残業代の未払いはもう許されない?働き方改革による労働時間の把握方法

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突然ですが質問です。皆さんは普段どのくらい残業していますか?そして、その残業した分の賃金。いわゆる「残業代」はどの程度支払われていますか?

「うちは1円も支払われたことありません」

「お前が仕事が遅いせいで、普通なら時間内に終わる仕事だからと言われて支払われていない」

「会社が定時にタイムカードを通せとうるさいから、タイムカードだけ通して仕事しています」

こういった状況の人はいませんか?そして、そんな環境で部下を労働させている管理職クラスの人はいませんか?もしいたら、これから働き方改革によってルールが変わっている今の時代では使用者である会社が厳しく罰せられる可能性が高くなってきました。

今日は労働時間の把握と残業代の支払いについて解説したいと思います。

 

新しく追加したルール

2019年4月1日以降に新たに労働安全衛生法に追加された文言があります。

事業者は、第66条の8第1項又は前条第1項の規定による面接指導を実施するため厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第1項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

引用:労働安全衛生法 第66条の8の3

これは昨今問題視されている過労死を防ぐための取り組みの一つです。そのためには労働者がどの程度の時間働いているのか使用者はきちんと把握して、あまりに長い時間労働している場合は必要な措置を取る事を義務づけたものです。

ちなみに医師の面接指導を実施しなければいけない残業した労働時間の目安ですが、

1ヶ月の総労働時間-暦日数(カレンダーの日数)÷7✕40

この数式で80時間を超えた者とされています。例えばですが、週休2日で30日の暦日数。一日の労働時間8時間の正社員がその月270時間働いたとしましょう。

270-30÷7✕40=98.571・・・

約98時間の残業をしていますので、医師の面接を実施しなければなりません。

把握すべき従業員の範囲

これはざっくり言えば「高度プロフェッショナル制度の適用者」以外全ての労働者です。

普通の正社員は当然ですが、こういった方たちも把握の義務化された対象になります。

・研究開発業務従事者

・事業場外労働のみなし労働時間制の適用者

・裁量労働制の適用者

・管理監督者

・派遣労働者

・短時間労働者

・有期契約労働者   ・・・etc

アルバイトやパートタイム、契約社員等も対象です。さらに今回革新的なのは、労働時間把握の対象外とされていた「管理監督者」や「裁量労働制」の適用労働者、「事業場外労働のみなし労働時間制」も対象の範囲となったことです。

これは通常の管理監督下にある社員を「店長」という役職にして、労働基準法を遥かに超える長時間労働させる事が問題になった「名ばかり管理者」への対策にもなっています。

労働時間の把握方法

労働時間の把握方法は、常に会社の外で働いていて管理下に無いような労働者は自己申告が認められていますが、そういう一部例外の人を除き以下のルールが適用されます。

労働安全衛生規則

第52条の7の3(法第66条の8の3の厚生労働省令で定める方法等)

法第66条の8の3の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。

2 事業者は、前項に規定する方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければならない。

さらに具体的な方法として

事業者が労働時間の状況を把握する方法としては、原則として、タイムカード、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録、事業者(事業者から労働時間の状況を管理する権限を委譲された者を含む。)の現認等の客観的な記録により、労働者の労働日ごとの出退勤時刻や入退室時刻の記録等を把握しなければならない。

これらを根拠に労働時間は以下のような方法で把握する義務があります。

・タイムカード

・パソコンのログイン・ログアウト

ほとんどの事業所がこの2つのどちらかを採用していると思いますが、未だに手書きやパソコンの手入力で出退勤を管理している所もあります。ですが、これは客観性を欠くため認められません。(会社や社員が好き勝手数字を書き換えられる為)

また「事業者の客観的な現認」も認めると書かれていますが、数多くの社員が同じような時間に来る中一人一人の出退勤の正確な時間を見るだけで把握することは困難で、これは実質適用されないでしょう。

残業代の支払いはどうする?

上記の労働時間の把握方法により、通常の勤務時間を超えた分に関しては会社側は原則全て支払いをする義務があります。これまでのように「会社が指示したわけじゃないから払わないよ」という言い逃れはできません。もし従業員から未払いの残業代を要求されたら支払う必要があるのです。

そして、社労士が労働基準監督署に確認したところ「大体15分超えれば、そこからは残業代の支払い義務があると考える」ということでした。

つまり、17:30までが本来の勤務時間の人が17:50まで働けば20分は原則残業代の支払いをしなければなりません。逆に17:40などに退出できれば支払いがなくても大丈夫という考えです。

ここで会社と従業員がお互いに揉めないやり方は「残業した日は、どんな業務をしていたのか」という事を記録することです。

例えば「明日の朝一に必要な書類作成。時間内に仕上げたかったが、利用者の急変等予定外の業務が入り、時間外に仕事せざるを得なかった」等です。

逆に仕事の後同僚といつまでもおしゃべりをしてなかなか帰らない人もいますよね。そういう人には記録を正直にしてもらうことで早く帰ってもらえる効果があります。(この場合は仕事をしていないので残業代の支払いは必要ありません。)仕事の後に同僚と色々話したいのは分かりますが、それは会社としては退出してから行うように指導する必要があります。

この記録をすることで、従業員も「面倒だからなるべく時間内に終わらせよう」と、時間を意識した仕事をするようになることが期待されます。また会社としてもなるべく残業代を支払いたくないはずです。どうすれば今の仕事が時間内に終れるのか、考えるきっかけにもなると思います。

まとめ

・労働時間の把握義務の対象者は高度プロフェッショナル制度の対象者以外全ての労働者

・把握方法はタイムカードやパソコン(ログイン・ログアウト)等客観的な方法

・15分超過すれば原則残業代支払い義務がある

・残業したときは何をしていたのか逐一記録が会社・社員互いに効果的

残業代の未払いは特に会社と社員が揉めやすい部分です。両者が適切にルールを理解し、運用することでおたがいに気持ちよく働けるようにすることがこれから成長する会社には不可欠で、最終的には不要なリスクを減らせます。是非参考にしてみてください。

 

 

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