、本人が制度の利用に同意したら利用申込みの手続きを行います。申込者がこの制度の利用適用者かも判定されます。
というのも、あまりにも意思決定、判断能力が低下している場合は日常生活自立支援事業ではなく、成年後見制度の利用を検討したほうが良い場合もあるからです。
④支援計画の作成と契約締結
どのような援助を、どの程度の頻度行うのかという計画を作ります。その内容で同意が得られれば契約を締結します。
⑤援助の開始
まとめ
今日は日常生活自立支援事業について紹介しました。
ケアマネの頭を悩ませる、金銭管理が十分できない利用者さんの対応をサポートしてくれる大変ありがたい制度です。
成年後見制度との主な違いは
・費用や手続きを含めた利用のハードルが、成年後見制度より低い
・代理でできる行為が成年後見制度に比べると限定的
といったところです。この制度はある程度自分の事は自分でできるが、金銭管理など複雑な事を自分だけで行うことが困難になっている人が対象です。ケアマネはアセスメントを行い、利用者がこの制度の適用者かどうか見極める視点ももっておいてほしいと思います。そして、利用すべきタイミングで適切に制度に繋げられる支援を行ってください。
ちなみに、日常生活自立支援事業。地域差もあると思いますが、担い手不足なようで僕の地域では適用者であるにも関わらず「現在受け入れ枠がない」との事で断られることがありました。一度自分の地域の状況を把握しておいても良いかもしれません。