この記事はこんな人の役に立ちます
・一生懸命頑張っているけど、利用者や家族、サービス事業所などが自分の言う事を全然聞いてくれなくてどうしていいか分からない
あのケアマネ、本当に仕事できないよね。なるべく関わらないようにしないと、こっちが迷惑だわ
こんな辛い事をあっちからも、こっちからも言われる状況になります。そうなってしまうと、自然とフェードアウト。ケアマネの仕事を続ける事は難しくなるでしょう。
そんな事分かってんだよ、でもクセの強い人達ばかりだからどうしようもないんだよ
その気持ち、分かる気がします。ケアマネとして関わる人達ってなぜかクセの強い人達が多いんですよね。世間の常識的な事が一切通用しない人も結構いるので、普通に対応しても全然ダメって事もよくあります。ある意味モンスターです。
何それ、怪しいマインドコントロール系の話?そんな事できるわけないだろ
このように考えるかもしれません。しかしこれは心理学というより、僕達人間の本能レベルにアプローチする為「分かっていても抗えない」というレベルです。
ヤバいくらい効く、3つの影響力の武器
武器①返報性
返報性について、一言で言えば相手から受けた感情や恩義などは同じ程度返したいという人間の心理です。
あなたは今まで親戚や職場の同僚から、お土産をもらった事があるでしょう。そしてそのほとんどが「まあもらってもいいけど、別に特に欲しいモノじゃない」という事のほうが多かった。しかしお土産をもらった手前、何かお返しをしないといけないと思い、わざわざ同じくらいの価値の商品を相手に渡した。
そんな事普通でしょ。もらったのだからお返しをするのは常識でしょ
あなたはこれまでこのもらったお土産に対して、特に何も考える事なく相手にお返しをしていた。そうですね。
ここで大事なのは特に考える事もなく、相手にお返しをしたという所です。これが返報性の力です。
たとえあなたにとってはゴミ同然の無価値なものであったとしても、相手から「私からあなたへのプレゼントです」といって渡されると、なにかしらお返しをしないといけないと考えてしまうのです。
これを実際に利用しているのが、スーパーなどの無料試食コーナーです。
無料で客に食べさせた後店員が「どうです、美味しかったですか?」と笑顔で聞かれると、無料で食べさせてもらった手前、別に買うつもりは無かったけど申し訳ないから一つくらい買ってあげようかと、商品を買った経験はないですか?これも返報性の力が働いた結果です。
この返報性ですが、モノのやり取りだけでなく、人の感情的なやり取りでも発生します。
例えばこれまでなんとも思っていなかったAさんから「実は自分、以前から〇〇さんの事尊敬していて。自分も〇〇さんみたいになれたらいいなって思っているですよ」と言われたとします。
するとあなたの中で、モブ的存在だったAさんが急に「Aさんメチャいい人」にランクアップします。これも返報性の効果です。
ではこの返報性をどう使うのか?ポイントはあなたの事を嫌っている、もしくはあなたが苦手と思っている相手に
「私はあなたの事が好きですよ」
このように好意と言うプレゼントをしてあげるだけです。モノではなく、感情的なプレゼントなのでお金は一切かからないのでプレゼントし放題。そしてあなたからプレゼントをもらった相手は、あなたに対して何かしら同じ程度のお返しをしないといけないと自動的に考えるようになります。
そんな事言われても、良い所が一つも見つからない
分かります。特に自分にとって嫌な人の良い所なんて一つも見つからないのが普通です。
この場合、相手の短所をまずはピックアップしてください。そしてその短所を裏返して長所と考える。これが一番簡単です。例えばこんな感じです。
・口が悪い → 言いたい事を相手に伝える勇気がある
・決断ができない → 思慮深い、物事を細部まで考える事ができる
頑固な人であれば「〇〇さんは自分の信念がしっかりありますよね。私は優柔不断な所があるから、純粋に羨ましいって思います」
こんな感じで好意のプレゼントをしてあげましょう。相手は必ずあなたに対して何かしらの有益なお返しをしてくれます。
武器②社会的証明
社会的証明とは、多くの人間が選んでいるものは良いモノだと自動的に考えてしまう人間の心理を言います。
多数決の心理。人は自分の頭で判断するのが苦手です。だから「大勢の人間が選択しているのだから、この選択には間違いないだろうと」と考えたいのです。その方が頭を使わなくて楽だからです。
僕の経験上、判断に迷った利用者や家族でこういう質問をする人がいます。
「ちなみに、他の人達はこういう場合どうしてるんですか?」
この質問をしてしまった時点で、「もう自分の頭で判断するのを止めました」と言っているのも一緒です。
この後一般論や、多数派の選択肢を示すとほぼ100%提示した選択をします。それくらい社会的証明の力は強力なのです。
ケアマネとして、自分の提案に前向きに考えてほしい場面はたくさんあります。利用者や家族に対しても、サービス事業者などに対してもです。
そのような時、ただ単に提案するだけじゃなく、この社会的証明をセットで使いましょう。
・デイサービスの事業所に「他の事業所さんのほとんどが、お願いすれば送迎時に薬を飲んだかどうかの声掛けをしてくれるのですが、□□デイサービスさんはどうなんですか?」
武器③希少性
希少性とは、希少性の高いもの(なかなか手に入らないもの)に人は価値を感じる心理原則です。実際に希少性が無くても、希少性があると思い込んでしまえばそれが欲しくなってしまいます。
分かりやすいのが、スーパーなどのセールにある「数量限定」「期間限定」という売り込みです。
いつでも買える時には見向きもしなかった商品なのに、このキャッチコピーがくっつけられた瞬間欲しくなった経験は無いですか?特に日本人は「〇〇限定」という言葉に弱いと言われているので、欲しくもない商品を買ってしまった人も多いはずです。
ではこの希少性をどのような場面で使うか?例えばこんな風に使ってみるといいでしょう。
・MSWに「今3名だけなら、急な退院支援の依頼も受けられますよ。ただ他のMSWの人からも頼まれてる人がいるから、必要なら早めに相談してくださいね」と営業してみる
まとめ
3つの影響力の武器