日本人は言葉遣いで〇〇をする習性がある 利用者との信頼関係を築く接遇の大切さについて

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コミュニケーション技術

皆さん、利用者や家族に対してきちんと敬語でコミュニケーションを行っていますか。

利用者へのタメ口は百害あって一利なし 正しい接遇を身に着けて利用者との信頼関係を築こう

僕は以前にもこの記事で接遇がいかに利用者との信頼関係を築く為に大切か書きました。

今日は少し違う視点で何故接遇が大切なのかについて紹介します

 

相手との関係性は正確に測れない

皆さんの周りにもタメ口で利用者や家族に話をする人っていませんか?そしてそのような人達に何故そのような言葉遣いをするのか尋ねると、このような答えが多く返ってきます。

「私は相手との信頼関係ができている。だから親しみを込めてあえてやっている」

この考えに対して一つ紹介しておきたい知識があります。

皆さんは「パーソナルスペース」という言葉は知っていますか?

これは、知らない相手に近寄られすぎたら不快に感じるが、親しい相手(友人や恋人、家族等)であればそうではないという割とよく知られているものです。

ですが、このパーソナルスペース。実は物理的なものだけでなく、心理的なものも存在します。

そして言葉遣いや態度なども、どの程度の関係性の相手に対してなら、どの程度許せるのかという基準は個々人によって大きく異なります。例えばですが、知らない小学生の子どもが突然

「おばさん、これは何?」

と話しかけてきたとします。これに対して「まあ子どもだからこんなものよね~」とおおらかに考えられる人もいれば、「面識のない大人に向かっていきなりタメ口?親はどういう教育をしているのかしら・・・」と不快に感じる人もいます。

そして相手との距離感ですが、正確に測ることはとても難しいです。仮に相手との関係性を0が最低、100が最高とした場合。80くらいが親友や家族と同レベルとして、自分は相手とそれくらいだと考えているのに、相手はあなたの事をまだ50くらいの関係性の相手としか認識していないなんてこともあります。

そのようなズレがある場合に馴れ馴れしい態度をとった場合はどうでしょう。相手はあなたに直接は言わないかもしれませんが「馴れ馴れしいやつだ」と実は心の中で不愉快に感じているかもしれません。

これがプライベートレベルの場合はまだ良いのですが、仕事では致命的になります。この事を踏まえて大事なのはどんな価値観・関係性のレベルの相手に対しても不愉快にさせない対応が必要ということです。

言葉遣いで○○する習性

タイトルにも書きましたが日本人はある特性があります。それは

言葉遣いのレベルで自分と相手をポジショニングする習性

です。どういう事?って感じですよね。

例えば皆さん。職場には上司、同期の同僚、部下や後輩。こんな感じでそれぞれ自分との立場が異なる人達が存在すると思います。分かりやすく表現すれば

・自分より上の立場の人

・自分と対等な関係性の人

・自分より立場が下の人

この立場が異なる相手に対して食事に誘うシーンを想像してください。そしてそれぞれどのような言葉を使って誘いますか?

(例)

上司:「もしお時間あれば、これから一緒に食事に行きませんか?」

同期の同僚:「お腹空かない?何か食べに行こうよ」

部下や後輩:「おごってあげるから、今から何か食べに行くぞ」

ちょっと極端かもしれませんが、こんな感じの言葉遣いになることが多いです。つまり

・上司 → 「あなたを敬っています」という感じを出すために丁寧な言葉や態度

・同期の同僚 → 対等な関係性の為、フランクな言葉や態度

・部下や後輩 → 自分のほうが上だという認識から、上からな言葉や態度

これが言葉遣いで自分と相手との関係性をポジショニングするということです。つまり馴れ馴れしい態度や言葉遣いでは絶対に相手を敬う気持ちが持てないのは、このメカニズムが存在しているからです。

そして介護や医療の業界というのは業務の特性上、支援者側が相手をお世話してあげている感覚になりやすい。つまり「上から目線になりやすい」ということです。

それはクライエントも同じで「お世話してもらっているのだから、少々無礼な言葉遣いは我慢しなければいけない」と思ってしまう。これに甘えて相手が何も苦情を言ってこないのをいい事に接遇態度を改めない人が大量に発生してしまったのが、この業界の今の悪い状況です。

言葉遣いというのは一度悪い言葉遣いが定着すると、下がるのはあっと言う間ですがレベルを上げる事が困難になります。それは一度ポジショニングを確定してしまった相手との関係性の認識を変えることが難しいからです。例えば皆さんが、今日から急に友達に対して敬語で話すのは難しいですよね?それと同じことです。

言葉が丁寧なだけではダメ

では、単に言葉遣いが丁寧なら良いのかというと、当然ですがそんなことはありません。

大事なポイントは「表情」「言い方」です。

例えば利用者さんに食事をしてほしい時に、無表情で「食事をしてください」と言われたら相手はどう思うでしょうか?多くの人が「怖い」と感じます。

人は相手と言葉のやり取りだけでなく、表情から相手が自分に対してどのような感情を感じているのかを察しながらコミュニケーションを行っています。そして特に日本人は相手の表情からその心情を察する事に長けています。

そして無表情は「冷淡」「冷酷」といった冷たい印象を相手に強烈に植え付けます。これが無表情の人が怖いと感じる理由です。

反対に笑顔は相手に安心感を与えます。むやみに笑顔を作る必要はありませんが、相手と話すときのニュートラルな表情は軽く微笑む程度の表情を作ることを意識すると、スムーズなやり取りが行いやすくなります。

そして言い方です。よくサービス場面などで見られるのが「○○してください」という言い方です。

・トイレに行ってください

・立ってください

・座ってください

・寝てください

・歯磨きをしておいてください

どれも相手に「命令」してますね。ハッキリ言って人に命令されて嬉しく感じる人はいません。皆さんも仮に上司から何か命令されても、それがあなたを見下したような上から目線で言われれば、従う必要があることを理解していてもイラッとしませんか?

その為言い方は命令でなく「依頼系」にするほうが遥かに相手に受け入れてやすくなります。

・トイレに行きませんか?

・立ってもらって(座ってもらって)もいいですか?

・食事の後なので、歯磨きをしてお口の中をキレイにしませんか?

ポイントは「相手にこちらの申し出を断れる余地を残しておく」事です。人は相手に命令された場合は反発心を感じやすいですが、実行するのがそれほど難しくない事をお願いされた場合は断りづらい心理があります。

「まあ、断るほどのことでもないしきいてあげよう」

こう思ってもらえるような言い方や言葉の使い方を考えてみましょう。

まとめ

今日の記事のポイントは

・日本人は相手との言葉遣いのレベルで、関係性をポジショニング(上・対等・下)をする習性がある

・自分と相手との関係性を正確に測ることは難しい。その為、間違いのない接遇が必要

・言葉遣いだけでなく、表情や言い方も大切

です。このメカニズムを知ることで、多くの人に接遇がいかに大切か知ってもらえればと思います。

ちなみにサービス業で顧客に対してタメ口を聞くのが常識のような感覚に陥っているのはこの業界だけです。これは大変恥ずかしいことであり、多くの人が接遇の大切さを発信し業界全体の認識を変えていく必要があると思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

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