コロナ対策の介護職相互派遣制度の中身が甘すぎる理由とは

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コロナ対策の介護職相互派遣制度の中身が甘すぎる理由とは つぶやき

今回のコロナ禍の影響で、クラスターが発生した施設や事業所は介護崩壊が起きかねない状況が発生し、感染していない職員が連日車の中で仮眠を取りながら休みもロクに取らず仕事をしている人達もいました。

そこで北海道が全国に先駆けて取り組むことを発表したのが、施設同士で職員を派遣しあえる通称「助け合い制度」です。

僕が仕事をしている愛媛県でも、知事からクラスターが発生して職員が不足した場合に備えて同じような相互派遣の制度を行いたいという声明がありました。

しかしこの制度。現在詳細が分かっていないのもあるのですが、中身の内容が甘すぎて実行性の薄いものになっています。

今回はこの助け合い制度の中身とその問題点について解説します。

介護職を相互派遣する「助け合い制度」とは?

介護職を相互派遣する「助け合い制度」とは?

まずこの助け合い制度の具体的内容について説明します。

この内容ですが、北海道で現在発表されている分と僕が仕事をしている愛媛県からの内容を統合したものですので、もし他の都道府県でやっている場合は多少異なるかもしれません。

・助け合い制度に加入する「協会」を設立(特養、老健、有料老人ホーム等)
・どのような派遣内容にするのか(人の人選、人数、期間、派遣先での業務内容等)を事前に事業者間で取り決めしておく
・基本的にコロナでクラスターが発生し、大勢の職員が休まなくてはならなくなり人手が不足した場所に派遣される
・協会に加入した事業所だからと言って、雇っている職員に一方的に派遣を命令する権利はない。あくまで派遣される事に同意をした職員のみ派遣できる
・派遣された場合、家には帰れず都道府県が用意したホテルと派遣先の事業所の往復以外はできない(ホテルの宿泊料などは都道府県が負担)
・派遣先での仕事が終了しても、経過観察の為14日間はさらにホテルに滞在
・危険手当として通常の給料に+αあり(金額などは派遣される職員個人が都道府県と相談して決める)

大まかですがこのような内容になっています。では、どこが問題なのかについて僕個人の意見を述べていきます。

助け合い制度が抱えている問題点

助け合い制度が抱えている問題点

①万が一の時の保証が提示されていない

まずはこれですね。新型コロナウイルスは感染しても健康な人であれば無症状のことも多く、仮に発熱等の症状が出てもほとんどの人が重症化することなく快方に向かうが分かっています。

メディアの影響で「感染したら命に関わる致死率の高いウイルス」のようなイメージがありますが、決してそんな事はありません。

ただし!確率は低いとは言え、若い人であっても重症化するリスクが0ではありません。

重症化した場合は気管挿管し、人工呼吸器の装着。それでも死亡したり、仮に死亡しなくても発症を機に人工呼吸器から離脱するのが難しい状態になる可能性もあります。

この新型コロナウイルスの恐ろしい所は、まだしっかりとした治療薬も、予防する為のワクチンも開発されていないという事。その為重症化する確率は低くても、重症化してしまえば一気にリスクが高まると言えます。

しかしこの助け合い制度。重症化した時のリスクに対して何も触れられていないのです。

例えば下記のようなリスクに対しても何も示されていません。

・派遣された職員が死亡したら?
・死亡しなくても重症化し、長期的な治療が必要になったら?
・呼吸器疾患などの後遺障害が残ったら?
こういったリスクが生じた時に「誰が」「どのように」「どの程度」の責任や補償をするのかが全然明確になっていないのです。
こんな甘々のザル体制で、ハイリスクなクラスターが発生している施設に職員を派遣するなんて正気の沙汰とは思えません。考え方が特攻隊と同じ。派遣される職員の事などなんとも思っていないのが伝わってきます。

こんな体制で派遣に行って、仮に障害などが残ったとしましょう。

その時施設や都道府県に訴えたとしても「お気の毒に」「お悔やみ申し上げます」「規約通りに対応しており、こちらに落ち度はない」等、適当な事を言って結局誰も責任を取ろうとしないでしょう。

②リスクとリターンの割が合わない

先程書いたように、確率が低いとは言え最悪の場合は命を落とすという非常に高いリスクを派遣される職員は抱える事になります。

それなのに支払われる危険手当の額が個々人で要相談?バカにしているとしか思えません。

つまりこれは交渉力のない人であれば、都道府県は安く踏み倒す事ができてしまうのです。

そんな内容ではなく、ある程度決めておく必要があるでしょう。

しかしですよ。仮に1日5千円~1万円程度の金額が危険手当としてつくからと言って「行きたい!」と手を挙げる人はどれくらいいるのでしょうか?

この辺りは個人の価値感や経済状況によって異なるので一概に言えない部分ですが、僕なら安すぎると思います。

これだけのリスクを背負うのですから、

1日最低10万円の危険手当!

これくらいで、ようやくリスクとリターンが釣り合うと思うのですが、皆さんはいかかでしょうか?少なくとも夜勤手当程度の金額では割が合わないような気がします。

③事業所に人を派遣できる余力はあるのか?

この助け合い制度。制度の中身は置いといて、多くの人が

「困った事業所を少しでも助けてあげたい」

その気持ちだと思います。しかし一方で現実的な問題も控えており、その一つが「事業所が派遣できる余力があるのか?」ということです。

ただでさえ人手不足の介護業界。普段から慢性的な人手不足に悩んでいるのに、コロナの影響でさらに深刻になっている事業所が多いです。

その中で職員を派遣する余力が果たしてあるのでしょうか?幾ら職員個人が「行きたいです」と希望しても事業所としてOKできるかどうか難しい気がします。

さらに派遣された職員がエース級の戦力を誇る場合はさらに事態が深刻です。例えば2週間派遣された後、経過観察のために2週間ホテルへ軟禁。約1ヶ月も戻ってこれないのです。

しかも派遣された結果、体調を悪くしたり、精神的にうつ状態を引き起こし以前のように精力的に働けなくなったら?それはあまりにもリスクが高いと言えます。

つまり百歩譲って派遣するとしても、事業所が派遣するのは「しばらくいなくても、自分達の事業所の運営に支障が出ない程度の職員」ということになります。

こういった職員が派遣先でどの程度活躍するのか?ひょっとしたら環境が変わる事でこれまで見せたこと無いような力を発揮するかもしれませんが、現実的にはあまり働きを期待するのは難しいでしょう。

実際問題。職場環境、人間関係、仕事の進め方等、全てが異なる状況で利用者の状態はおろか顔と名前も一致しないような状態で、質の高い仕事をこなすのはエース級の職員でも困難です。

この点に関しては、派遣を受けた事業所がどれくらい派遣された職員をバックアップできるのかが大事ですが、そもそもそんな余裕が無いから派遣を要請しているのであって、あまり期待はできないでしょう。

助け合い制度はどうするのが良いのか?

助け合い制度はどうするのが良いのか?

ここまで助け合い制度の問題点を挙げてきましたが、どうするのが良いのでしょうか?

まとめるとこんな感じです。

①リスクに見合った十分な報酬を出す
②万が一の時の補償をしっかり提示して、安心できるようにする
③派遣によって負担がかかる施設へのサポートをしっかりする
①と②に関しては制度に対しての予算をしっかり確保する事でなんとかなる部分であり、この辺りは都道府県がどれくらい本気でこの制度を進めようとしているかに懸かっています。
③に関しては、例えば派遣によって一時的に人手不足になった場合の人員基準の緩和等の特別ルールの適用や、社協などと連携しボランティアの派遣で派遣された職員の穴埋めを少しでも行うなどのサポートが必要でしょう。

まとめ

今回はコロナによって職員が不足した際の、介護職相互派遣制度の中身とその問題点について解説しました。

こういった制度が必要なのは理解できますが、いかんせん中身が甘すぎて現状ではほぼ機能しないと思われます。

対策として都道府県単位だけでなく、国も協力する必要があるのではないかと思います。

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