ケアマネ必須の新ワード「入院関連機能障害(HAD)」について

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ケアマネ必須の新ワード「入院関連機能障害(HAD)」について 医療連携

ケアマネの皆さん、最近新しいワードとして「入院関連機能障害」通称「HAD」(Hospitalization Associated Disability、)というものをご存知でしょうか?

恐らくほとんどの人が聞き慣れない言葉ではないかと思います。しかし安心してください。僕も知りませんでした(笑)

最近医療機関も注目し、取り組む事で診療報酬にも影響がある事から今後はケアマネには必須の知識になりそうです。

そこで今回はこの新しいワードが紹介されていた月刊ケアマネジャー2020年10月号から、僕がポイントを絞って紹介したいと思います。

参考書籍

入院機能関連障害(HAD)とは?

入院機能関連障害(HAD)とは?

入院機能関連障害を一言で言えば、「入院の安静期間が長くなりすぎた結果起こる心身の機能低下」です。

「そんなの、昔から言われてる事でしょ」

こんな声が聞こえてきそうですね。これまでケアマネの常識の一つとして、安静期間が長くなればADLが低下して在宅生活が難しくなるというのはほとんどの人が知っている事です。この当たり前の事に今回改めて定義づけられたのだと覚えてもらうと良いと思います。

ただ、これをきっかけに入院機能関連障害(以降HADで表記)について知識を深める事で、結果として入院したら在宅に戻れなくなったという人を減らせる事が可能になると思います。

ここに少し興味深いデータがあります。

・急性期病院に入院した高齢者の30%がHADを起こす
・HADを起こした高齢者が、退院して1年以内に生活機能を戻す確率は30%
どうでしょう?急性期に入院した利用者の3割がHADになり、なってしまえば機能を取り戻すのはかなり厳しいという現実が分かります。

HADを起こすリスクについて

HADを起こすリスクについて

まずHADを起こしやすい疾患がこちらです。

・肺炎
・肺結核
・急性心不全
・尿路感染
・血液疾患
・悪性腫瘍
これらの疾患の特徴として、症状が悪化するとしばらく安静が必要になりやすく、結果としてHADになるリスクが他の疾患より高いのです。
つぎにHADのリスク要因がこちらです。
・高齢
・入院前にADLレベルが障害を起こしてる
・歩行障害
・認知機能低下
・悪性腫瘍の既往がある
・栄養状態が悪い
これ、一言で言えば「フレイル(虚弱)」状態にある利用者を指しています。
逆に言えば、HADを予防するにはフレイル状態になるのを予防するのが普段から大事だという事です。
自分が担当している利用者がフレイルの状態にあるかどうか判断するスケールがこちらです。参考までに怪しい人はチェックしても良いかもしれません。
医学書院/週刊医学界新聞(第3216号 2017年03月20日)
引用:医学学院 週間医学界新聞第3216号

フレイルの予防ポイント

フレイルの予防ポイント

フレイルの予防ポイントは、普段からの生活習慣です。心身共に活力ある生活を送る事が予防に繋がります。ではどんな事に気をつければ良いのでしょうか?

ポイント①食事

まずは食事です。高齢になると食事量が減りやすく、結果として必要な栄養摂取ができなくなっている人が多くいます。

特に不足しがちなのがたんぱく質です。どういった食品をどれくらい食べればいいかについてはここでは割愛しますが、フレイルのリスクを抱えている人のほとんどは不足しています。

高齢になると若い時と比較すると、1回の食事で食べられる量が減りがちです。その為対策の一つとして、量は減らして代わりに食事回数を増やして1日トータルで必要な栄養を摂取できるようにする方法はオススメです。

また食事が進まない原因に口腔環境が悪化している事も多いです。長期間歯科受診していない人は一度受診して、口腔環境を整える事で食事ができるようになる可能性があります。

ポイント②運動

高齢になると自宅の中で過ごす機会が増え、そうなると外出する機会も減り、あまり体を動かさなくなる人が大勢います。

そこで、本人が続けやすい運動習慣を身につける事が大事になります。ウォーキングなどが代表的ですが1人だと続けられない人もいます。そのような人は、地域によっては高齢者を中心に朝ラジオ体操をやっているグループなどもありますので、そういった社会資源に繋げる事ができると良いでしょう。

家の外に出たくない人でも、掃除や庭の手入れなど家事をすることでも運動にはなります。自宅の中で何かできる事はないか、考えてみる事も必要になります。

ポイント③社会参加

人間にとって、最も大きな喜びはなんでしょう?

多くの人にとっては「人に喜んでもらう」「人から必要とされる」

こういった事が喜びになり、今日を生きる活力に繋がります。その為にはやはり誰かと一緒に過ごす時間を持つ事、社会参加の機会を作る事が大事になってきます。

明確な趣味があり、その趣味の集まりに参加できている人は最高の状態です。しかしケアマネが支援する人でそのような人は少数派だと思います。

例えば男性等で、まだ少しでも働ける能力が残っている人は働く事そのものが社会参加になります。シルバー人材センターなどの社会資源に繋げる事で、その人ができる仕事が見つかるかもしれません。

デイサービス等の利用に繋げるのも方法ですが、その人が上記のような喜びを感じられる場所でなければ意味がありません。上手くマッチングできるよう、ケアマネとして調整する必要はあります。

まとめ

・入院機能関連障害(HAD)とは入院の安静期間が長くなりすぎた結果起こる心身の機能低下の事
・HADの予防はフレイル(虚弱)になるのを防ぐのが大事
・フレイルの予防には生活習慣(食事、運動、社会参加)が大切
今回はHADの基本的な知識について紹介させていただきました。次回は、HADを予防する為にケアマネとして入退院時にしなければならない事について紹介したいと思います。
参考書籍

医療連携が苦手なケアマネ向けにキンドル本も出版してます。

・主治医に連絡や相談するのが緊張してできない
・利用者が入院や退院した時に、病院の医療職との連携が苦手
・在宅の医療系サービスの上手な使い方が分からない
上記のような医療との連携に苦手意識や悩んでいるケアマネは多いです。
特に僕のような福祉系職種からケアマネになった人は、この「医療連携」の壁に必ずぶち当たります。
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そんな思いで本書を作り上げました。
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・毎日のように医師、看護師、リハビリスタッフと仕事を一緒にしている
・(全老健)リスクマネジャー
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そんな事言っても、絶対デメリットもあるでしょ?

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「ちょっと読んでみたいけど、お金を払ってまでってなるとちょっとな~」
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