不正な介護サービス、特に訪問介護に対して。そのような不正を検証する為のケアプランチェックが令和3年10月から始まりました。その具体的な内容がコチラ。
厚労省は、この基準に該当する事業所の割合は全体の3%程度と見込んでいるそうです。
実施主体は市町村。抽出単位は事業所単位。その為個別ケースをすっぱ抜くわけではないので、仮に上記の基準に該当するケースが幾つかあったとしても、それで即市町村にケアプランの提出を求められるわけではないのでそこは安心してもいいと思います。
厚労省は「より利用者の意向や状態像に合ったサービスを提供できないか検証するための仕組み。この基準に該当している事業所が悪い、というわけでは決して無い」などと理解を求めている。引用:介護のニュースサイト JOINT
厚労省は表向きにはしれっと上記のような事をコメントしていますが、これは明らかにケアマネに対して圧力をかけてサービスの利用を抑制しようとする狙いが見えます。
上記の基準に該当するケアプランが別に違法でもなければ、内容がよろしくないと言われるわけではありません。しかし該当すれば可能性として、市町村に届け出を行う事で
なんでこんな内容のケアプランを作ったんですか?
こんな感じで吊るしあげられる可能性があり、それに対して対応できる自信がなければ必要であったとしても上記の基準になるべく該当しないようなケアプランを作るケアマネが増える事が予想されます。
実際問題、独居や老夫婦のみ世帯、認知症、家族が精神疾患等で支援が期待できない等、様々なケースで僕自身も訪問介護を中心としたサービスで支援するケアプランを多く作ってきました。
そして僕自身、管理者をやっていて思うのはケース全体の6~7割くらいは区分支給限度額の7割以上は使いながら生活をしているという事です。そして訪問介護を中心としたケアプランを作ると、自然と支給限度額ギリギリまで作る事が多くなります。
厚労省は全体の3%程度だと言ってますが、実際にはもっと多くなるんじゃないかというのが僕の予想です。
そもそも
「ケアマネが不要なサービスを無限に組み込むと財政が破綻してしまう」
こんなケアマネ性悪説が前提で作ったのが支給限度額というルールであったはず。であれば、その範囲内であればどれだけの量のサービスを使おうが、それが必要なのであれば文句を言われる筋合いはないはずです。
訪問介護は在宅介護の要となるサービスであり、コロナ禍の今、デイやショートなどが簡単に利用制限されてしまう状況で今まで以上に代替え手段として重要度が高くなっています。
それなのに、このような事をされては使えるものも使えない。そもそもコロナ禍で事業所が利用できない場合の代替え手段として訪問介護を活用するように提示したのは厚労省ではなかったのか?
だったら訪問介護の利用割合が多少なりとも高くなるのは仕方ないのでは?
これに対して我らがケアマネ協会から、厚労省に対してコメントが発表されました。
日本介護支援専門員協会の濱田和則副会長が、「事業所と市町村、双方の事務負担が可能な限り軽くなるようにして欲しい。例えば認知症など、限度額の利用割合が高まりやすいケースもある。利用者の状態像を十分に考慮した検証として欲しい」などと釘を刺した。引用:介護のニュースサイト JOINT
「そこじゃない~~~!!」
ほとんどのケアマネがそう思ったでしょう。抽出対象の条件が厳しすぎるから、そこをなんとかしてほしいのに、「内容は全然OK」感丸出しじゃないか。
釘を刺したって書かれてるけど、釘なんて刺してないじゃん。シクヨロ感満載の、ケアマネの僕達に向けての一応のパフォーマンスにしか見えませんけど。
とにかく、制度が走り出した以上自分達の身は自分達で守らなければなりません。該当するケアプランがある場合は、管理者や主任ケアマネが中心となって
「なぜこのケアプランの内容が必要なのか?」
この問いにしっかり理論騒然と答えられるようにしましょう。
「市町村の総合事業で代替えできないんですか?」的な反撃にも、総合事業では代替えできない理由(専門職による高度な支援が必要)を用意してきっちりカウンターを打てる準備をしておきましょう。そうすれば、堂々と訪問介護が中心のプランを作っていいんですから。