この業界では頻繁に出てくる言葉の一つに「常勤換算」というのがあります。よく加算などを取得する際に特定の職種が常勤換算で○人以上いないといけないというのがあります。
しかしこの常勤換算。正しく理解している人が意外な程少ないのです。特に管理者レベルが正しく理解していないと、場合によっては報酬返還等という最悪な結果を招きかねません。なので、今日は知っているようで知らない常勤換算について分かりやすく解説したいと思います。
そもそも常勤て何?
皆さん、「常勤=正社員」こんな理解の仕方している人はいませんか?
実はこれ間違いなんです。常勤の正しい定義はこれです
当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、一の事業者によって行われる指定訪問介護事業所と指定居宅介護支援事業所が併設されている場合、指定訪問介護事業所の管理者と指定居宅介護支援事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。
引用:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について
例えばですが、正社員で雇われているAさんは1日8時間勤務の契約。
一方パートですがフルタイムで働くBさん。こちらも1日8時間の契約。
Aさんの8時間勤務がこの事業所の「常勤の勤務時間」となり、Bさんは非正規社員でありますが、ここでは同じ常勤職員として考えれるということです。
常勤換算の方法について
当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該事業所が訪問介護と訪問看護の指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護師等を兼務する場合、訪問介護員等の勤務延時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなるものであること。
引用:老企25号2(1)
この中にある勤務延時間の考え方ですが、勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とします。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とします。
つまり、1日8時間の常勤の人が仮に平均1日10時間、残業込みで働いたとしても8時間までしかカウントできないということです。
さらに併設の介護事業所等で介護業務と兼務している人は、実際にケアマネとして純粋に働いた時間のみが勤務延時間にカウントされます。例えば1日8時間働くCさんですが、午前中の4時間はデイサービスの介護職。午後の4時間はケアマネとして働く場合は、Cさんのケアマネとしての勤務延時間は4時間でカウントします。
実際に計算してみよう
文章だけでは分かりにくいので、例を出して実際に計算をしてみましょう。常勤換算の計算式は
(当該事業所の従業者の勤務延時間数)/(常勤の従業者が勤務すべき時間数)です。
(例)
Aさん 常勤・兼務(管理者)
1日の勤務時間 8:30~17:30(休憩1時間) 勤務延時間8時間
月~金、1週間の勤務時間 40時間
※管理者がケアマネとしても専従で働いている場合は、兼務であっても勤務時間全てが延時間数にカウントできます。
Bさん 常勤(専従)
1日の勤務時間 8:30~17:30(休憩1時間) 勤務延時間8時間
月~金、1週間の勤務時間 40時間
Cさん 非常勤(専従)
1日の勤務時間 9:00~12:00(休憩なし) 勤務延時間3時間
月~金、1週間の勤務時間 15時間
Dさん 非常勤(専従)
1日の勤務時間 12:00~17:00(休憩なし) 勤務延時間5時間
月~金、1週間の勤務時間 25時間
Eさん 非常勤(兼務) 併設の介護事業所で介護業務と兼務
1日の勤務時間 9:00~16:00(休憩1時間) 勤務延時間6時間
内、ケアマネとしての勤務は13:00~16:00
月~金、1週間の勤務時間 30時間。しかしケアマネとしての勤務延時間数は3✕5=15時間。
計算式
40+40+15+25+15=135
この事業所の職員全員の勤務延時間数は1週間単位で135時間です。これを常勤の勤務時間である40時間で割ります。
135/40=3.375
この事業所の常勤換算人数は3.375人という結果になります。どうでしょう?覚えてしまえば簡単だと思います。
まとめ
常勤換算方法は
・常勤の人の勤務時間をまず確認(正社員かどうかは関係ない)
・居宅事業所でケアマネとして専従で働く勤務延時間数(1週間単位)でそれぞれ計算
・計算式は全員の1週間の勤務延時間数の合計を常勤の勤務時間で割る
です。覚えてしまえばそれ程難しくないことですので、是非正しい知識を身に着けて質の高い業務を行っていただければと思います。