私は学生時代、福祉系の学校で学び、社会福祉士となり、今はケアマネジャーとして働いている。
そうして20年以上の月日が経った時、なぜかふと思い出したことがある。それが
「学生時代に学校側にボランティアを強制された事」
なぜ強制なのか?実は私が学生の時代、当時このようなルールがあった。
・進級に必須の単位取得の条件に「年間でボランティアを120時間以上する事」
当時は「まあ福祉の学生だし、ボランティアが単位取得の条件になっていてもおかしくないか」とあまり深くは考えなかった。
ただ今思えばこれは学生に対して、学校側がボランティアを実質「強制」している
さらに問題であったのが、このボランティアが
・学校側がボランティア先を紹介してくれるわけではなく、自分で探さないといけない
・ボランティア先で何かトラブルが起きても、学校側は責任を持つ体制が無い
・ボランティア先で何かトラブルが起きても、学校側は責任を持つ体制が無い
これは大きな問題である。なぜならボランティア先では、様々なトラブルが起こる可能性がある。
・利用者対してケガなどの事故を起こしてしまう
・自分がボランティア中にケガをしてしまう
・ボランティア先の物品などを壊してしまい、弁償を求められる
・ボランティア先の行き帰りの移動中に交通事故に遭う
・自分がボランティア中にケガをしてしまう
・ボランティア先の物品などを壊してしまい、弁償を求められる
・ボランティア先の行き帰りの移動中に交通事故に遭う
このようなトラブルに対応する為、「ボランティア保険」というものがある。
ひょっとしたら、学校側はボランティア保険には加入していたのかもしれない。
しかし当時学校側からは、「トラブルが起きても保険で対応できる為、安心してボランティアを頑張ってほしい」などの説明は一切無かった。一体上記のようなトラブルが起きた時、学校側はどのように対応するつもりであったのか?
まさか「学生が自らやっているボランティアに対しては、学校は一切責任がありません」等としらを切るつもりだったのか?
自分でボランティア先を探さないといけないことも、当時大変苦労した。
なぜならどの施設がどんなボランティアを募集しているのか?そもそもボランティアが必要かどうかも分からなかったからだ
だから初めて電話で、「自分は福祉の学生。進級の為にボランティアを一定時間しないといけないので、そちらでボランティアをさせてほしい」と電話した時、先方に訝しがられたのを覚えている。
それはそうだろう。通常ボランティアというのは、自分達が募集してそれに応募者が「やってみたいです」と手を挙げるのが一般的な流れ。
もしくは学校側に「〇〇という内容でボランティアを募集している。よければ学校の学生に協力してもらえないだろうか?」と張り紙を張らせてもらったり、実際に情報提供をしてもらう。
それなのに、一学生がまるで飛び込み営業のような形でボランティアをしたいと言ってくる。今でも珍しいが、当時もかなり珍しかったであろう。
そんな事なので、受け入れする施設もあまりウェルカムな感じではなく、「仕方ないからやらせてあげる」というテンション。だからこちらもあまり充実した時間を過ごせた記憶はない。
それはそうだろう。本来ボランティアは「助けてほしい」という人に対して、無償でギブをしたことに対して「ありがとうございます。助かりました」と感謝してもらえるのが最大のリターンであり、やりがいである。それが無いボランティアなど、果たして意味があるのか?
そもそもボランティアとは何なのか?
一般的には「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」を指してボランティア活動と言われており、活動の性格として、「自主性(主体性)」
「社会性(連帯性)」「無償性(無給性)」等があげられる。引用元:厚生労働省HPより一部抜粋
ボランティアは有償のものもあるが、原則無償で行うものであることは広く知られているだろう。
ここで重要なのは「自主性」である。つまり
この大原則がボランティアという活動の大原則。もしボランティアを強制されればそれは
このように一気にイメージが地に落ちる事になる。
ただ私が学生の時にやらされたボランティアはその性質上、かなりブラックであったと言わざるを得ない。
単位取得という、学生にとっては人質のような条件をつきつけられれば、それは実質の強制であると言っても過言ではないだろう。
さらに学生の時に行ったボランティア先では、親切にしてもらった所もあれば、今思えば随分ヒドイ扱いを受けた事も多くあった。
それは彼らが学校から、学生にとってボランティアをすることが単位取得に必要な事を知っていたからだろう。

無償で働かせることができて、しかもこっちの言う事に逆らえない人材なんて都合良いわ
うがった見方かもしれないが、学校側も実習先の受け入れなどを引き受けてもらう見返りとして、このような学生を嫌でも無償で施設で働かせる仕組みを作ったのかもしれない。
ただ私個人の経験を言わせてもらうと、この学生時代のボランティアの影響もあり、正直あまりボランティアというものに良いイメージは無い。その理由はやはり、やりたいわけでもないのに、自分の自由意思を損害された状態でボランティアをやったからだろう。
もし学校側が学びの一環としてボランティアをさせたいのであれば、以下の改善点を強く望む
たとえば「先生は次の日曜日、休みに〇〇というボランティアをやるのだけど人手が欲しい。誰か協力してもらえると嬉しいのだけどお願いできないかな?」と頼んでみる。
まずは教員自らがボランティアに取り組む姿勢を見せないと学生はやろうと思わないのではないだろうか?
ボランティアは本来、自らの能力を無償で提供し、それに対して感謝など喜んでもらえる。そこで得た経験や人間関係によって自分自身も豊かになっていく。
一見一方的なギブに見えるが、実はお互いがwin-winなものである。その素晴らしさを学生に知ってもらうためにも、現在学生にボランティアを強制している教育機関や施設には改めてもらいたいと思う