病院の差額ベッド代は支払わないといけないのか?を解説します

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「この間入院したら、おじいちゃん個室に入れられて。請求書見たらとんでもない料金取られていた」

ケアマネをしていると、よく入院に関してこんな話を家族や利用者さん本人から聞くことがあります。その時知識がない場合は「まあ、個室に入院したんだから仕方ないですよね~」なんて考えたり、言ってしまいます。

しかし!! 実は病院の差額ベッド代(個室料金)は多くの場合支払わなくていいんです。今日はその事についてご紹介します。

差額ベッド代の支払いが成立する条件

差額ベッド代の支払いが成立する条件

①患者自らの希望に基づく場合

特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基
づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのない
ようにしなければならないこと。

当たり前の事ですが、患者本人が「自分は他の人と一緒の大部屋なんて嫌だ。金を支払ってもいいから個室を用意してくれ」と希望することが大前提として必要です。でも、こんな風に希望して個室に入っている人って少ないと思いませんか?

②個室の環境、設備、料金などを丁寧に説明し、同意書による同意を得る必要がある

① 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々
についてそのベッド数、特別療養環境室の場所及び料金を患者にとって分かりやすく掲示
しておくこと。
② 特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金
等について明確かつ懇切丁寧に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させること。
③ この同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うもの
であること。なお、この文書は、当該保険医療機関が保存し、必要に応じ提示できるよう
にしておくこと。

まず口頭での説明・同意は認められず必ず文書による同意を得る必要があります。加えて料金などを分かりやすく説明し、その内容を同意書に盛り込んでおく必要があります。さらに、医療機関の見やすい場所にその料金内容などを掲示する必要があります。

この2つ。どれも高いお金を患者に要求するのだからやって当然の内容ですが、現実には個室料金を取っている多くの医療機関で行われていません。

 

差額ベッド代を請求してはいけない場合

差額ベッド代を請求してはいけない場合

① 同意書による同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者
側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
(例)・救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常
時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者
・免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者
・集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者
・後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者(患者が通常の個室よりも特
別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
・クロイツフェルト・ヤコブ病の患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整っ
た個室への入室を特に希望した場合を除く。)
③ 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選
択によらない場合
(例)・MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者の院内感染を
防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させたと認められる者

引用元:厚生労働省HPより

まとめると

・患者本人が希望しても、同意書による同意(室料の記載と、患者側の署名がない場合は無効)を得ていない場合
・患者の治療上の理由(感染症等で、隔離対応する必要がある等)等、患者本人の選択でなく、病院都合の場合

この場合は差額ベッド代は請求できないと明確に記されています。しかし現実には「○○さんは感染症の為、個室対応が必要です。なので今日から個室に移りますので個室料金は支払ってくださいね」等と病院から説明を受けて半ば強制的に支払わされています。

差額ベッドの相談はどこにすればよいか?

差額ベッドの相談はどこにすればよいか?

差額ベッド代の相談はどこにすれば良いのでしょうか。一番思い浮かぶのは現在入院中や、既に支払いをしてしまった医療機関ですよね。

ただその場合、現場の看護師や医師に直接は言わないほうがいいと思います。現場のメディカルスタッフはこの通知内容を知らない人も多く、訴えた結果「クレーマーの患者と家族だ」等と思われるとお互いに気まずい関係になってしまいます。

まずは医療機関の請求関係の窓口、或いはMSWなどがいる相談窓口に行ってみましょう。その際はこの記事でも引用した「保医発0326号」

こちらをダウンロードしてスマホや印刷してこちらの主張している根拠を相手に見せてやってください。これをやるとほとんどの医療機関が引き下がって、差額ベッド代は支払わなくて済みます。

ただ、相手方と直接やり取りするのはしんどいという方は公的な相談窓口を利用しましょう。それは「地方厚生局」です。各エリアにありますので、自分の自治体の管轄の厚生局に相談してください。違法な請求だと認められれば、地方厚生局が医療機関に対して返還命令を行ってくれます。

  • 北海道厚生局医療課 011-796-5105
  • 東北厚生局医療課 022-206-5216
  • 関東信越厚生局 048-740-0815
  • 東海北陸厚生局 052-979-7382
  • 近畿厚生局 06-6942-2414
  • 中国四国厚生局 082-223-8225
  • 四国厚生局 087-851-9502
  • 九州厚生局 092-707-1123

まとめ

病院の差額ベッド代(個室料金)は

患者側の希望による選択と、同意書(室料記載と患者側署名が必要)による同意がなければ請求することはできない

この事をしっかり覚えておきましょう。そしてケアマネとしてその相談を受けたときには、必要な情報提供をして利用者さんやご家族のサポートをしてあげてください。

参考になったという方は是非コメントお願いします。

 

 

引用文献:平成18年3月13日保医発第0313003号、平成26年3月16日保医発0326第1号

 

 

 

 

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