ゼリー誤嚥で2365万円賠償判決!日本の介護が崩壊する理由

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ゼリー誤嚥で2365万円賠償判決!日本の介護が崩壊する理由 ニュース

2023年11月7日、あるローカルニュースに医療や介護の仕事をする人達が驚く情報が入ってきました。それがコチラです。

広島県の介護施設に入所していた90代男性がゼリーを喉に詰まらせて窒息死した事例をめぐる裁判で、「死亡したのは施設職員が男性の誤嚥(ごえん)を防ぐ義務を怠ったことなどが原因」として、介護施設に2365万円の支払いを命じる判決が下ったのだ。

裁判長は、「ゼリーを配る職員は他の利用者に配膳し、男性が誤嚥する様子を見ていなかった」とした。「職員らが食事の介助などの措置を講じていれば防げた」とした上で「誤嚥を防止する措置を講じる義務を怠った責任は極めて重い」と指摘。

原告である長男は「施設の責任が認められて良かった。父の死を無駄にせず再発防止を徹底してほしい」と望んだ。

引用元:YAHOOニュース

このニュースを読んだあなたはきっと驚いた事でしょう。事実多くの介護や医療関係者が次々に驚きと反論のコメントを出しています。

 

施設に入れた時点で、誤嚥や窒息や転倒は覚悟すべき。 マンツーマンで介護出来ないのだから。 自宅で家族が見られないから、施設に入所したんでしょ。早かれ遅かれゼリーで窒息してましたよ。 高齢者は難聴、認知症、筋力低下で何が起きてもおかしくない。 マンツーマンならまだしも、何十人も介護士が数人で介護している日本。 失禁はするは、暴力徘徊はするは、高齢者が皆、静かに食事なんか出来ない状態ですよ。 こんなニュースだと、介護士離れをさせるだけ。

 

またこんな判決が出てしまい介護施設で働くのが怖くなってきました!誤嚥して亡くなってほしくないのなら自分たちで最期まで家で見るべきだと思います! 見られないから施設でお世話になっているのにも関わらず何かあったら施設側を訴えるおかしいですよね‍ 固形物がだめだからゼリーを食べてもらったのにどうすれば良かったのでしょうか?わかりません

 

誤嚥を防ぐ義務って、なんなんだ。 亡くなられたのは90才とのこと。施設に入ってたんでしょ?最後まで胃ろうや経管栄養にせず、 口からゼリーを食べさせてくれてたんだよ?90才で誤嚥で亡くなるって、 大往生だと思う。最後まで口から食べられたんだからね。すごいよ。

引用:YAHOOニュースコメント欄より一部抜粋

 

まず事件の概要を簡単にまとめてみます

・亡くなった利用者は90歳男性
・記事の内容などから、普段は食事を自力摂取していた
・嚥下機能の低下が以前から認められていた為、施設の判断等でゼリー食、もしくはおやつはゼリーでないと食べれない状態になっていた

嚥下機能の低下自体は以前から見られていたようです。その為食事形態をゼリー食にしていたと思われます。

ゼリー食というのは、ご飯もおかずも全てゼリー状に加工している食事形態です。僕が知る限り、ゼリー食は口から食事ができる人の一番下のレベル。つまり口からの食事ができるギリギリのラインです。

さらに食事介助をしていない状態で誤嚥している。つまりこの人は自分で食事をして誤嚥している事から、食事を自力で食べる能力はあったと思われます。

 

今回の裁判について、どうして介護や医療業界で働く人達がこれほど怒っているのか?この裁判結果を批判しているのか?その理由についてまとめてみます。

 

音声で聴きたい方はコチラから

介護事故を100%防ぐ事はできない

介護事故を100%防ぐ事はできない

まず僕達プロは全員当たり前の認識ではあるのがこれです。

介護施設で起きる事故を100%防ぐ方法は無い

その理由ですが、全老健協会、老年医学会など様々な学会が「転倒や誤嚥などは老年症候群の一種である」とステートメントを出しています。

分かりやすく言うと「転倒や誤嚥は事故じゃなく、高齢者特有の症状」という考えです。

代表的な老年症候群にこういったものがあります。

摂食、嚥下障害
・体重減少
・関節、体の痛み、圧迫骨折
・歩行障害、転倒
・易感染性
・認知機能障害、うつ、せん妄
・頻尿、失禁
・難聴
・視力障害
・貧血、めまい

高齢者に介護サービスを提供している事業所では転倒や誤嚥などの事故は必ず起きます。

そしてその度に働く職員達は管理者や経営者、家族などから「あなた達は一体何をやっているんだ?職務怠慢じゃないのか?」と批判され、「自分達の注意が不足していたんだ」と自分達に落ち度があると考え、必死に対策をしてきました。

しかしどれだけ全力で対策を考え、防ぐ為の努力をしても事故が起きてしまう。その度に責められ心身ともに擦り減っていく。

この原因が一般人の人と、僕達専門職の事故に対する考え方のギャップです。

 

転倒や誤嚥は防げる事故。事故が起きるのは職員の怠慢が理由でしょ

 

これが一般の人の考え方です。

 

いやいや、高齢者の転倒や誤嚥などの事故は防ぐ事はできないですよ

 

これが僕達プロの常識です。こうして見ると両者の考えにはかなり大きな隔たりがあるのが分かります。

今回の裁判結果は、裁判長を始めとした裁判に関わった人達であっても一般の人と同じ考えで判断した結果だと言えます。

どうすれば事故を防げたというのか?

どうすれば事故を防げたというのか?

僕達介護サービス提供事業者には安全配慮義務というものがあります。

簡単に言えば「必要な安全対策をしたうえでサービスを提供する義務」です。

今回の事故に対して裁判長はこのようにコメントしています。

「職員らが食事の介助などの措置を講じていれば防げた」とした上で「誤嚥を防止する措置を講じる義務を怠った責任は極めて重い」

その理由が

ゼリーを配る職員は他の利用者に配膳し、男性が誤嚥する様子を見ていなかった
・職員が食事の介助をしていれば事故は防げた

一見するともっともらしいですね。介護の現場を見ていない、経験したことがない人であれば納得しそうです。

しかし僕達からするとどうでしょう?そもそも誤嚥というのは、食事を飲み込むプロセスで発生する現象です。

つまり食事をしている場面を近くで見ていようが、食事介助をしようが発生する時は発生します

ただマンツーマンで一人の職員が最初から食べ終わるまで近くで見守りをしていたら、誤嚥した時の救命措置が早くできるというだけで誤嚥を防げるわけではありません。

しかもこの男性利用者は食事を自力摂取する能力があった人です。それなのに誤嚥のリスクがあるからという理由だけで食事介助をするのは、介護保険が理念としている「自立支援」に反するという問題があります。

ちなみに今回の裁判では誤嚥が発覚してからの救命措置に関しては問題が無かったと裁判でも結論が出ており、家族が主張した救護義務違反は認められませんでした。

この事からも、施設としてはできる限りのベストを尽くしており、今回のような高額な賠償を支払うような落ち度は無いように思います。

・利用者本人が自分で食事をしたいという意思を尊重した
・口から食べる事をできる限り続けたいという意思も尊重し、施設としてリスクはあるにも関わらずゼリー食での提供を続けた
・食事を自分で食べれる人に、職員がマンツーマンで食事介助をする事は通常あり得ない。食事場面を見ていなかった事は不適切な対応ではない
今回のような裁判が一般的にまかり通ってしまうと、施設側はわずかなリスクであっても受け入れる事はできなくなります。
つまりこのような事になります。
・転倒リスクが少しでもある人はベッドから起こすわけにはいかない
・誤嚥リスクが少しでもある人は口から食事をさせるわけにはいかない→経管栄養
さあ、果たしてこれが人間の生活と言えるのでしょうか?僕であれば高齢になった時こんな生活を強いられるくらいなら死んだ方がマシです。
少しのリスクというのが確率1%でもあるなら該当するという考えであれば、高齢の人はほぼ全員該当します。つまり全員上記のような対応を取られかねないです。
極端に見えるかもしれません。しかし今回のような裁判が当たり前になれば、施設側も防衛策としてこのような流れが加速する事が予想されます。
今回の裁判長が示したような、事故を予防する為の措置を講じるのであれば、もっと職員の配置人数を増やし、さらにそんな過酷で理不尽な職場であっても働きたいという人が増えるよう、報酬そのものを今より格段に上げる必要があります。
その為には介護保険料の負担を今の数倍に上げる必要があります。それができるのであればそうすればいい。しかし現実には不可能でしょう。
つまり「払うべきものは払わない。でももっといいサービスをしろ」と言っているのです。これは単純に無理ゲーと言わざるを得ません。

自分達の身を守る為にどうすれば良いのか?

自分達の身を守る為にどうすれば良いのか?

今回の裁判は介護業界で働く人全員、決して他人事ではありません。いつ自分達も同じようなリスクに巻き込まれるか分かりません。まさに明日は我が身です。

そのような中、どうやって自分達の身を守れば良いのでしょうか?現時点で考えられる方法としてはこのような内容になりそうです。

①家族に事故は防げない事を繰り返し説明する
②事故の対策とは、事故の発生を予防するのではなく、発生する確率を減らす事が目的である事を伝え続ける

今回紹介したように、介護事故というのは老年症候群による症状の一つであり、決して防ぐことはできません。

シンプルに人は歳を取れば足腰が弱り歩けなくなってきます。つまり転倒とは自然な加齢による現象なのです。

同じように歳を取れば嚥下機能が低下し、次第に食事が食べれなくなります。これも加齢による自然現象であり、どこかのタイミングで食事が適切にできないタイミングが来るのです。

このような現象は自宅でいようが施設でいようが、いずれは発生します。それが施設で発生したからと言ってこれほどに非難される理由があるのでしょうか?

 

その為まずはこのような事を理由に、事故は絶対に防げないという事を契約時は当然、その後も定期的に繰り返し説明していく必要があります。もしそれで納得できない人であれば、サービスの利用が難しいと判断せざるを得ないでしょう。

加えて事故が起きた時の対策を説明する時も「注意して、次からこのような事故を起こさないようにします」等と言ってはダメです。どれだけ注意して対策をしても事故は必ず起きるからです。

しかし、だからといって何もしないでいいわけではありません。あくまで放っておけば発生率70%の事故を65%程度に抑える。たった5%かもしれないが、そのために自分達のデキる範囲でできる努力をする。その姿勢を見せて説明を粘り強くしていく事が必要です。

 

同時に今後は介護サービスを利用する利用者や家族への教育も必要だと思います。

介護サービスで起きる事故は防げない。現状の厳しい状況ではそのような事はできない事を理解せず、何かあったら裁判で損害賠償を請求する。そのような事が当たり前になってしまえば、介護事業をやりたい人達はいなくなります。

そうなれば介護を受けたくても公的保険で受ける事はできない。介護サービスは民間サービスのみとなり、一部の特権階級が大金を使って受ける贅沢品。アメリカの医療のようになってしまいます。

日本の介護が崩壊するか?それとも僕達一人一人の少しの理解と思いやり。寛容さを持つ事で今後も持続的な社会保障のインフラとして守っていくのか?大きなターニングポイントと言えそうです。

 

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