この記事で簡単に触れましたが、この記事では4大認知症の一つである「アルツハイマー型認知症」の特徴について紹介します。
アルツハイマー型認知症とは?
アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβやタウタンパクというタンパク質が異常に溜まり、それに伴い脳細胞が損傷したり、神経伝達物質が減少し、結果脳全体が萎縮することで発症します。なかでも海馬の萎縮が目立ちます。
しかしどうしてそのような事が起きるのか原因不明です。
「これをすれば認知症が予防できる」といった情報も出回っていますが、実際にはしっかりした医学的根拠はなく治療もできないのが現状です。
男性よりも女性に発症者が多いという特徴があります。
アルツハイマー型認知症の症状
特徴的な症状として
- 物忘れ
- 見当識の低下
- 意欲減退
- 感覚、聴覚、味覚、嗅覚等の五感の低下
- 失行(服を着替える等の、簡単な動作をどう行っていいか分からない)
- 失認
- 視空間失見当(自分の家が分からなくなる、等)
このような症状が出現します。物忘れは本人が自覚していないことが多く、その結果「物が無いのは誰かに盗られたからだ」と考えるようになり、結果として物盗られ妄想が出現しやすくなります。
また言語能力の低下もあって、自分の気持を周囲に上手く伝えられず、そのイライラから無気力やうつ傾向、暴言や暴力といった症状も見られるようになります。
一方で運動能力はあまり阻害される事無く保たれる為、独歩で元気に歩ける人も多いです。
しかし末期になってくると、人格変化が起き、何も喋らない・動こうとしないようになってきます。
そしてADLも低下が進行し、ほぼ寝たきりの状態になってしまいます。
支援のポイント
①本人や家族の不安を受け止める
認知症の中でも、アルツハイマー型認知症はかなりメジャーです。というより、一般的な認識として「認知症=アルツハイマー型認知症」と考えている人が実際多いです。
しかし、病気の特徴などについてきちんと知っている人は少なく「なんとなく恐ろしい病気」というのが正直な所です。
医師から「あなたはアルツハイマー型認知症です」と診断されても、すぐにその現実を受け入れるのは困難です。
支援者は急がずに本人・家族それぞれの立場から話を聞かせてもらい、まずは不安な気持ちを受け止めてもらえる存在であることを理解してもらえる事に努めましょう
②記憶障害への対応を考える
先述したように記憶障害が著名になり、その事で日常生活への影響は避けられなくなります。
しかし本人は物忘れの自覚はあまりありません。そのため物が無くなれば「誰かが盗った」と考えます。
これは自分がそんな事を忘れるわけがない、物が無いのは誰かのせいだと考える事で自分の自尊心を守る防衛本能から起きている行動で、決して周囲を悪者にしようと意地悪をしているわけではありません。
そのため、大事な物はしまう場所を決めておき、タンスの引き出し部分に「通帳」等と紙で書いておくなどするのが一つの対応です。
しかし、それだけやっていても無くなる時に無くなります。そのような時は「知りません」「私じゃありません」と言うのではなく「一緒に探しましょう」と味方になってあげると良いです。
見つかった場合は「見つかりました」と言うと「そんな事言って、あなたが犯人なんじゃないの?」となる可能性もあるため、上手く誘導して本人が見つけられるようにすると良いでしょう。
③家族のストレスへのケアも考える
利用者ができない事が増えてくると、家族のストレスは増えていき
「さっき言ったでしょう。何回も聞かないで!」
「そんな事も分からないの。ちゃんとやってよ!」
「もういいから。何もしないで!」
こんな言葉が増えてきたら要注意です。かなりストレスが増えている証拠です。
認知症をケアする支援者は、利用者本人の気持ちや精神的な状況を家族に分かりやすく説明し、理解してもらえるように努めます。
しかし、家族のストレスがあまりに強い状況ではそういった情報を適切に受け止めるだけの力が残っていない場合があります。そのような場合はショートステイの利用などを提案し、まずはストレスを軽減できる方法を考えることも必要です。
まとめ
✔ アルツハイマー型認知症の特徴として、原因不明の脳萎縮(主に海馬)で主に男性より女性に多い
✔ 主な症状に、
- 物忘れ
- 見当識の低下
- 意欲減退
- 感覚、聴覚、味覚、嗅覚等の五感の低下
- 失行(服を着替える等の、簡単な動作をどう行っていいか分からない)
- 失認
- 視空間失見当(自分の家が分からなくなる、等)
✔ 支援のポイントとして
- 本人や家族の不安を受け止める
- 記憶障害への対応を考える
- 家族のストレスへのケアも考える
今回は4大認知症の一つ、アルツハイマー型認知症の特徴について紹介しました。それぞれの認知症の特徴の違いを理解できれば、質の高いケアが行なえます。参考にしてみてください。
参考文献