BPSD対応④「ご飯を食べようとしない」 無理に食べさせようとしていませんか? 必要なのは食べられない背景を知る事

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認知症ケア

介護場面でよく対応に困ることの一つにタイトルにもある「ご飯を食べようとしない」事です。

認知症のない方であれば体調不良やメンタルが落ち込む事があった等、比較的原因が分かりやすいのですが、認知症の方の場合は分かりにくい事から対応に苦慮している人も多いと思います。

なので、今日はご飯を食べようとしない認知症の人の対応方法を紹介したいと思います。

 

「ご飯を食べない」=「食事介助拒否ではない」

ご飯を食べれないと健康状態の悪化などが簡単に予測される為、僕達はなんとか食べさせようと必死になります。実際施設などで看護師から「5割以上は食べさせて」「水分は絶対全部飲ませて」「栄養補助食品は全部食べさせて(じゃないと点滴しないといけなくなる)」等謎のプレッシャーをかけられて、利用者が苦痛を感じているのが分かっているのに無理やり気味に食事介助した経験がある人もいるのではないでしょうか?(僕も経験者の1人です😅)

しかし、そのやり方で利用者がご飯をスムーズに食べるようになりましたか?ほとんどの場合逆にどんどん食事が食べられなくなったはずです。その理由は大きく2つあります。

理由①利用者に食事が苦痛の時間であることが、強く記憶されてしまう

皆さんも想像してみてください。なんだかよく分からない状況下で、自分の嫌いな食べ物(嫌いな食べ物がない人はゲテモノ料理等を想像してください)を無理やり口に入れられて食べさせられる光景を。

・・・どうでしょうか?正直拷問レベルの苦痛ではないですか?これが1日3回以上(おやつや水分補給の時間も含めるともっとありそう)行われてみてください。生きる活力が増えるどころか減る一方で、とても食欲等湧かないはずです。認知症の人は短期記憶力が低下していても、感情的な記憶は強く残ります。食事介助を無理やり行うということはこういうことなのです。

理由②「食事介助拒否」と認識をもつと、本当の理由が分からなくなる

食事に限らずですが、何かの介助を拒否されると僕達は何の疑問も持たず「この人は介助拒否がある」と認識しやすいです。

この拒否というのは「相手が自らの意思でそれを拒む」という意味が自動的についてくることになります。人は相手に期待する行動をとってもらえないと、裏切られたような気持ちになって感情的になり、冷静な思考ができなくなります。

「食事は3食ちゃんと食べるべき。あなたの為にやっているのに、それを拒むなんて何を考えているんだ」

こんな思考パターンだと、もう冷静に状況を分析することができなくなります。

そこで必要なのは「食事を食べないことは、本人の意思以外に理由がある」という認識をもつことです。食事をしたくても、精神や身体の健康状態等により「できない状態」なのかもしれません。大事なのは食事を食べない、もしくは食べれない理由を見つける視点を持つことです。

僕達は認知症の人のケアをする時、例えば1人で歩いたら転倒の危険がある利用者に対して「危ないから1人で歩かないでください」と言いませんか?この時多くの人が「説明すれば理解できる」という認識があるからそうやって說明・説得をしようとします。

しかし介助拒否がある場合は「この人は介助が必要な理由が認知症のせいで分からない」と考えています。では1人で歩くと危ない人が介助拒否をしたら皆さんはどう対応しますか?

ほとんどの人が、理論的な說明をしても理解が難しい事は分かっているにも関わらず「危ないので1人で歩かないでください」「食事をしないと、体が弱ってしまうので食べてください」と言って対応していませんか。

しかし、こうやって客観的に観た時、随分矛盾した行動や考えを持っている事に気づくはずです。「○○拒否」という言葉はこの矛盾に気づけず、結果として利用者がそのような状況に陥っている本当の理由が分からなくなる言葉です。その為口にするのも、記録で使うのも避けたほうが良いでしょう。

 

ご飯を食べない理由とその対応

これはケースにより異なるのですが、例を幾つか挙げてみます。

・食べ物と認識できない。理由として器と食材が同じ色。視力が落ちていて見えない。ペーストなどの形状で食べ物と思えない

対応:容器の色を変えて見やすくする。ペースト食の場合、嚥下状態にもよるがソフト食等形状があるものに変更できないか検討する。

・ターミナル期に入り食欲が湧かない

対応:主治医等の医療職を含めた多職種で食事について検討。本人が好きな食べ物や、ゼリー状の栄養補助食品等食べやすいものを基本的に提供する等、栄養バランスやカロリー重視の食事でなく、無理のない食事提供に切り替える。

・食事の時の姿勢が悪く食べにくい

対応:車椅子やクッションなどの検討を行いポジショニングの見直しをする。また椅子に座れるのであれば、食事中は普通の椅子に座ってもらう等

・見知らぬ人や、苦手な人と一緒に食事をしている

対応:仲の良い人と同じ席で食事をしてもらう、等

・落ち着いて食事ができる環境ではない

温度・湿度・明るさ、周囲の音等が影響して、落ち着いて食べられない

対応:落ち着いて食事できる環境を整える。

認知症の人は長時間集中することが困難な状態になっています。その為それを阻害する環境に影響を受けている可能性は高いです。ただし、万人にOKな環境設定はありません。

明るい場所で、人が賑やかに喋りながら食事するほうが良い人もいれば、静かで少し照明も暗めなところのほうがいい人もいます。その人にとってどんな環境がベストなのか探すことが必要です。

・お金を支払ってないので食べてはいけないと思っている

対応:お金はすでに支払ってもらっていることを説明する。それでは納得できない時は事前に家族等とも話し合い、食事代金が丁度支払える財布を用意しておき、そこから本人に毎回支払ってもらう等対応する。(支払った分はまた財布に戻す等すれば良い)そうすることで「お金を支払ったから安心して食事していいんだ」と考えられるように支援します。

・食べる習慣(時間帯や回数)が異なる

対応:本人のこれまでの食習慣を聞き取りし、なるべくそれに近づける努力をする。当然ですが、皆がこれまで全く同じ食習慣で生活してきたわけではありません。日本では1日3食が常識になっていますが、1日2食や1食という人もいます。

また3食食べる人でも、その時間帯はバラバラです。例えば施設だと7~8時くらいに朝食の所が多いですが、早起きして仕事をする習慣があった人は4~5時に食べていたかもしれません。もしくは朝仕事を終えた9~10時ころに朝昼兼用で食べていた人もいるかもしれません。そうなるとこれまでと異なる時間帯での食事に馴染めず食べる気にならないのかもしれません。

また宗教的な理由などによっては、食前にお祈り等の行為をきちんとしてから食べる人もいます。なのでそれをせずに食べることに抵抗感がある可能性もあります。大事なことはその人の食習慣を具体的に知る事です。

・口腔環境にトラブルがある

対応:口腔環境をチェックして、もし不調が見つかったのであればケアで改善を試みる。具体的には義歯が合っていない、合わない義歯を使い続けたせいで歯肉炎を起こしている。ブラッシングがきちんとできていなかったせいで、虫歯や口内炎ができており痛みがあって食欲が湧かない、等です。疑いがある人は一度歯科受診を検討しましょう。

 

まとめ

今日は認知症の人で食事を食べようとしない人の対応を紹介させていただきました。大事なのは

・食事を食べない=介助拒否ではない。無理に食べさせようとするとかえって食べなくなり逆効果

・食事が食べられない背景、理由をきちんと知って対応することが食べてもらうようになるためには必要

ということです。食事を食べなくて困っている利用者さんがいる人は是非ケアの参考にしてみてください。

 

 

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