住環境整備シリーズ、今回は「トイレ」です。
前回記事住環境整備③「居室」
ここでも書きましたが、できる限り排泄は家のトイレですることを考えたいです。そして、トイレの環境整備さえ整っていれば案外できる人は多いものです。なので今日はトイレの住環境整備ポイントをご紹介します。
和式便座を洋式便座に
最近は洋式便座が最初から取り付けられている家が多いですが、古い家だとまだ和式の所もあります。和式便座は中腰姿勢をキープしながら排泄するという、下肢筋力が一定程度あることが前提の物で介護保険の適用になった高齢者には不向きです。
そこで洋式便座に変更することを検討します。ただ和式を除去して新しく洋式トイレを導入するのは非常に高額になります。そこでオススメなのが、福祉用具購入で腰掛便座を導入することです。これだと和式便座の上に取り付けるだけなので特に工事も必要ありませんし、金額も安く抑えられます。
スペースの確保
スペースの確保というのは、車椅子利用者の場合や排泄介助が必要で、介助者が入るスペースの確保ということです。
ない場合は、壁をぶち抜いて確保するという大規模な工事も行えますが、かなり高額になる上に自宅の間取りも微妙に変わってしまい、同居者がいる場合などは反対にあう可能性もあります。
そこでスペースが必要な場合はトイレのドアを折戸やスライドタイプに変えるだけでもかなり確保できます。
日本のトイレのドアはまだ多くは外側に開く一枚戸タイプです。この扉が邪魔で車椅子や介助者が入りにくくなっている事が多くあります。折戸やスライドタイプにすることで入りやすく、トイレが狭い場合でも車椅子や介助者が外にいる状態にして動作できる環境を整備することもできます。
また補足ですが、車椅子が入る場合は出入り口に段差がある場合は一緒に取り除く改修もしておきましょう。
手すりの位置
手すりはその人の身体機能や状態に応じた位置に取り付ける必要があります。
例えば車椅子を外に置いて、中は手すり伝いに入る人がいるとしましょう。その場合出入り口付近に縦型手すりを取り付けることになります。しかしこの手すり、中にいる時はいいのですが、外からだと見えなくて掴みそこねることがあります。
その時オススメなのが「オフセット型」と言って「コ」の字型の縦手すりです。この手すりの特徴は外からでも手すりの位置が見える為、掴み損ねがなく安心して動作ができるということです。
トイレの手すりは壁側にL字型の手すりを取り付けることが効果的です。また片麻痺がある場合はその手すりを便座に座る時に健側に位置するように取り付けるのが基本です。
手すりは他にもレンタルで便座に直接取り付けて、左右に肘掛けのように使えるタイプの物もあります。このタイプは手すりが上方向にスイングできる為、座るときには上げておいて、座った時に下ろすといった使い方ができます。
パットや汚物入れのセッティング
これは家族などがいない時に一人で排泄をすることが前提の人の話になります。
よく「パットが汚れた時の処理が上手くできないので、一人にできない」という話を家族から聞きます。
しかし重度の認知症などでもない限り、多くの場合はちょっとした工夫と少しの練習でできる人が多いです。
まず使用するパットですが、テープなどがついていて紙パンツに貼り付けるだけの物が簡単な上にズレにくくていいです。そして後はトイレの中に汚れたパットを入れる容器と、新しいパットをセッティングしておけば自分で交換できます。
家に使っていない小さめのカラーボックスや衣類入れがあれば、それにパットをあらかじめ置いておけばいいです。汚物入れに使う容器は蓋が回転するゴミ箱を使えば、蓋の開閉の動作が入らないので安全です。
尿・便意が鈍くなっている人でも「食事の後、おやつの後」等と、何かトイレに行くタイミングを決めておき、その時パットを汚れていようがいまいが交換する。そんなシンプルなルールであればできる人は多いのです。
まとめ
トイレの住環境整備のポイントは
①和式便座は洋式に
②スペースの確保はドアのタイプを変更するだけでできる
③手すりを適切な位置に取り付ける
④パットや汚物入れのセッティング
です。トイレは利用者のQOLを高める為には非常に重要な場所になります。住環境整備をする際、ケアマネの皆さんは是非一番気合いを入れてやるくらいで良いと思います。参考にしてみてください。