クレーム対応が上手くできず、かえって相手が怒り出してしまいどんどん話がこじれてしまう。どうすれば上手くクレーム対応できるのか分からない。
皆さんの職場ではクレームは来ますか?
介護や医療業界は、外食産業等の他のサービス業に比べると少ない印象ですが利用者・患者、その家族などからクレームや苦情が来ることがあると思います。
なぜ他のサービス業に比べると少ないのかと言うと、
- 公的保険制度で、客である自分達は全額自己負担していない
- お世話になっている立場で、文句を言うなんてできないという意識が働いている
こういった背景が理由にあると思います。しかし最近の傾向として権利意識の強い顧客が僕達の業界でも増えてきており、2025年にはさらに多くなることが予想されています。
そうなると、現状よりもクレーム対応を行う機会が多くなることが予想されるのですが、ハッキリ言って介護や医療業界で働く人の多くがクレームや苦情への対応が下手です。
例えばこんな対応をする人が多いです。
(例)
- とりあえず謝る
- 「それはですね」「違います」等、相手の話を遮って弁論しようとする
- 表情や態度から「何言ってるの?」といった不満感が出まくっている
こういった間違った対応をしてしまうのは、これまであまりクレーム対応の方法をしっかり学んでこなかった事が原因の一つです。なのでこの記事ではクレーム対応のコツについて紹介します。
クレーム対応はまず相手のマイナス感情の解消から始める
まず基本的な考えとして、最初にやるべき事は相手の間違いを論破してこちらの正当性を主張することではありません。
最初は「クレームを言っている相手のマイナス感情を解消」することから始めないといけません。
それがなぜ最初に必要なのか、これは自分が逆の立場で考えるほうが分かりやすいと思います。
例えばあなたが楽しみにしていた新型スマホを購入したとします。
しかし説明書通りに設定をしているはずなのに、その通りに動いてくれない。
その為購入したショップに「これ、説明書通りにやっているのに、全然できないんですけど」とクレームを言ったとします。
その時店のスタッフが不満そうに「いや、お客さん。本当にちゃんと説明書通りにやったんですか?」と言われたらどうですか?
「なんだ?その態度は!」とほとんどの人が不快な感情を抱きますよね。これによって、本来はスマホが説明書通りに動かないだけの苦情から、+スタッフの態度が悪い事もクレームとして追加されてしまい、対応がより困難になります。
しかしこれならどうでしょう?
「ご不便おかけして申し訳ございません。よろしければお話を聞かせていただけないでしょうか?」
これであれば、スタッフはきちんと自分の話を聞こうとする姿勢が感じられます。そして誠実な対応をしてもらえれば、「ありがとうございます。お陰で助かりました」と顧客満足度も高め、次に利用してもらえる可能性も高くなります。
こういったスマートな対応に必要なスキルとして「クッション言葉」と「配慮の言葉」があります。
クレーム対応に有効なクッション言葉
クッション言葉とは、顧客の不快感やマイナス感情を和らげる為のものです。
この言葉を適切な箇所で使用することで、相手にソフトな印象を与えることができます。
ではそのクッション言葉というのが何なのかというと、
「恐れ入ります」
この言葉を是非覚えてください。例えば相手が「どういうことなの?そっちの責任でしょ?」等と言ってきた時に
「恐れ入ります、◯◯様。一度確認したいのですが、おっしゃられている事は◯◯・・・(言われた内容の復唱)ということでよろしいですか?」
このように自分達の説明をする前に一度挟む事で、丁寧かつソフトな柔らかい印象を感じられ、相手の感情が徐々に冷静になっていくことが期待できます。
覚えておきたい配慮の言葉
クレーム対応で覚えておきたい配慮の言葉をとしてこのようなものがあります。
- 「ご迷惑をおかけしております」
- 「ご不便をおかけしております」
- 「ご心配をおかけしております」
なぜこの配慮の言葉を覚えておく必要があるのか?例えば皆さんはこのようなクレームにどう対応しますか?
「あなた達の事業所から母親が帰ってから、すぐ体調悪くなったから病院に連れて行ったら肺炎だと言われて入院した。当然責任取ってくれるよね?」
この時やっていけない対応は
「申し訳ありません。こちらの落ち度だと思います」
(実際にこちらの過失かどうか分からない段階で非を認めてしまうと、後で「責任を認めたよね?」と迫られてしまう)
「いえ、こちらを帰る前に体調の確認もしていますが特に問題ありませんでしたよ」
(事情を説明しているつもりかもしれないが、逆ギレっぽく映る。或いは責任逃れを必死でしているようで帰ってマイナス感情が拡大する)
この時点ではマイナス感情の解消が優先です。しかし状況把握がしっかりできないうちから非を認めるのも、こちらに非がないと主張するのも時期尚早です。この場合は
「ご心配おかけしております。よろしければ、もう少しお話を聞かせていただけないでしょうか?」
こういった返しで相手の話を聞くことでマイナス感情の解消を行うほうが、最終的に解決に向かって進みやすくなるでしょう。
まとめ
クレーム対応はまずはマイナス感情の解消から始める
覚えたいクッション言葉
「恐れ入ります」
覚えたい配慮の言葉
「ご迷惑をおかけしております」
「ご不便をおかけしております」
「ご心配をおかけしております」
クレーム対応は最初のスタートが肝心です。ここでつまずくと、後でどれほど素晴らしい対応ができてもマイナスを取り返す事が困難になります。
クレーム対応の初期対応は苦情担当窓口の職員以外でも、全ての職員が受け付ける可能性があります。是非基本的な初期対応について知っておきましょう。