介護度改善のインセンティブ配点引き上げで一体何が起きてしまうのか?

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ケアマネの皆さんなら知っていると思うが、2018年から開始された保険者機能強化推進交付金(以下、インセンティブ交付金)というものがあります。

これは国が都道府県や市町村に対して、一定の取組を評価して点数化し、その点数に応じてお金を支払うという制度です。全国で200億円の予算。内都道府県は10億円で、市町村は190億円と保険者にかなりウェイトを置いたボーナス金システムといっていいでしょう。

そして先月9月27日の社会保障審議会介護保険部会で、2019年度は介護度改善のアウトカム指標の配点を20点から60点に拡大することが発表されました。

その前にまず、インセンティブ交付金をもらうためにはどういった取り組みが評価されるのでしょうか?

インセンティブ交付金の評価内容

市町村の指標 計612点 
保険者機能強化推進交付金の指標の概要
Ⅰ PDCAサイクル体制等の構築(82点)
Ⅱ 自立支援、重度化防止等に資する施策の推進
(小計460点)
(1)地域密着型サービス(40点)
(2)介護支援専門員・介護サービス事業所(20点)
(3)地域包括支援センター(150点)
(4)在宅医療・介護連携(70点)
(5)認知症総合支援(40点)
(7)生活支援体制の整備(40点)
(8)要介護状態の維持・改善の状況等(20点)
Ⅲ 介護保険運営の安定化に資する施策の推進(小計70点)
(1)介護給付の適正化(60点)
介護保険事業計画等に具体的な計画を定め、進捗管理
要介護認定者の要介護認定の変化率
ケアプラン点検の実施状況
地域ケア会議における個別事例の検討件数割合 等
居宅介護支援における入院時情報連携加算、退院・退所加算の取得率
(6)介護予防/日常生活支援(80点)
○体操等の通いの場への65歳以上の方の参加率
○地域包括支援センター等への情報提供
○介護予防の場へのリハビリテーション専門職等の関与
○介護予防活動への参加を促進する取組
○介護人材確保のための取組
○介護人材を養成する研修事業の実施状況、研修修了者のマッチング状況

こんな感じで配点項目が複数あります。そして2019年度の変更項目に要介護度の改善による配点が20点から60点と3倍も配点が拡大されたのが今回の注目ポイントです。

ちなみに「アウトカム指標って何?」と思う人に簡単に説明させてもらいます。

アウトカム指標とは

アウトカムとは「成果」の事です。これまで介護保険制度では、「投入量」や「サービス利用水準」が問題とされてきましたが、これからはその制度運用の効果=「アウトカム」が重要だとして国は政策を推し進めています。賛否両論あると思いますが、今後この流れはますます強まるでしょうから、僕達も自分達の仕事に対してどの程度のアウトカム、つまり成果が出たのかをモニタリング等で評価する事が求められるでしょう。

成果を評価するわけですから、客観的に評価しにくい内容ではなく、評価しやすい評価軸が採用されることになります。そして複数ある評価項目で、ある意味分かりやすいのは今回の介護度の改善であるわけです。

介護度改善の配点強化で何が問題なのか?

①ADL改善に偏ったアクション

介護度を改善するということは、認定調査でなるべく良いスコアを残すということです。そして認定調査項目は大きく分けると「ADL」「認知・精神機能」という2つに分かれます。

そして認知機能に関しては一度低下している人の改善は難しいです。しかしADLであれば、介護方法や環境などを改善し、リハビリなどの支援が適切なタイミングで行われる事で改善する可能性はあります。

ここで危惧されるのは、市町村が地域ケア会議等で「もっとADLが改善できるケアプランにすべき」等と、そこしか見ないようになることです。ADLの改善という視点は確かに大切なことの一つですが、生活の主体は利用者であり、そこに真に求められるニーズはケースによって異なります。しかしADL改善ばかり考えてしまうと、結果として利用者の意向を無視した支援になり、意欲の低下などを招き返って状態が悪化する可能性すらあります。

②認定調査結果を不正に歪められる

認定調査は調査員によって行われますが、調査員に対して市町村が不適切な指導を行い、要介護4や5等の高い介護度が出にくくなるようなアプローチが行われる恐れがあります。

調査の結果に不服なら再申請が可能ですが、一度市町村に事前相談が必要な所が多いです。しかしその再申請を簡単に受け付けないようにする動きが出てくる恐れがあります。

介護事業所へどんな配慮を行うのかが大事

ケアマネとして一番気になるのが、僕達の報酬は基本的に介護度が4や5等重症度が重くなるほど高くなる仕組みになっています。しかし質の高いケアを行い、結果として介護度が軽くなると報酬が下がるという矛盾を昔から抱えています。

普通の事業は逆ですよね?良い業績を上げれば報酬が上がるのが基本中の基本です。しかし介護保険制度は質の高い仕事をすればする程、結果収益が減るという構造なのです。これをどうにかしないことには、実際に支援を行う事業所は本腰入れて介護度の改善を目指してケアするのは難しいです。

これに対して一部の市町村では、改善が認められた事業所には収益が減ってしまう代わりに報酬を出している所もあるようです。この取組自体は評価できますが、報酬は少なくとも改善によって生じる減益よりも上回っていないと意味がありません。これから本気でインセンティブの獲得を狙いにいく市町村はこういった視点を持たないといけないでしょう。

まとめ

・インセンティブ交付金の内容と介護度改善の配点が2019年度から20点から60点にアップ

・交付金獲得狙いで、市町村がADL改善に偏った指導や認定調査を不正に行う恐れがある

・介護度改善を行うためには、結果を出した事業所には相応の報酬を出す必要がある

こんな感じです。ただ僕達が仕事をするうえで大事なのは、介護度の改善よりも利用者や家族が生きる事をサポートし、その人の暮らしを支えていくことだと思います。その結果介護度が改善するならそれでよし、介護度が改善しなくてもその人が安心して生活が送れているなら良いのではないかと思います。

国にはそういった取り組みも評価する仕組みを作ってもらいたいものです。

 

 

 

 

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