ケアマネが行うべき苦情への記録について

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苦情対応

前回「苦情から逃げない ケアマネがやるべき苦情対応について」

ここでは苦情対応の方法について書かせていただきました。今回は苦情発生時の記録をどうしていくかについて紹介します。

 

支援経過に記録

まずは、苦情が発生した事実について端的に支援経過に記録します。その時カテゴリーやタイトルに「苦情の報告」等記しておくと分かりやすいです。

ただ、支援経過だけだと苦情のメカニズムが分かりにくいです。そこでお勧めなのが「苦情報告書」という別の書式を用意して、支援経過には大まかなポイントだけを記して「詳細は苦情報告書参照」等と記すと良いと思います。

 

苦情報告書

この苦情報告書に入れたい内容として

・苦情の発生日時
・利用者名
・苦情申出者
・苦情の内容
・苦情申し立て者の要望
・事実確認の方法と結果
・苦情への対応内容と、それに対する申し立て者の回答内容
・今後の再発防止策

これくらいは入れておきたいところです。では模擬事例から具体的に見ていきましょう。

(事例)

Aさんは自宅で長女と二人暮らし。日中はデイサービスを利用している。自宅内は伝い歩き、デイ利用中はT字杖を使っていた。ただ歩行が安定している事から、普段職員は付き添いなどの介助をしていなかった。しかし最近足取りが良くない事が多く、長女はデイサービスにその事を伝えていた。ただデイサービスは、多少の不安定さは見られるも、本人が「大丈夫」と言われる事や歩行時に毎回付き添いをすることも人員の関係などから難しく、特に対応はしていなかった。

ある日デイサービスから帰ってきたAさんがとても足を痛がるので長女が尋ねると「今日デイサービスでトイレに行ってる時にこけた」と言われる。デイサービスからは何の報告もなし。急いで病院に連れて行った結果足の骨にヒビが入っていることが分かった。

病院から帰ってすぐに長女がデイサービスに電話をする。

 

長女:「今日父がデイサービスから帰ってきて足を痛がるので聞いたら、トイレに行く時にこけたと言っています。病院に連れて行ったら足の骨にヒビが入っていることが分かりました。父はどういう状況で転倒したのでしょうか?」

職員:「え・・・?Aさんが転倒?ちょっと待ってください。(保留になる)」

職員:「職員にも確認したのですが、今日Aさんはデイサービスで転倒してはいないようです。失礼ですが、今日うちに来る前に自宅でこけたということはなかったのですか?」

長女:「今朝デイサービスに行く前に痛みの訴えはありませんでした。それは私や父が嘘やデタラメを言っていると言いたいのですか?」

職員:「いや、そういうわけでは・・・。ただこちらで転倒はしていないようですので・・・」

 

このような苦情は多くあります。特にサービス利用に対する苦情が一番多いと思います。そこで、苦情報告書の内容に沿って対応を検討していきます。

苦情の内容

ここではあくまでも客観的事実を書きます。もし心情的な内容も書く必要があれば、客観的事実と分けて書きます。

 

○月○日、18:30。A様の長女より電話あり。

デイサービスから帰宅後、本人が足の痛み訴えあり。本人はデイサービスでトイレに行っている時に転倒したと言われる。

病院受診の結果、足の骨にヒビが入っていることが分かる。当日勤務のデイサービス職員からはその事を確認できなかった。

苦情申し立て者の要望

苦情には必ず何かしらの要求があります。それを確認してください。

 

後日、デイサービスの管理者と担当ケアマネでAさんの状態確認と、デイでの対応に不備があった事を謝罪に訪問。そこで長女から改めて苦情について話を聞かせてもらう。

長女:「私は父の利用中の様子を教えてほしかっただけなのに、電話に出た職員さんは私が言いがかりをつけるクレーマーのような扱いをいきなりしてきました。非常に不愉快です。私は父の足が最近良くないことは伝えてましたよね?」

「実際に朝は何事もなかった父が帰ってきたら足の骨にヒビが入って怪我をしているのです。それなのにデイサービスでは何もなかったと言われるのですか?納得できないし、そのような事を言う所には今後父を安心して利用させられません」

この苦情から考えられる要望は

・相手に不快感を与える言動への謝罪
・どのような経過で転倒が起きたのかの事実確認と、事故を起こしてしまったことへの謝罪と保障
・上記2点の今後の改善方法

事実確認の方法と結果

苦情の内用をまとめ、事業所の苦情担当受付者へ報告。そして、事業所の第3者委員等の協力も得ながら事実確認に努めましょう。この時、自分達に有利な事実報告をしたいという心理が働きやすいですが、仮にそのような結果になったとしても相手の心情に配慮した報告は必要になります。

 

事実確認の結果、当日勤務していた職員は転倒を把握していなかった。しかり当日利用があった利用者や、掃除に入っている外部事業者のスタッフ等にも話を聞いた。

その結果、Aさんは昼食後、職員が昼休憩に入って人が少ない時間帯にトイレに行っていた。職員は他の業務中で誰もAさんがトイレに行っていることに気づいていなかった。その時トイレの洗面所を清掃していたスタッフが、Aさんがつまずいたのを見たが、Aさんはすぐに立ち上がり「大丈夫」と言うので、大したことないと考え特に事業所に報告はしなかったとの事。

この事実を長女へ報告。

苦情への対応内容と、それに対する申し出者の回答内用。今後の対策

デイサービスの職員が相手が嘘をついているような決めつけをした、不愉快な言動に対して謝罪を行う。今後対応を行った職員だけでなく、全職員の接遇面の教育を強化して行う事を伝える。

長女「分かりました。今後は気持ちの良い対応をしていただけることを期待しています」

事故の発生原因について。

・リスクを予測できる情報があったにも関わらず、それに対して有効な対策を取らなかった
・トイレに行く利用者が多い時間帯は、転倒などのリスクが起きやすい事が考えられるにも関わらず、その時間帯の職員配置が十分でない体制であった

上記に関してですが、個別への対応は利用者の身体機能、心情に配慮しながらできる限りの予防策を今後は検討していく必要があります。今回のケースで言うと、本人は歩く度に職員が側にいることに心理的負担があった為、近くで付添いはできなくても、少し後方を自然な形で見守りをする。或いは本人ともきちんと話をし、トイレに行く際は安全のために付き添いをさせてほしいことを相談する、等が考えられます。

リスクの高い時間帯は職員配置の見直しを行うと共に、1日の流れやスケジュールの見直しも合わせて行い、事故の予防に務めることも必要でしょう。

これらの事を報告書に内用を分かりやすくまとめて記録していきましょう。

まとめ

今回は苦情の記録について書かせてもらいました。苦情の記録をきちんと残すことは、後々訴訟などに発展したときも自分達の対応を証明し、身を守るものにもなりますし、苦情の要因などの分析を手助けするものにもなります。

また苦情の対応は個人で行うことは望ましくありません。必ず事業所と連携し、組織的に対応することが必要です。その為にも、事業所の中で苦情対応の委員などを組織し、そこが中心となって苦情対応の研修等をしておくことがこれから必要になってくると思います。

まだ適切な記録を残す体制になっていない所は是非整備しておくことをお勧めします。

 

 

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