知っておきたい認知症ケアの基本的な10の視点

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知っておきたい認知症ケアの基本的な10の視点 認知症ケア

この記事はこんな人に役立ちます

認知症の利用者や家族とのコミュニケーションがいつも上手くいなかくて苦手。どう接していいのか分からない
平均寿命が長くなってきたのもあって、現在高齢者介護の現場では2人に1人が認知症とも言われています。
そのため僕達専門職は、職種に関係なく全て認知症ケアに関する勉強が必要です。
ところが、実際のケアの場面を見ていると知識はあるが、利用者やその家族への接し方やコミュニケーションが上手くできない人が多くいます。
幾ら高度な知識を身に付けても、相手との信頼関係を築けなければ生かす事はできません。そこでこの記事では、認知症ケアを行う際に覚えておきたい10の基本的な視点や考え方について紹介します。

認知症ケアの基本的な10の視点

認知症ケアの基本的な10の視点

①情報収集は何気ない会話から行う

認知症の方のケアプランなどを作る為に、アセスメント等の情報収集をすると思います。
この時「今から必要な情報を集めますのでお願いします」みたいなスタンスだと、本人も家族も身構えてしまいあまり必要な情報を得られない事が多いです。
いきなり1回の面接で必要な情報を得ることは難しいです。世間話のような雰囲気のコミュニケーションの機会を繰り返し持ち、その中から自然な流れで必要な情報を得るように試みると良いでしょう

②デキることにも視点を向ける

認知症の人に対して多くの人が「何も分からなくなった。だから危なくて何もやらせれない」という誤った認識をもっています。
しかし実際に認知症により阻害される能力等は千差万別です。そして多くの認知症の人ができない部分がありながらも、デキる事も多く残されています。
ケアを行う専門職として、デキる部分。残存能力にも注目するようにしましょう

③間違いを非難しない

これもよくありがちなのですが、「さっきも言ったでしょ」「そんな事も分からなくなったの?」と相手の間違いを非難する行為です。
この行為は相手の自尊心を傷つけさらに認知症の進行を加速させるだけでメリットはありません。
例えば「今日はデイサービスに行く日だっけ?」と何度も聞く人には、カレンダーを見れば一目で分かるようにしておく等の工夫ができます。他にも言い方を肯定的に変えるだけでも本人は安心して過ごす事ができます。

④家族でなくまず本人と話す

これもありがちなのですが、「本人に聞いても何も分からないだろうから」という決めつけが先行してしまい、本人より先に家族に話を聞こうとする行為です。
しかし介護も医療も全てのケアは「本人の為」に行う行為であり、一番の主役は本人です。本人の思いやニーズを無視して質の高いケアなど行えません。
認知症ケアの場合、家族の方がパワーバランスが強く一方的に話そうとする事もありますが、そのような場合は「申し訳ありません。先にご本人とお話しさせていただいてよろしいですか?その後、ご家族と別にお話しをさせてもらいたいのですがよろしいですか?」と言って、本人と家族を別々に面接する機会をもつのが良いでしょう

⑤サービス導入が前提ではない

「認知症になって大変だから、デイやショートを利用させてほしい」
こんなニーズがスタートで支援が始まる事も多いです。そのため最初からサービス導入前提でケアプランを作ろうとすることがありますが、これがよくある間違いです。
よくあるのは、家族が希望しているからと本人が望んでもいないのに無理矢理サービス導入して、すぐに本人の拒否が強くなり利用がストップするケースです。
何故これが起きるのか?それは本人と信頼関係が築けていないのに、家族の意向を本人より優先させた本末転倒なケアを行った結果です。
何度も言いますが、ケアの主役は本人です。本人の意向を無視したケアに意味が無いことを覚えておきましょう。

⑥本人・家族のこれまでの生活歴を理解する

認知症ケアに多いパターンの一つに「家族が本人の認知症を受容できない」というのがあります。
そしてその理由を理解する為には、本人や家族のこれまでの生活歴を知る事なしにはできません。
例えば、若い時は社会的地位の高い仕事を立派に務め、一方で家庭でも子ども達に対して精一杯の愛情を注いできた本人。家族はそんな本人の事をずっと尊敬してきたし大事にしてきた。
そんな人が急に認知症になったという事実は、なかなか受け入れられるものではありません。まずは本人や家族が抱えている心理的葛藤の受容に努める事が大切です。

⑦家族は認知症ケアについて分からない事を理解する

僕達専門職は認知症ケアについて勉強している為、自分達が常識と思っている事がたくさんあります。例えば
  • 否定的な言動は良くない
  • 認知症のお薬はキチンと飲むことが重要
  • 短期記憶力が低下する
  • 感情のコントロールが難しくなってくることがある
  • できない事が増えて、失敗する事を回避する為に閉じこもりがちになる

 

他にもたくさんの常識として身についている知識がありますが、こういった基本的な知識をほとんどの家族は知りません。しかし僕達は「自分達の常識は相手にとっても常識」と何故か考えやすいのです。その結果安易に本人の失敗を怒ったり、病院受診に連れて行こうとせず、薬もキチンと飲めていない状況に対してあまり重く受け止めていない家族などを見ると「なんでこんな事をするのか?」と相手へ不信感を持つことがあります。

しかしこれでは家族との信頼関係は築けません。意地悪でやっているのではなく「知らないから」不適切な対応になっているという認識に変えましょう。

⑧パターン化した対応をしない

ある程度経験を積んでいくと、過去の成功体験から自分達のケアがパターン化しやすくなります。

 

「独居高齢者はこう」

「老老夫婦で、他に頼れる家族が近くにいない場合はこう」

「徘徊症状が出ている人はこう」

 

こんな感じの思考に陥りやすいです。しかし一見同じように見えても、全く同じケース等存在しません。

表面的な情報だけで、自分のパターンを押し付けていると上手くケアが行えなくなり、上手くいかなかった場合どう改善したら良いか分からなくなってしまいます。

⑨焦らずに信頼関係を構築する

利用者や家族の中には、これまでケアマネ等の専門職に自分達の状況をどうにかしてほしくてケアを依頼したのに、思ったような結果にならず専門職に対して不信感を募らせている事もあります。

そういった人達は専門職に対してなかなか心を開いてくれず、コミュニケーションを取ろうにも「別に代わりないです」と素っ気ない態度になる事でなかなか必要なケアができない事があります。

そのようなケースでは、僕達専門職から見たら早急な手当てが必要だけど、なかなか受け入れてくれずにやきもきすることも多いです。

そのようになった時「あの人達は理解力がない」「現状を分かっていない」「何故ケアを拒否するのか分からない」等相手に批判的な態度を取ってしまうとますます関係が硬直してしまいます。

信頼関係が築けるのには時間がかかります。粘り強く関わりながら「いつでも相談してくれて構わない」とメッセージを送り続けましょう。決して関係づくりを焦らない事です。

⑩本人や家族のやり方を安易に否定しない

認知症ケアをしているケースの中には独特なやり方を行っている場合があります。例えば僕の経験した事で言うと

・歩行能力が低下しているが、手作りの木の杖を使って歩いている
・時間がかかっても、孫の手を使って更衣をする
・抱きかかえるような、無理矢理な介助方法で玄関の段差昇降や、移譲などの介助をする

専門職としてもっと良いやり方が幾つかすぐに思い浮かぶ事も多くあります。しかしここで

「そのやり方は無理がありますよ。もっと◯◯した方が楽ですよ」

あくまで善意でですが、このようにアドバイスする人もいるでしょう。しかしこのアドバイスを皆が素直に受け止めるわけではありません。

何故なら本人や家族からしたら苦労に苦労を重ねながら、やっと編み出した方法であることもよくあります。それを幾らプロだからといって即否定されたらどう思いますか?という話です。

まずはこれまで自分達で創意工夫しながらやってきた頑張りを認めた上で「こんな方法もご提案できますが、いかがですか?」というようにあくまで決めるのは本人や家族であるというスタンスで接するのが良いでしょう。

まとめ

知っておきたい、認知症ケアの10の視点

①情報収集は何気ない会話から行う
②デキる事にも視点を向ける
③間違いを非難しない
④家族でなくまず本人と話す
⑤サービス導入が前提ではない
⑥本人・家族のこれまでの生活歴を理解する
⑦家族は認知症ケアについて分からない事を理解する
⑧パターン化した対応をしない
⑨焦らずに信頼関係を構築する
⑩本人や家族のやり方を安易に否定しない

こういった基本的な視点をもっておくことで、質の高い認知症ケアを行えるようになります。

参考になったという方はコメントよろしくお願いします。

 

 

 

 

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