中堅以上のケアマネの人であれば多くの人が知っているケアプラン作成の軽微変更。ただ、初任者の人だと知らない人もいることや、知っていても正しく理解されていないことがあるため、改めてケアプランの軽微変更とはなんぞやということについて紹介します。
ケアプランの軽微変更
平成22年7月30日、厚生労働省老健局振興課、介護保険最新情報Vol155
もう10年ほど前のものですが、これに通知がありました。詳細はリンクを参照ください。
そこに書かれている内容を簡単にまとめると
「普通は、ケアプランの変更の必要が生じたらアセスメント~一連のケアマネジメントプロセスを踏んでもらう必要があるけど、ここに書かれている程度の内容だったらそれを省略してもいいかも」
ではどんな内容が軽微変更に該当するのか?
・サービス提供の曜日変更
・サービス提供の回数変更
・利用者の住所変更
・事業所の名称変更
・目標期間の延長
・福祉用具で、同等の用具に変更するに際して単位数のみが変更となる場合
・目標もサービスも変わらない(利用者の状況以外の原因による)単なる事業所変更
・目標を達成するためのサービス内容が変わるだけの場合
・担当介護支援専門員の変更
これらの場合は軽微変更に該当する可能性があると示されています。しかしここで注意してほしい文言があります。
なお、これはあくまで例示であり、軽微な変更に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである
引用:厚生労働省老健局振興課 介護保険最新情報VOL155
つまり、軽微な変更に該当する事例であったとしても、本当に軽微変更での対応で良いかはケアマネとしてアセスメントを行い、そうでないと判断できる場合は通常のケアプラン変更のプロセスを踏んでくださいねということです。
例えばですが、デイサービスなどのサービスの提供回数を変更する場合です。
週2回から3回などの少しの提供回数の変更であれば軽微変更に該当する可能性は高いと思います。
ところが、これが2回から4回に変更してくれといった場合はどうでしょう。当然「どうして、そんなに回数を変更してほしいと希望するのか?」を確認しますよね。
そこで、実は家族の介護負担が重くなっている、或いは同居家族との関係性が悪化している等、何かしらの変化をキャッチできることが多いです。その場合は単なる回数の変更だけで適切な支援は行なえず、結果として支援のやり方を根本的に見直す必要があると思います。
一方で、心身共に本人の持てる上限値まで状態が改善し、サービス提供を継続することで在宅での生活を送れている人もいます。(例えば、要介護1・2レベルの軽度者等)
そのような人は、短期目標も現状を維持していくことになりやすく、結果として目標期間の延長になることもあります。
重要な事は、単純に軽微変更に該当する事例だから軽微変更として、一連の業務を簡略化するのではなく、「変更する原因、背景は何か」をきちんと確認・分析し、その結果どうするのか判断するということです。
事務処理方法は、各市町村毎に確認が必要
軽微変更した場合の基本的な事務処理方法ですが
「サービス内容への具体的な影響がほと んど認められないような軽微な変更については、当該変更記録の箇所の冒頭に変更時点を明記しつつ、 同一用紙に継続して記載することができるものとする。」
引用:老企第29号
つまり、例えば提供回数を変更する場合でしたら、2表に手書きで変更後の回数と変更日を記載。サービス事業所にはその旨を連絡する。
さらに支援経過記録に軽微変更について利用者と協議し、その旨の同意を得たことなどの記入があれば良いと思います。
しかし、この事務処理については各市町村でやり方について具体的にこうしてくださいと示しているところもあります。いわゆるローカルルールというものですが、ローカルルールがある場合はそれに従って処理しておくほうが安全です。ただし、疑問に思う事はちゃんと聞いて、双方が納得できるやり方を模索していく必要があります。
まとめ
軽微変更はケアマネの業務を簡素化、省エネ化できる反面、それに甘えて適切なアセスメントやモニタリングなどのケアマネジメントを怠っては本末転倒です。変更が生じた時はその原因や背景は必ず確認してください。その結果軽微変更で良いかどうか、総判断し実施した記録をキチンと残しておくことが大事です。