アセスメントができない!そんなケアマネは「7領域」を覚えよう

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アセスメント

この記事はこんな人の役に立ちます

ケアマネだけどアセスメントが苦手。上司や先輩から「アセスメントが不十分」って言われるけど、何をどうしていいのか全然分からなくて辛い
「ケアマネにとってアセスメントは重要」
これはケアマネなら誰でも知っている事です。何故ならアセスメントはケアプランを作る為の準備段階。
料理で言うなら、材料を買いそろえ、レシピを確認し、具体的にどういう手順で料理をするかの計画を考える段階です。
材料もレシピもなければ料理が作れない。それと同じでアセスメントができていなければまともなケアプランは作れない。

そんな事分かってる。でも、アセスメントって何をどうしていいか分からないんだよ

これですよね。結果として、アセスメントシートをただ埋めて何となくそれっぽいケアプランを作っている。そんな状態になっている人も多いと思います。

そこで今回は、僕が色々学んできた中で具体的なアセスメントのやり方として「7領域」をベースとした手法について紹介します。
この手法は社会福祉法人開寿会はちぶせの里、統括管理者である中野穣氏が提唱している手法になります。
今回の記事の参考書籍

アセスメントの7領域とは?

アセスメントには様々な情報の種類があります。しかしケアマネ毎に得意、不得意もあり情報収集に偏りが生じてしまいます。

そこでアセスメントに必要な領域を大きく7つに整理し、各領域毎の情報をまずはちゃんと確認していきましょうというものです。

ただこれは全く新しい考えではなく、研修などでもよく使われるICFモデルをベースにしたものになります。

領域①利用者の語り

利用者が話す言葉。その率直な言葉から今の自分をどのように感じているのか?何に困っていて、どうして今回ケアマネジャーから支援を受けようと思ったのか?そのような「思い」を確認します。

ケアプランで言えば「意向」の部分です。利用者が語る言葉から、利用者から見える主観的な世界観を理解する事がここでは重要になります。

領域②健康(疾患)

ケアマネジメントで最も優先すべき事、それが「生命の保護」です。

この領域はどんなケースであっても最初に情報収集する必要があります。何故なら健康状態はQOL全体に大きな影響を及ぼすからです。
ここで絶対に確認しておきたい情報が薬の情報です。
利用者がどんな薬を、どの程度の量飲んでいるのか?特に僕達ケアマネが意外と見落としがちなのが、薬の重複や多剤服用による副作用です。
そういった健康へのリスクを確認する為にも、薬の情報は必ず確認しておきましょう。

領域③心身機能、身体構造

利用者の心身の機能についての情報です。大きく「精神機能」「身体機能」「身体構造」に分けて整理します。

①精神機能

精神機能とは、注意、記憶、思考、計算といった脳の機能の事でこれらが障害を受ける事を精神機能障害と言います。
認知症による記憶力や理解力の低下、抑うつなどの気分障害も含まれます。

②身体機能

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの感覚機能、筋力や内臓機能、循環機能などの身体に備わっている機能を総称して身体機能といいます。
身体機能は日常生活の様子で評価できます。
例えば視覚なら、新聞の文字をメガネをかければ読める。下肢筋力なら外は歩けないが、自宅内程度の距離なら歩行できる筋力がある、等です。

③身体構造

身体構造とは文字通り「体」です。手足の切断など、構造上の障害を身体構造障害と言います。
特に重要なのが口腔や皮膚の状態です。次のような情報を確認しておきましょう。
・口腔
残歯の状況、歯茎のやせ方、舌苔(下に付着している白いもの)
・皮膚
色、傷、内出血の有無、感想、浮腫み、冷感、加齢による脆弱性など

領域④ADL、IADL(活動)

活動とは、歩く、トイレで排泄する、食事をするといったADL。そして料理、買い物、洗濯、仕事をするなどのIADLの両方を含む全ての日常生活上の行為を差します。

ADLはよく自立・見守り・一部介助・全介助等の評価基準がありますが、これだけでは利用者の状態の把握には不十分です。

例えば日常生活ではトイレで排泄する場合、ベッドから起きて歩いてトイレに行って排泄する。

つまり複数の動作が組み合わさって行われています。それなのに各行為を単発で評価する事に意味はありません。

例えばトイレ動作自体は自立という評価でも、歩行が介助が必要な場合、実際の生活の中ではトイレは自立で行えているわけではないという事になります。

人的、物的環境との関連性

活動は人や物といった環境との関連性で評価する必要があります。

例えば病院や施設で、職員と一緒に歩いてトイレに行く場合と、自宅の段差がある環境で一人でトイレに行く場合とでは、同じ排泄のプロセスでも異なる評価になるという事です。

「している活動」と「できる活動」

活動を「している」「できる」の2つに仕分けます。

まずはしている活動を確認します。

(例)

歩いてトイレまで移動はできる、自分でPトイレを使うことはできる、食事は用意されていたら自分で食べる事ができる・・・etc

介助なしに自分でできるのか、介助があればできるのか?両方の視点で評価します

 

次にできる活動です。できる活動には

①現在はしていないが、機会があればできる活動
②リハビリなど専門職の支援を受ければできる活動

この2つの視点で評価します。

例えば、昔は庭作業が好きで毎日のようにやっていたが、最近は足腰が弱ってきて転倒してもいけないので庭作業はやっていない。この場合は①に該当します。

②についてはケアマネだけで判断するのは困難です。リハビリ専門職などに、どの程度改善が見込めるのか確認します。

領域⑤役割(参加)

役割とは「誰かと一緒に」もしくは「誰かの為に」何かをする事です。

ICFモデルではこんな声がよく聞かれます。

「活動」と「参加」の違いがよく分からないんだけど

そこで分かりやすい例を紹介します。

例えば「料理」

家族の中で自分が家族の為に毎日料理をする。この場合料理は、家族の中の自分の役割となっているので「参加」になります。

一方で一人暮らしで自分が食べる為だけに料理をする場合。これは自分以外の誰かの為にやっている行為ではないので「活動」になります。

同じ行為でも目的が異なれば「活動」と「参加」に別れる事になります。

ケアマネジャーの想像以上に大切な「役割」

マズローの欲求段階に「承認欲求」「自己実現の欲求」があります。

簡単に言えば「人は自分以外の他者から認められ、求められる存在でいたい」という欲求です。

想像してみてください。衣食住には困らない。でも誰からも求められず、必要とされず、孤独に同じような毎日を過ごす事を。結構地獄ですよね。そしてそれは要介護状態になった高齢者でも同じです。

人は誰かに必要とされ、喜んでもらう事で幸せを感じれるのです。しかし介護が必要になった事でこの役割を失ってしまう。その結果、精神的な廃用が進みそれがやがて身体の健康状態にも悪影響を与えるようになるのです。

この役割ですが、大袈裟に考える必要はありません。ありがちなのが、昔の役割を取り戻そうと本人も周囲も必死なるのですが、それができず「やっぱりもうできる事なんてないね」って諦めてしまうパターンです。

元気な頃は家事を一生懸命一人でこなしていても、加齢による衰えと共にできなくなるのは自然な経過です。

そうではなく、今の本人ができる新しい役割を見つける事ができないか?そういった視点でこの領域の評価をしてほしいと思います。

例えば孫が遊びに来た時は、その話し相手をしてあげる。それだけでも大きな役割です。

また朝の新聞を取ってきてあげる、家族が留守の間に郵便物を受け取ってあげる、近所の人が来た時に話し相手になってあげる。このような小さく思える事でも、誰かの役に立っているならそれは立派な役割になります。

領域⑥環境

環境は大きく分けて「人的環境」「物的環境」「制度的環境」の3つがあります。

①人的環境

人的環境とは、家族や地域住民など本人の周囲に存在する全ての人を指します。

人的環境の代表的存在は家族です。ここで注意点があります。それは家族に対して「本人の事を介護するのが当たり前の存在」であるという認識です。

確かに家族は利用者にとって最も身近な存在であり社会資源でもあります。その一方で家族は「利用者との生活に支援が必要な人」という別の面がある事を理解しておく必要があります。

②物的環境

物的環境とは、利用者の周囲に存在する全ての「モノ」です。

例えばテーブルの上に置かれているモノ、壁に駆けられている表彰状や絵、ベッドの近くに置かれている写真、本棚に入っている本。

このようなモノから利用者のライフスタイルや価値観、趣味などが分かります。

それ以外にも自宅がある場所が都心なのか、山や海など田舎なのか。近くにスーパーや病院などの社会インフラはどの程度あるのか。そういった環境も含みます。

③制度的環境

制度的環境とは、介護保険をはじめ医療保険、障害者制度、成年後見制度、年金、市町村サービス・・・etc

利用者が利用できる全ての制度を指します。ケアマネとして常に最新の情報を知り使えるよう、アンテナを張っておく必要があります。

環境には「+」と「-」の両面がある事を理解する

僕達は単純に、利用者が利用できる環境は多ければ多い程良い事だとと考えがちです。

しかし環境には+面だけでなく、ネガティブに作用する-面もある事を知っておく必要があります。

例えば独居の利用者。一人暮らしが困難になっていたタイミングで県外から長女が戻ってきて同居を開始したとします。

普通に考えればポシティブな事に思えます。しかし同居をする事で、長女が本人に対して細かな事でも執拗に指摘し、「もう余計な事はしないで」等と言って本人がやっていた事も代わりにやるようになる。

結果として利用者の心身の廃用が進行してしまった。このような事例は数多くあります。利用者にとって環境が必ずしも+にだけ作用するわけではない事を理解しておく必要があります。

領域⑦個性、生活史

個性とは利用者の性別、人種、年齢、ライフスタイル、習慣、性格などです。生活史は小さい頃に生まれ育った時代背景、若い時はどのような仕事にどの程度携わってきたのか。結婚の有無や定年後の暮らし方、大切にしてきた趣味等です。これらは利用者の日々の判断や活動に大きな影響を与える要素になります。

利用者の個性や生活史を見る時には、+と-の両面で評価する必要があります。

例えば若い時に夫を亡くし、働きながら子ども達を育てたという女性がいたとします。

-面として、若い時に経済的に苦労した為お金を使う事に消極的で必要な医療や介護も拒んでしまう。

しかし+面として、苦しい状況であっても創意工夫して乗り越えるたくましさがある。また子ども達は苦労して育ててくれた母親に対して感謝をしており、自ら積極的に関わってくれる良い関係性が築かれている、等です。

そしてケアマネとして、利用者が持っている+面。つまり「強さ(ストレングス)」に焦点を当ててそれを生かせる支援を考える事が大切になります。

まとめ

アセスメントの7領域

①利用者の「語り」
②健康(疾患)
③心身機能・身体構造
④ADL、IADL(活動)
⑤役割(参加)
⑥環境
⑦個性、生活史
今回はアセスメントで集めた情報を7つの領域に分けて考える方法について紹介しました。
まずはこれに沿ってアセスメントの情報を整理してみてください。それだけでも利用者の理解が深まりケアプランが作りやすくなります。
ただこの手法の神髄は、7つの領域の情報を使ってケアプランを作る過程にあります。その内容については別の記事で書こうと思います。
今回の記事の参考書籍

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