前回記事居宅の管理者のお仕事① 「減算」を出さないようにして安定した運営を行おう
ここでは減算について書きましたが、今回はその逆「加算」について書きたいと思います。
居宅事業所はただでさえ、他の介護サービスに比べると報酬が少ないため、少しでも収益を増やすためには取れる加算は取るという姿勢や考え方は重要です。
居宅が取得できる主な加算
①初回加算
初回加算の詳細についてはケアマネの初回加算って、初回の利用者以外にも算定できるの??
こちらをご参照ください。
②入院時情報連携加算
加算(Ⅰ)200単位/月
加算(Ⅱ)100単位/月
加算条件
①病院又は診療所に入院する利用者につき、当該病院又は診療所の職員に対して、利用者に関する必要な情報※を提供した場合
※当該利用者の心身の状況、生活環境及びサービスの利用状況
②(Ⅰ)利用者が入院してから3日以内、(Ⅱ)は7日以内に情報提供した場合
入院した際にフェイスシートやケアプランなどの必要な情報を医療機関に提供した場合に取得できる加算です。
昔は直接訪問して情報提供する場合と、訪問しない場合の2区分ありました。しかし今は訪問しなくてもOK で、情報提供の速さで差別化が図られました。しかし医療との連携を深める為にも、直接訪問して利用者の様子の確認や今後の退院予定などの確認をするのがよいでしょう。そして、絶対に3日以内に情報提供して(Ⅰ)を取るようにしましょう。
この加算は要件もそれ程難しくない上に、医療との連携を考えれば絶対に必要です。入院したら絶対に取るつもりで、管理者はケアマネジャーに早急な情報提供を呼びかけましょう。
③退院・退所加算
加算要件
・カンファレンス参加無し
連携1回 450単位/月
連携2回 600単位/月
・カンファレンス参加あり
連携1回 600単位
連携2回 750単位
連携3回 900単位
医療機関や介護保険施設等を退院・退所し、居宅サービス等を利用する場合、退院・退所にあたって医療機関等の職員と面談を行い、利用者に関する必要な情報を得た上でケアプランを作成し、居宅サービス等の利用に関する調整を行った場合に算定。ただし「連携3回」算定できるのは、1回以上について、入院中の担当医等との会議(退院時カンファレンス等)に参加し、退院・退所後の在宅での療養上必要な説明を行った上でケアプランを作成し、居宅サービス等の利用に関する調整を行った場合。
※入院又は入所期間中につき1回を限度。初回加算との同時算定不可。
普通のケアマネであれば、入院中何度か医療機関を訪問して病棟の看護師やMSW等と、退院に向けた調整を行います。これは電話などで行う事もありますが、直接訪問して顔を合わせた連携をすることを評価する加算です。
正直2回くらいだったら行くはずです。なのでこの加算も2回は取るつもりでケアマネにも管理者は働きかけてください。その際、支援経過などの記録に何月何日に誰と会って、どんな内容について話し合いをしたのかきちんと記録を残しておく必要があります。
そして難関の3回取得ですが、これは結構ハードルが高いです。しかし取るチャンスがあるならトライしてみたいところです。3回取得の詳細についてはここでは割愛します。別の機会に記事を書きますね。
特定事業所加算
一昔前、2区分しかなかった頃に比べると今この特定事業所加算は取得もしやすくなりました。
以下それぞれの加算の取得条件です。
① 常勤かつ専従の主任介護支援専門員を2名以上配置していること
② 常勤かつ専従の介護支援専門員を3名以上配置していること
③ 利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項に係る伝達等を目的とした会議を定期的に開催すること
④ 24時間連絡体制を確保し、かつ、必要に応じて利用者等の相談に対応する体制を確保していること
⑤ 算定日が属する月の利用者の総数のうち、要介護3~要介護5である者の割合が4割以上であること
⑥ 介護支援専門員に対し、計画的に研修を実施していること
⑦ 地域包括支援センターから支援が困難な事例を紹介された場合においても、居宅介護支援を提供していること
⑧ 地域包括支援センター等が実施する事例検討会等に参加していること
⑨ 運営基準減算又は特定事業所集中減算の適用を受けていないこと
⑩ 介護支援専門員1人当たりの利用者の平均件数が40件以上でないこと
⑪ 介護支援専門員実務研修における実習等に協力又は協力体制を確保していること。
特定事業所加算(Ⅰ)の②、③、④、⑥、⑦、⑨、⑩及び⑪を満たすこと
常勤かつ専従の主任介護支援専門員を配置していること
特定事業所加算(Ⅰ)の③、④、⑥、⑦、⑨、⑩及び⑪の基準に適合すること
常勤かつ専従の主任介護支援専門員を配置していること
常勤かつ専従の介護支援専門員を2名配置していること
さらに平成30年度の改正で以下の内容が追加されました。
・特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得している事
・退院・退所加算の算定に医療機関等と連携を年間35回以上行っている事
・ターミナルケアマネジメント加算(新設)を年間5回以上算定している事
特定事業所加算(Ⅳ)は特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を取得している事業所が、上記の条件を満たした場合の追加ボーナス的な加算になります。
ただ1回取るだけでも難易度の高い「ターミナルケアマネジメント加算」を年間5回も取得するのは至難の業。狙って取る事業所は少数派だと思われます。
ターミナルケアマネジメント加算の詳細な内容についてはコチラをご参照ください
他の追加要素がコチラ
加算(Ⅰ)~(Ⅲ)共通
・他法人が運営する居宅介護支援事業者と共同の事例検討会・研究会等の実施を要件に追加
加算(Ⅱ)(Ⅲ)
・地域包括支援センター等が実施する事例検討会等への参加を要件に追加
ハッキリ言います。主任ケアマネが一人以上いる事業所なら比較的小規模の事業所でも(Ⅲ)の取得は絶対にできます。
上位の加算のハードルの高さは「重度化要件」と「常勤人数要件」です。特に小規模の事業所だと常勤人数要件をクリアするのは、人件費や利用者の受け入れ人数を考えると困難です。しかし(Ⅲ)であれば、
・常勤・専従のケアマネ 2人
このようにたった3名の小規模事業所でも(Ⅲ)は取れるのです。
その他の要件は定期的なミーティング、研修の実施や参加、地域ケア会議等への参加、研修受講者の実習協力は自分達のレベルアップにも必要であり、加算を取得していなくても積極的にやるべきことばかりです。
3名以上スタッフのいる事業所はこの加算是非取得目指しましょう。
この加算何が大きいかと言えば、要介護で居宅介護支援費を請求している人全員に毎月加算が取得できることです。例えば3人事業所で特定事業所加算(Ⅲ)取得。100名受け入れていたとすると、
3000円(1単位10円とした場合)×100= 30万円
なんと月30万円も収益がアップするのです。独立型であれば、この加算取得していないと、雇っているケアマネにボーナス払えません
まとめ
管理者が収益改善の為に取るべき主な加算は
他にも終末期・ターミナルケアを在宅で行っている人に向けたターミナルケアマネジメント加算等ありますが、対象の利用者を受け入れていない場合は全く取れません。しかし今日紹介した加算はどの事業所でも取得ができます。
特に特定事業所加算の取得は管理者の人は検討してほしいです。人員の問題さえクリアすれば(Ⅲ)の取得はできると思います。
必要な加算を取得して、安定した経営をやっていきましょう。