BPSD対応⑥「入浴拒否」どうして入浴を拒否するのか?3つの理由と対応を紹介

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認知症ケア

利用者に拒否されて、介助者が困るものはやはり3大介護と呼ばれる「食事・排泄・入浴」ではないでしょうか。食事に関しては

BPSD対応④「ご飯を食べようとしない」 無理に食べさせようとしていませんか? 必要なのは食べられない背景を知る事

で紹介させていただきました。今回は入浴を拒否する人の対応について紹介します。

介助者側のバイアスチェック

介護の経験がある人なら、ほとんどの人が入浴を拒否する人の対応をしたことがあります。そしてその時どんな事を感じたか思い出してみてください。

・なんで入浴しないのか分からない。入ったほうが絶対いいのに・・・
・もう1週間以上入っていないのに、入浴しないなんて不衛生だ
・認知症だから、入浴の必要性が理解できないんだ

こんな事を思った人はいませんか。実はこのような思考に陥ることがかえって入浴拒否を加速させている可能性があります。では、どうしてこのような思考になってしまうのか?

皆さんにとって入浴は、ほとんどの人にとって毎日行うのが当たり前の習慣です。そして人間は「自分の当たり前は、他人にとっても当たり前」と考えてしまう傾向があり、これが上記のような思考パターンに陥るメカニズムなのです。

しかしこれ、おかしな事だと思いませんか?現代社会は多様な価値観があり、それに応じてライフスタイルも多様化しています。食事にしたって1日3食が常識とされていたのが、いまや1日2食や1食の人も多くいます。ご飯と味噌汁が定番とされていた日本人の食事に、朝はスムージーだけという人もいます。

入浴も同じです。多くの人にとっては毎日入浴するのが当たり前でも、目の前のその人には違う可能性があります。入浴を拒否する人へ対応する時は、自分がこのようなバイアスに縛られていないかどうかを確認してみてください。

入浴を拒否する理由と対応

理由①入浴が必要だと思っていない

認知症による短期記憶力の低下や、習慣的にあまり入浴をしてこなかった人などは介助者が勧めても「この間入ったからいいです」と拒否されてしまいます。そんな人に対して「もう○日も入っていないですよ。汚いから入ってください」等と声掛けしてしまうと、「汚いとは失礼な!この間入ったと言っているだろう」と反発され、余計に頑なになってしまいます。

対応方法

このような場合は「お風呂に行きましょう」等とストレートな言い方ではなく、このように言ってみるとポシティブな反応が返ってくる事があります。

「今皆で足湯をしているので、覗いてみませんか」
「爪が伸びているようなので、こちらで切らせてくれませんか」
「若い新人の髪のセットの練習にご協力いただけませんか」

これらの声掛けで「じゃあ、行ってみようか」となったら実際に浴室やその近くにお連れし、リラックスできる環境で過ごしてもらう。頃合いを見計らって「今丁度湯が入ったようです。せっかくですから軽く汗を流していきませんか」等声掛けし「そうしようか」と言ってもらえれば成功です。

それでも拒否されることはありますが、その時は無理強いせず「そうですか。ではタオルで軽く体を拭かせていただいてもよろしいでしょうか。気持ちいいですよ」等と伝えて清拭を試みるのも一つの方法です。清拭していると気持ちよくなってきて、入浴したいと気持ちが変わる人もいるので、途中で誘ってみてもよいでしょう。

理由②入浴することに負担を感じている

普通の健康な人であれば入浴することそのものに、それ程負担を感じる人はいないでしょう。しかしこれが心身の体力が低下した高齢者であればどうでしょうか?普段寝て過ごすことが多い人であれば、起きるのもしんどい。そんな人にとって入浴するということは、僕達に例えるなら「普段運動していない人が、いきなりマラソンに参加するようなもの」とでも言えば分かりやすいでしょうか。

またメンタル、気力が低下している場合は服を脱いだり着たりすること自体「面倒くさい」と負担を感じている場合もあります。

対応方法

この場合入浴前の過ごし方を見直してみてください。例えば入浴直前まで寝ていると拒否される場合は、入浴の少し前に起きて過ごしていただくことを考えます。

しかしこの時あまりにも長い時間起きていると逆に「疲れたのでもういいです」となってしまいます。どのくらいの時間が適切かは人によって異なる為、アセスメントをしましょう。起きて、ある程度覚醒がしっかりできれば、入浴できる可能性は高くなります。

入浴自体を面倒だと感じている場合は、実際浴室まで誘導できれば意外とスムーズに入ってもらえることが多いです。その為どのようにして浴室に気持ちよく誘導できるかを考えてみましょう。

(例)

・仲の良い利用者がいる場合、一緒に入浴しませんかと誘ってみる
・ゆず湯等、今日は特別な湯を入れたので覗いてみませんか、等と声を掛ける
・体重測定を行うので来てくれませんか等、移動することに納得しやすい声掛けをする

理由③入浴に嫌な記憶がある

これには幾つかありますが、例えば

・若い異性の介助者に裸を見られて恥ずかしい思いをした
・これまで大浴場で入浴する習慣がない。お風呂は1人で入っていたから大勢の前で裸になることに抵抗がある
・大勢の前で、自分が紙パンツやパットに失禁している所を見られた。入浴中に他の利用者が排尿や排便をする所を見てしまった
・施設などで、長時間裸になったまま待機させられて不愉快だった
・入浴中に介助者に「背中が洗えていない」「シャンプーの泡がきちんと流せていない」等と細かい注意を受けた

他にもあると思いますが、このような過去の記憶からその場所で入浴することに抵抗感が強くなっている場合もあります。

対応方法

この場合の対応は、やはりその人が嫌な思いをした事をしっかり把握した上で、改善に務める事です。

・同性での対応が良いのであれば、同性介助を検討する
・個浴対応ができないか検討する
・入浴を長時間廊下や、ましてや裸のまま待たせたりすることがない対応を検討する

声掛けの仕方も工夫してみましょう。自分でしたい気持ちが強い人、まだ自分でできるという思いが強い人に「〇〇ができていない」と指摘するのは信頼関係を損ねる行為です。

仮に介助しようと思う場合でも「最後に少し仕上げをさせていただいてよろしいでしょうか?」等、相手に敬意が伝わる言い方をしましょう。それで断られた場合はしつこくならず引き下がることも大事です。

まとめ

今日は入浴介助を拒否する人の対応方法について紹介させていただきました。ポイントとしては

拒否している理由が何なのか真剣に考える。それが分かれば自然と対応方法は見つかる

ということです。是非参考にしてみてください。

また今回紹介した以外で言えば「入浴時間が合わない」という事も考えられます。

介護施設やデイサービスなどでは午前や午後の時間に入浴することが多いですが、ほとんどの人は入浴は夕方~夜か朝起きてすぐという人が多いはずです。その人がこれまで入っていた時間帯に入浴ができないか考えてみるのも一つの解決方法と思われます。

 

 

 

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