ケアマネのアセスメントの重要性はほとんど人が分かっていることなのですが、いっぱいおさえておかなければならないことがあって、
「結局どうしていいか分からない」
こんな状態になっている人もいます。なので、今回は最低限これだけは覚えておいてほしい、アセスメントに必要な3つの視点をご紹介します。
視点①:利用者に関心をもつ
・その人を知る、人として理解する
これはアセスメントシートの項目に書かれているADLや既往歴を知るというだけではなく、
「この人は今までどのような人生を歩み、どんな考え方をしてきたのだろうか」
という事に関心を持って質問をしていくという事です。
ただ「あなたの歩んできた人生の歴史を産まれた時から時系列で教えてください」と言ってきちんと答えられる人はいません。
利用者の話は内容が飛ぶし、情報の内容も客観、主観、経験、情緒などが入り混じり次々変わるのが普通です。そういった事を理解しながら、話す利用者の言葉や仕草から真意を見出し、話しの内容を繋ぎ合わせていくことで利用者像が少しずつだが見えてきます。
・CMがどういう存在で何故このような事が聞きたいのかを利用者に伝える
会ったばかりの人にいきなり「借金の返済が今もあって病院も介護サービスもろくに使えない」などと本音を話してくれる人はまずいません。その為まずはCMが利用者に対してどういったことができ、何の為にこのような事を質問するのか理解してもらうことから始めましょう。
それでもいきなり本音を話してくれる人は少ないのですが、面接の回数を重ねる事で少しずつ本音を話してくれやすくなります。大事な事はCMは利用者にとっての問題などを一緒に考え、解決を手伝ってくれる、そういう寄り添う存在であることを分かってもらう事です。
・利用者のもっている力を探す
まずは援助の「主役」があくまでも利用者であることをケアマネ自身が理解しましょう。そして質問も「あなたの事がもっと知りたい」と相手に感じてもらえることで、少しずつ利用者の主体性が出てくる事が期待できます。そうなると利用者の持っている「力(ストレングス)」が分かるようになってきます。
・関心とは興味本位ではなく気にかけ指示する態度と能力
CMが行う「関心をもって質問する」は決してCMの興味や好奇心を満たすようなものであってはいけません。そうならない為に以下のポイントに留意して質問を行いましょう。
Ⅰ:相手が「話そう」という気持ちになる(場をつくる能力)
Ⅱ:語られる話を信じる能力、一方でその話を客観的に分析、判断する能力
Ⅲ:相手の人生や生き方を共有、理解しようとする
Ⅳ:話しの裏にある内容や想いを膨らませることができる想像力
Ⅴ:相手を敬う
Ⅵ:相手の抱く怒り、弱さ、悲しみを認め尊重する
Ⅶ:相手が話をしたい部分ばかりではなく、話をしたくない部分にも気づく
視点②:利用者のストーリーで理解する
・情報は単体では意味がない
アセスメントシートの項目を全て埋めるだけでは、適切なケアプランに繋がっていきません。ポイントは「情報をもとに利用者をストーリーで理解する」ことです。
どこで生まれ、どんな家族と育ったのか。故郷の土地柄、時代背景。若い頃の暮らし、希望、家族の中での役割、若い頃描いていた老後のイメージ、人生であきらめたこと、満足している事等を聞いてみましょう。
・利用者の生活史
当たり前の事ですが、利用者の今の生活は過去の生活史があった形成されています。CMはどうしても現状の生活状況や課題の解決、その後の生活にばかり視点が行きがちです。
しかし現在と未来は過去の生活の延長線上にあることをまず知ってください。 例えば同じ脳梗塞の利用者でも幼少期を戦中、戦後に過ごしていたのかでも異なります。
人格は育った家庭環境もそうなのですが、その時代の社会環境や価値観に大きく影響される部分も多い為、ある程度時代背景によって傾向があります。
また利用者に「生まれた時から今までの生活史を語ってください」と言っても全て話せる人は少ないでしょう。話しの中から情報と情報を結びつけ「仮説」を立てそれを利用者に確認していく作業を繰り返し行っていく必要があります。
・アセスメントを循環させる
利用者に話を聞き、ストーリーを理解し、仮設を立てる、という事を行っていると「何か違う」としっくりこないこともあります。そのような時は何が聞けていないのかを考え、しっくりこない部分の確認に戻る必要があります。
アセスメントの進行イメージは一直線に進むものではなく、円を描く螺旋のイメージです。しかしその螺旋は横から見れば上昇している。つまり円を何度も描けば描くほど深まっていくものと考えてみましょう。
視点③:話を引き出すコツを知っておく
・質問の内容があっちこっちと飛ばないように関連して聞いていく
質問したい内容は面接の前に頭に入れておき、会話の流れの中でタイミングよく切り出していきましょう。
例えば緊急連絡先を聞くときも、いきなり脈絡もなく切り出すより、震災の話し等の中から「そのような災害があったときの為に、緊急連絡先を教えてほしい」など言えばスムーズに聞き出せます。
・最初に「お金」「家族状況」「病気」「最期の希望」など聞きづらい質問は聞く
「そんなの、初対面でいきなり聞いたら怒られたり、印象が悪くなるのでは・・・」と思うかもしれません。
しかし、実際には時間が経てば経つほどに聞きにくくなるし、急にその事を知りたい状況になってから聞くのも難しい事が多いです。
「とても聞きにくいことなのですが、支援させていただく上で必要になるため教えていただけないでしょうか?」とちゃんと聞く理由を添えて切り出してみましょう。
ちゃんとした理由があれば、多くの人が答えてくれるものです。
まとめ
いかがだったでしょうか?仮に10個くらい覚えておきたい事があっても「そんなに覚えられん」という人が多いと思います。しかし3つくらいならなんとかなりそうじゃないですか?
あまり難しく考えすぎて、かえって何もできないよりはシンプルに幾つかポイントを絞ってやったほうが上手くいくことが多いです。
是非、実際のアセスメントでも参考にしてみてください。