6000円賃上げ、ケアマネは対象外になりました

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6000円賃上げ、ケアマネは対象外になりました ニュース

今介護業界で注目度が高くなっている「介護職6000円賃上げは妥当か?」問題

こちらの記事でも書きましたが、この賃上げ対象にケアマネがなるかどうか?注目していましたが、その結果が分かりました。

結論を先に述べると

6000円の賃上げ、ケアマネは対象外になりました

 

 

音声で聴きたい方はコチラから

これまで僕達ケアマネは介護職の賃上げがある度、何度も蚊帳の外に追い出され、冷遇されてきた歴史があります。

しかしケアマネの担い手不足がやっと問題視され始めた今の状況で、流石にここから締め出すような事はしないだろうと思っていましたが、まさかの結果になりました。

 

一応理由としてはベースアップ加算に上乗せして今回の6000円を支給する形になるため、「ベースアップ加算の対象となっていない居宅のケアマネには出せないよね」という事らしいです。

だったらベースアップ加算の対象に居宅のケアマネも入れるようにルールを変えれば良いだけだろ!

こう思うのは僕だけでしょうか?あまりにも乱暴な理屈で、ケアマネの処遇を改善する気が無いようにしか見えません。

 

これでは僕達ケアマネの怒りが収まらない為、国はこう言っております。

 

ケアマネジャーの処遇改善については、来年度の介護報酬改定に向けて別途検討していきます

 

「なあんだ、ちゃんと考えてくれているのね」

こんな風に安心するのは早いです。現時点で国が示してきている処遇改善と思われる内容についてまとめてみたのがコチラ

①逓減制の緩和
②特定事業所加算の算定要件緩和
③モニタリング頻度の見直し
それぞれ具体的に確認してみましょう。

①逓減制の緩和

まず現状の逓減制の内容についてはコチラを参照ください。

簡単に言うとICTの活用や事務員の配置など、要件を満たす事で40件を超えたら減額される報酬を45件からにしてあげますよというルール。つまり今までよりケアマネ一人当たり5人の利用者を多く担当できるという内容です。

そして今回提案されて内容がコチラです。

居宅介護支援費(I)=現行は40件からの適用だが、これを45件からの適用とする。

居宅介護支援費(II)=現行は45件からの適用だが、国のケアプランデータ連携システムの活用などを新たに要件として加えたうえで、50件からの適用とする。

(Ⅰ)はICTや事務員を配置していない事業所、(Ⅱ)はICTや事務員を配置している事業所です

どちらにしても逓減制の適用を5人分増やすという内容です。

 

今までより5人担当を増やせるんだから、それで報酬が増えるでしょ

これが国が示している、ケアマネへの処遇改善らしいです。

 

さて、これで処遇が改善したと感じますか?恐らく僕を含めて99%のケアマネが「いや~これで自分達の処遇も改善されたわ」なんて思わないでしょう。

詳しい説明は割愛しますが、現状として逓減制緩和を活用できているのは全体の10%程度で、ほとんどの事業所がその恩恵に預かれていません。

その理由としてはこのような事が考えられます。

・ICTの活用や事務員を配置する余裕が無い
・仮にICTや事務員を配置したとしても、想定していたほどの効率化に繋がらず人数を増やせない
現在ケアマネの仕事では求められる役割や責任がどんどん増えています。そのような状況で質を担保する為には安易に増やす事ができない。これが正直な所です。
仮に増やせたとしても、ケアマネの負担が重くなります。これは処遇改善とは言いません。
本来の処遇改善は業務負担が重くならない事を前提に、今よりも給料などの待遇が改善される事です。
しかし国が言っているのは、「今より残業を長くさせてやるから、それでお前らの給料も増えるだろ?」という事です。
残業時間を長くすれば額面の給料が増えるのは当たり前です。しかしそれが本当の処遇改善と言えるのでしょうか?

②特定事業所加算の算定要件緩和

ケアマネの収益を改善するには必須の特定事業所加算ですが、取得の為にはいくつかクリアしないといけない要件があります。詳細はコチラをご確認ください。

その要件の一つに

運営基準減算又は特定事業所集中減算の適用を受けていないこと

このような要件がありますが、今回は運営基準減算の部分を削除するようです。運営基準減算について詳しく知りたい方はコチラを参照ください。

運営基準減算で特に厳しいのが、何かしらの理由でモニタリング訪問ができなかった時です。

正当な理由であれば良いのですが、中にはグレーな理由もあり、管理者の判断によっては泣く泣く減算の適用を受け入れる事もあります。

これ、全体で一人でも該当すればアウト。特定加算は取得できませんというのはあまりに厳しすぎる。また毎月の確認作業も負担になる為これが外れたのは、加算を算定している事業所にとっては負担軽減になると思います。

しかし、これが本当にケアマネの処遇改善になるのでしょうか?処遇改善とは、超具体的な事を言えば僕達の給料が上がる事ではないでしょうか?

そう考えた時、この恩恵を受けるのは特定事業所加算を取得している事業所だけです。加算を取っていない小規模の事業所などにはなんの恩恵もありません。

そして加算を取得している事業所であっても、あくまで業務負担が少しばかり軽くなるだけでこれが即給料アップに繋がるわけではありません。

この変更は負担の軽減になったとしても、処遇の改善に繋がらないものだと言えそうです。

③モニタリング頻度の見直し

居宅のケアマネにとって毎月1回自宅を訪問して行うモニタリングは結構な負担ですよね。それに対してこのような見直しが行われる予定です。

(1)利用者の同意を得ること

(2)サービス担当者会議などで主治医、サービス事業者らから以下の合意が得られていること

◯ 主治医の所見も踏まえ、頻繁なケアプランの変更が想定されないなど、利用者の状態が安定していること

利用者がテレビ電話などを介して意思表示できること(家族らのサポートがある場合も含む)

◯ テレビ電話などを活用したモニタリングでは収集できない情報について、他のサービス事業者との連携により収集すること(*)

* 情報連携シートなど一定の様式を用いた仕組みを想定

(3)居宅介護支援は少なくとも2ヵ月に1回、介護予防支援は少なくとも6ヵ月に1回は利用者の居宅を訪問すること

引用:介護ニュースサイトJOINT

要はこういう事です。

 

オンラインで問題ない人のモニタリングは、2ヶ月に1回に変更してあげるよ

それなりにありがたい変更ではありますが、気になる点があります。

オンライン対応が可能な利用者や家族がどの程度いるか?
この問題は地域差も大きい事が予想されます。都心部などで子どもの同居率が高い場合は、例え高齢の利用者がオンラインを使用できなくても子どものサポートを得る事でオンラインのモニタリングが可能になります。
一方地方の場合、子どもの同居率が高くない場合はオンライン対応が難しいケースも多くなる事が予想されます。
この辺りは繰り返しやり方を説明してマスターできそうな人には、ケアマネ自らやり方を教える努力も必要になりそうです。(最終的には自分の業務負担を減らす為、必要な労力と割り切る必要がありそう)
ただこれが処遇改善かと言われると、これもあくまで業務負担の軽減であり処遇改善とは言えないと思います。
というのも、オンラインにしたところで結局2ヶ月に1回は訪問しないといけない。物価高でガソリン代なども上がっているこの状況ではこれでも負担は大きいと言えます。
これに関してはもっと大胆な方向転換が必要ではないでしょうか?例えば生活保護のケースワーカーなどは年に2回程度の訪問頻度です。
ケアマネの訪問頻度も「年2回以上」のような最低回数を定めるだけで、後はケアマネの裁量で決めても良い。
頻繁な訪問が必要なら毎月自宅に訪問するし、必要無い場合は普段はオンラインで確認し、半年に1回程度自宅の状況確認も含めて訪問。このようなやり方に変えても良いのではないかと思います。

まとめ

ケアマネは6000円の賃上げから対象外になった

その代わり別のやり方で処遇を改善すると提案。その内容がコレ

①逓減制の緩和
②特定事業所加算の算定要件緩和
③モニタリング頻度の見直し
結論
業務負担の軽減に繋がるモノもあるが、これで処遇改善(給料アップ)は期待できない
恐らくですが、今回の介護保険改正でケアマネの業務負担を軽減する施策がいくつか出されている理由は

業務負担を軽くしてあげたんだから、今よりハードワークして担当者数を増やせるでしょ?

つまり、あくまでも国は逓減制の緩和でしか、僕達ケアマネの処遇を改善する気が無いようです。

 

本当にそれで良いのでしょか?僕はこんなものが処遇改善だとは思っていません。

本来は現在介護職に対して行われているような、基本的な報酬を上げる改善が行われて初めて実感として「昔よりは良くなってきたな」と感じれるのではないでしょうか?今よりキツイ労働をしないと給料が増えない仕組みはどう考えても歪んでいます。

このまま黙っていても処遇が改善される見込みは低いです。一人一人が声を挙げて、自分達の処遇を改善するようアクションを起こしていく必要があると思います。

 

 

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