厚生労働省は9日の審議会(社会保障審議会・介護保険部会)で、ケアマネジャーの処遇改善に向けた検討を進めていく方針を明らかにした。
提出した資料に「処遇改善を図ることで質の高いケアマネジャーを安定的に確保するとともに、事務負担の軽減など、ケアマネジャーが力を発揮できる環境の整備を図ることが必要」と明記。その具体的な方策を今後の論点と位置付けた。
日本介護支援専門員協会の濱田和則副会長は、「業務の再評価と処遇の改善をお願いしたい」と要請。「末期がんなどに限定されている医療・介護連携の加算の対象を広げ、取得しやすくすることも検討して欲しい。ケアマネが医療機関への受診に同行して情報を共有する事例が増えているが、そうした取り組みへの評価も必要ではないか」と述べた。
厚労省は引き続き具体策の検討を深めていく考え。報酬改定による対応の中身は、社保審・介護給付費分科会で扱って来年末までに固める予定。
引用:介護のニュースサイトJOINT
検討はされていますが、具体的にどうやって処遇改善するのか?その中身については、公式にはまだ不透明です。
その内容について月刊ケアマネジャー2019年12月号で、介護福祉ジャーナリストの田中元氏が解説していたので紹介します。
処遇改善の具体策
①基本報酬の引き上げ
まずはこれですね。基本報酬についてですが、2015年の改正で以前より少しアップしました。その代わり多くの事業所の収入源であった「独居高齢者加算」「認知症加算」が廃止になりました。
管理者の人であれば分かると思うのですが、これは実質の「マイナス改定」で基本報酬が引き上げられても、加算が無くなった収益減がそれを上回るため収益のアップどころがマイナスになっているのです。
今回はこのような見せかけの基本報酬アップでなく、きちんとアップすることが必要でしょう。
②処遇改善加算をケアマネにも範囲拡大
次はこれですね。ケアマネは介護職員のように処遇改善加算がなく、今回大きな収益アップと人材確保に繋がる特定加算の対象にもなっていません。(詳細は特定加算は専任の居宅ケアマネ対象外 これはケアマネとして黙っていられない参照)
少なくとも特定加算の対象を居宅のケアマネにも拡大するだけでもかなり違います。ここは是非検討してほしい部分ですね。
③特定事業所加算の拡充
現在居宅事業所は一定の要件を満たした所には特定事業所加算が取得でき、逆にこの特定事業所加算が取得できない場合は事業所単独で黒字を出すのはほぼ不可能です。(特定事業所加算の詳細は居宅の管理者のお仕事② 「加算」はしっかり取得して、収益の安定化を図ろうを参照)
その為特定事業所加算が取得できる範囲を増やしてもらえると、収益の改善に繋がる可能性はあります。
今国は「質の高いケアマネジメント」に重点を置いて制度改正を進めています。例えばですが、将来的にはほとんどの事業所が使用するであろう「AIケアプラン」を早期に導入している事業所を対象に加算が取得できればいいのではと思います。
まとめ
ケアマネの処遇改善の具体策として
①基本報酬の引き上げ
②処遇改善加算をケアマネにも拡大
③特定事業所加算の拡充
です。実際どうなるかは分かりませんが、真剣に議論してもらいたいと思います。このままではケアマネ不足が深刻化しすぎて、「サービス事業所はあるがケアプランが作れないので利用できない」なんて笑えない状況になる可能性があります。
参考書籍