COPDのケアマネジメントポイントを解説

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医療連携

知らないとケアマネできない疾患③「COPD」

今回は上記記事で解説した「COPD」のケアマネジメントポイントについてご紹介します。

状態悪化を防ぐ基本事項

①悪循環に陥りやすいことを知っておく

COPDの人は「身体を動かすと息が苦しい」という肉体的な辛さと、「息が苦しくなのではないか」という精神的な不安の両方を抱えています。不安は運動に対する意欲を低下させ、それにより運動を避けてしまうと四肢の筋力や心機能等の低下につながり、さらに呼吸困難を助長させる悪循環に陥ります。

さらに加齢により身体機能はますます低下します。ケアマネとしてこういった悪循環のメカニズムを知り、利用者の気持ちを理解することが必要です。

②禁煙

肺活量は健常者でも加齢により低下しますが、喫煙者はその2~3倍で進行します。そこに慢性的に進行するCOPDという病気が加わればその低下速度は凄まじいものになります。

利用者が喫煙している場合は、主治医や医療関係者、家族とも協力しながら禁煙できるように支援していく必要があります。何故禁煙する必要があるのか、その理由をしっかり伝えて理解できるようにすることも重要になります。

③運動指導

息切れがあるため、身体を動かすことが少なくなる傾向があります。しかし運動をしなくなると悪循環のスパイラルに陥ってしまいます。

ただ運動と言っても特別な事をする必要はありません。家の中や近所の散歩等、そういったことでも効果はあります。この辺りは主治医やリハビリ職などとも連携を取りながら、その人がどのような内容の運動を日常生活の中に取り入れていくのが良いのか一緒に考えていきましょう。

また運動を阻害する環境的要因などがあれば、住環境整備によってそれを無くしていける支援も必要になります。

④感染予防

COPDの人は風邪にかかりやすく、一旦かかると治癒に通常の人より時間がかかります。そのため日常生活の中に感染予防を取り入れる必要があります。

・外出後の手洗いとうがい

・同居者の手洗いとうがい

特に子どもと同居している場合は注意してください。子どもは外出先で様々なウイルスなどが付着したまま帰宅することが多く、あまり自覚症状もないまま生活してしまいます。子どもは帰ったら必ず手洗いと消毒、うがいは徹底するくらいの必要があります。

・インフルエンザワクチンの接種

流行期の冬季にインフルエンザの対策は不可欠です。インフルエンザにかかると重篤化して、場合によってはそのまま肺炎などに繋がってなくなる可能性すらあります。余程過去に強い副作用があって接種が難しい等の理由がなければ、ワクチン接種をすることを勧めましょう。

在宅酸素療法(HOT)における留意点

①酸素流量の管理

在宅酸素の管理にはいくつかポイントがあります。

・酸素飽和度(SpO2)が90~94%程度になるように、酸素量を調整

・安静時と労作時の酸素流量は異なる為注意が必要。一般的に労作時は安静時の3倍の量が必要と言われる

・その為、できれば運動の10分前くらいから酸素量を増やし、運動後10分くらいはその酸素量を保つのがよい

※あくまで標準的な考え方です。必要な酸素量は人によって異なりますので、必ず主治医に指示を確認してください。ポイントは「安静時」「労作時」「SpO2が90%以下になった時」等、想定される状況別の指示を確認しておくことが必要です。

その際、主治医に普段のSpO2がどの程度なのか。そういった必要な情報をきちんと伝える事が大事です。

②息切れの対応

在宅酸素を使用していても、超時間の労作は息切れを感じることも多くあります。息切れ時は我慢させずに休息を取るように指導が必要です。また呼吸困難を緩和させる方法として、呼吸リハビリテーション(例:立ち止まって深呼吸をするなど)も有効です。この辺りは医療の専門職と連携し、本人が自分でできる内容を考えてもらいましょう。

③内服薬、吸入薬の管理

COPDの病状管理には薬物治療の役割は大きいです。そのため服薬管理が適切に行われているかの確認が必要になります。

また薬の副作用の代表として動機や震え、眠気、食欲不振、下痢などがあります。これまでこのような症状がなかったにも関わらず出現が見られた場合は薬の副作用の可能性も考え、早めに主治医へ連絡し医療機関を受診するようにしましょう。

④運動指導

COPDになったからといって、運動しなければかえって状態が悪化します。在宅酸素には常時酸素を長時間供給できる圧縮酸素と、外出時に携帯できるようボンベに入った液体酸素タイプがあります。息切れなどに留意しながらも、外出して身体を動かす機会などの検討をすることも必要になります。

⑤感染予防

COPDは感染を機に悪化することが最も多いと言えます。COPD患者は感染症にかかりやすい状態になっており、症状も重症化しやすいことから予防が欠かせません。その事を本人だけでなく、同居家族にも情報提供行い、必要な予防策が実施できるように支援を行います。

状態悪化のサイン

状態悪化時によく見られるサインを知っておくことで早期の医療機関の受診が行なえます。

・呼吸状態

安静時にも周囲にも分かる程度の呼吸困難が持続します。

・痰

痰の量が増加したり、痰の色に変化が見られます。この場合は抗生物質の投与が必要になっている状況であることが多いです。

・むくみ

COPDが進行すると、心不全を生じることが多くなります。心不全は下肢の浮腫で気づけます。浮腫は下肢から始まることが多く、顔が浮腫むこともあります。正常な状態を把握したうえで、状態変化のバロメーターとして活用します。

入院を考慮すべきCOPDの増悪状況

このような状態・状況が見られたら、入院治療が必要な可能性があります。早期に医療機関に繋いで、必要な対応ができるようにしましょう。

・呼吸困難の急激な増悪

・チアノーゼや浮腫の出現

・増悪に対する初期治療に無反応

・重大な併存症

・頻回の増悪

・不整脈の出現

・診断が不確実で、識別診断が必要

・高齢者

・在宅サポートが不十分

まとめ

COPDのケアマネジメントポイントで押さえておきたい事として

・息が切れるから運動しない→状態低下→さらにCOPDが悪化と悪循環になりやすい

・禁煙と運動が大切

・感染症にかかりやすく、かかると重症化しやすいので予防策をきちんとする

・在宅酸素の管理が大切。主治医の指示は「安静時」「労作時」「SpO2低下時」等具体的に確認

・在宅酸素だけでなく、内服や吸入薬の管理も重要

・「呼吸」「痰」「浮腫み」等の症状の出現や、これまでと違う変化が見られたら状態変化のサイン。早めに主治医に連絡し、医療機関の受診など対応できるようにする。

COPDはその状態になるまで長い経過があり、その間本人は当然ですがそれを支えてきた家族も同じように心身ともに苦しみ、疲れ果てていることも多いです。

ケアマネは病気の管理にばかり捉われるのではなく、そういった長く苦しみながら戦ってきた歴史をしっかり理解し、その思いに寄り添いながら支える必要があります。そういう姿勢があって始めて、今日紹介したような知識が活かせる事を覚えておいてほしいと思います。

 

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