事件、60歳ケアマネが利用者のお金350万を窃盗

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ニュース

先日多くのケアマネを驚かす、衝撃のニュースがありました。

滋賀県警草津署は7月4日、窃盗の疑いで、滋賀県守山市の介護支援専門員の男(60)を逮捕した。容疑を認めているという。

逮捕容疑は、昨年5月28日~7月30日の間、栗東市や守山市などのコンビニエンスストアで、不正に入手した他人名義のキャッシュカードを使って7回にわたり、現金計350万円を引き出して盗んだ疑い。

同署によると、カードの名義人は男が県内の勤務先で担当していた高齢者で既に亡くなっている。親族から今年4月、「預金口座からお金が引き出されている」と同署に相談があり、捜査していた。

引用:YAHOOニュース 京都新聞

まず事件で被害を受けた親族の方には、同業者として心から申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

そしてこの事件で僕と同じようにケアマネをしている人は大変ショックを受けたはずです。

この事件について、頭を整理するためにも記事にしてまとめてみようと思います。

 

※音声で聴きたい方はコチラから

 

ケアマネの金銭管理に関する責任の範囲とは?

ケアマネの金銭管理に関する責任の範囲とは?

まず大前提としてケアマネには利用者の金銭管理をする責任も権限もありません。

当たり前ですが基本的には金銭管理の責任と権利は利用者自身にあります。しかし高齢者になると様々な機能の低下から自力で行うのが難しくなります。その場合は家族などが代理人として行うのが一般的です。

しかし場合によっては、家族も頼ることができず、利用者自身も金銭管理ができない場合もあります。この場合に使える制度の代表として以下の2つがあります。

・後見制度(成年後見制度、任意後見制度)
・日常生活自立支援事業
成年後見制度は有名な制度ですが、日常生活自立支援事業は一般的にはあまり知られていない制度です。
この制度についての詳細はコチラから

これらの制度を活用して、代理人が金銭管理をすることができます。

しかし、このような制度を利用するまでには時間や労力がかかるため、ケアマネが一時的に金銭の管理に関わることが現実としてあります。

例えば、公共料金の支払いや介護サービスの利用料が滞っている場合に、利用者が手続きができない状況であれば、ケアマネが一時的に代行することもあります。

しかし、このような役割を果たす際にトラブルに巻き込まれる可能性もあります。そうなった時に自分の潔白を証明することが難しい事から、ケアマネの本音としては「あまり積極的にやりたくない」です。

しかし放置してしまえば、生活に重大な影響が出る可能性が予測できます。それを何とか避けたいからケアマネジャーが手続きを代行したり、銀行の窓口に行って相談をする事もあります。

しかしこれはケアマネの責任の範囲を超えたものであり、可能な限り避けるべきでしょう。

この問題をケアマネだけに押し付けず、国が主体的に改善に取り組む必要があるのではないでしょうか?

キャッシュカードの不正利用が起きた理由

キャッシュカードの不正利用が起きた理由

まず大前提として、99%のケアマネが今回のような事件を起こす事はありません。それは同じケアマネの仲間の名誉の為にも断言しておきます。

ただケアマネがキャッシュカードを預かっていた事が、この事件の起きた最大の理由です。

普通赤の他人に自分の大切なキャッシュカードを預けないですよね。ではなぜこの利用者はケアマネにキャッシュカードを預け、あまつさえ暗証番号まで教えてしまったのか?考えられる理由がコレです。

 

・利用者の認知、判断機能が低下していた
・ケアマネの事を、家族と同じかそれ以上に信頼していた
ケアマネはクライエント(利用者や家族)と信頼関係を築いたうえで仕事をするのが大前提です。
信頼関係が築けなければ、どんな支援も進める事ができないからです。
だから僕達は信頼関係を築く為に、日々様々なコミュニケーション能力を高めるための努力をしています。
僕の場合、このような本を読んで勉強しています。
その為ケアマネによって差はありますが、僕達はコミュニケーションのプロ。言ってしまえば「人と信頼関係を築くプロ」なのです。
信頼関係というのは、素晴らしいものです。しかしこれを悪用するやり方もこの世界にはたくさんあります。それが世間を騒がせた旧統一教会などの、マインドコロントロールを使って自分達の利益の為に、他人に不利益を与える行為です。
今回の事件。例えば利用者から「あなたの事を信頼しているから、キャッシュカードを預かってほしい」等と言われても「それはできない」と理由をキチンと説明した上で断れば良かったのです。
しかしケアマネが預かってしまったばかりに、何かしらの理由で欲に目がくらみ、結果としてこのような犯罪行為に走ってしまったのです。
非常に残念ですが、これは他人事ではなく、専門職としての倫理綱領などを無視して仕事をしてしまうと「明日は我が身」になりかねません。全てのケアマネはこの事件から、自分も同じことをしてしまう可能性と、それをどうすれば予防できるのか?考える必要がありそうです。
また利用者、家族側としてもどれだけ信頼しているケアマネであっても、キャッシュカードや通帳類を預けるなど金銭管理を託してはいけません。
お金の管理は頭を使う為大変かもしれません。しかし大事なお金を他人に預けるという事は、今回のようなリスクも発生してしまうのです。
「自分達のお金は自分達が守る」という意識が必要ですね。

医療保険証廃止→ケアマネにマイナカード代理申請させる案について

重役会議

今回の事件で少し考えた事があります。

知っての通り2024年の秋に、国は現在の紙ベースの医療の保険証を廃止し、マイナーカードに一本化する予定です。

しかし、この計画は国会でも批判を浴びています。現在、マイナーカードの返納運動が急速に増加している事からも、国民の理解が得られていない状況です。

その理由はマイナーカードを使ったら他人の個人情報が出てくるなどのセキュリティ上の信用問題が起きており、多くの人々から信頼を失っているからです。

それにもかかわらず、国は来年の秋までに完全に紙の保険証を廃止すると発表しています。 この決定に高齢者の中にはマイナーカードの手続きに苦労する人々がたくさんいる為、不安の声が多く上がっています。

それに対して国はこのような事を言ってます。

 

高齢者施設の施設長や相談員、ケアマネには高齢者の代行申請ができるようにします

 

まるで「その他大勢の書類と同じようにサクッとやってくれたらいいんだよ」というこの軽さ。怒りを通り越して呆れてしまいます。

なぜか?マイナカードは普通のカードではありません。個人情報の塊です。さらにマイナポイント事業で多くの人が銀行口座と紐づけています。

そこに僕達ケアマネが代行申請した結果、必ずこのような事を言ってくる人達がいます。

・ケアマネが申請したマイナカードが届かない。ケアマネがきちんと申請していないのでは?
・ケアマネが申請したマイナカードが上手く使えない。ケアマネのせいでは?
・銀行口座の残高が思った以上に減っている。代行申請したケアマネが、申請時に不正を働いたのではないか?

ザっと挙げただけでも、こんな事を言ってくる人が必ずいるでしょう。

代行申請をした結果、このようなトラブルにケアマネが巻き込まれた時の対応について、国は考えているのでしょうか?さらに言えば、これだけ負担がかかる行為に協力しろと言うのであれば、それに見合った報酬の用意などは当然してあるのか?

現状としてはこのような問題に対しての明確な答えはありません。これでは現状積極的に協力したいケアマネのほうが少数派ではないでしょうか?

マイナカードの申請については、可能な限りは本人、もしくは家族に行ってもらいたいと思います。しかしどうしても自分達でできない。その場合はしっかり相談して話し合って、代行する場合はケアマネサイドは「預かり書」などを用意して自分達がトラブルに巻き込まれないように防衛策を考えておく必要がありそうです。

 

お金は生きていく上で大切な資産です。それに対して僕達ケアマネもできる限りのサポートはしたいと思います。

一方で、デリケートな領域の問題でもあるため、関りは慎重にならざるを得ない事を一人でも多くの人が理解してくれると嬉しいですね

 

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