要介護1・2の訪問・通所介護が総合事業に移行したら起きる事

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びっくり警告 ニュース

少し前の情報になりますが11月27日の社会保障審議会・介護保険部会で要介護1、2の高齢者に対する訪問介護と通所介護を市町村の総合事業へ移す案について話し合いが行われました。論点としては

・財務省:要介護1・2の人を「軽度者」と定義して訪問介護と通所介護の両方を総合事業に移行しろと主張

・反対派:そもそも要介護1・2は軽度者ではない。認知症の人には要介護1・2であっても生活援助等のサービスは必要不可欠と主張

これらの議論を今月には取りまとめて、次の2021年改正にどう反映させていくのか。取りまとめの結果によっては次の改正でこの点に何かしらのテコ入れがされそうです。

 

注目したいのが、以前財務省は要介護1・2の人の訪問介護の生活援助のみを総合事業に移行させるという話で進めていました。ところが最近になって「生活援助だけでなく、身体介護も含めて全ての訪問介護サービスを移行させろ。さらに通所介護もだ!」となっています。

留まることを知らない財務省の暴走ぶり。そしてそれを止めることのできない厚労省の力のなさというのは、昔から変わらない構図です。利用者や家族、僕達介護事業者に痛みを伴うことを強要する前に、まず自分達が痛みを受けることを見せる必要があるのではないでしょうか?

まあ財務省や厚労省のグチを言っても現実は変わりません。今回は仮にですが、このまま思惑通り要介護1・2の人の訪問介護と通所介護が総合事業に移行してしまった場合、どのような事が起きるのかについて予想してみます。

重症者&施設入所希望者の増加

僕は一言で言えば「結局重症者が増えるのと、それにより施設入所を希望する人が増えることで、在宅介護や医療を中心に据えた地域包括ケアは結局機能不全になる」と思います。その理由を説明します。。

①重症化の予防支援が機能しない

ケアマネの人であれば分かると思うのですが、僕達の大事なケアマネジメントの視点の一つに「重介護が必要になる状態の予防」というのがあります。

そのために本人のストレングス(強み)をアセスメントで見出し、それを活かしながら生活できる支援計画を立て実行していくことで、結果的に重症化するリスクを減らす機能があります。これを「エンパワメント」と言います。

しかしこの改正により、そういった機能が果たせなくなります。地域差もあるでしょうが、僕の所属している地域ではほとんど総合事業は適切に機能していません。それは参入する事業者が少なく、結果利用者や家族に知られていない。使われないサービスは利益が出ないため仕方ない現象と言えます。

こんな現状で総合事業に在宅介護の重要な要である訪問介護と通所介護が移行すればどうなるか?仮にこれをビジネスチャンスと捉えて参入する事業者が増えてもそれは一般企業の価値観で行われる「サービス業」です。

利用者と一緒に料理や洗濯、家事をするという視点はありません。通所介護にしても、利益を出すためにあまり長時間利用されるのも困る為、運動・入浴・余暇などある程度なにかに特化してそれ以外のサービスは基本提供できない。送迎などのサービスもマイクロバスなどで効率よく行うか、それが難しい場合は家族に送迎を依頼するなど新しいスタイルにならさるを得ません。そうなると対応できない人達は利用を控えるでしょう。

さらに認知症の利用者との関わりが上手くできずトラブルが勃発。考えられそうなのは「モノを盗られた」「ヒドイ扱いを受けた」等、被害妄想がある人と揉め事になり、訴訟などの対応にばかり追われれば「ただでさえ収益が少ないのに、こんな事業はやってられない」と撤退する事業所が増えるのではないかと思います。

②結果的に重症者が増える

要介護1・2の人に適切な支援が行われない結果、要介護3以上の利用者が結果的に増える事が予想されます。

僕の感覚として要介護3くらいまでであれば在宅で支援できるのですが、要介護4以上は家族の介護力や経済力などにかなり左右され一気に在宅で生活するのが難しくなります。

そうなると待っているのは「施設入所希望者の増加」です。

③施設入所希望者の増加結果、増えるロング・ショートの計画作成

皆さんはロング・ショートのケアプラン作ったことありますか?ハッキリ言ってこれほど居宅のケアマネのモチベーションの上がらないケアプランもないです。なにせ在宅とは名ばかりの「施設ケアプラン」ですから。

基本はショートステイは認定有効期間の概ね半分しか利用できないルールがあります。(詳しくはショートステイの利用は認定有効期間の半分しか利用できないって本当!?を参照)

しかし認定の有効期限は現在最大3年。今後4年にまで延長される予定です。(詳細は要介護認定の有効期間が最大4年に延長される事が決定を参照)

そうなると1.5年~2年位はロング・ショートのケアプランを継続できてしまいます。そうなると大体はその間に入所希望の施設に空きが出て施設入所→居宅支援終了という流れになります。

④ケアマネの質の著しい低下という最悪の結果

そして僕が最も懸念しているのは、最終的にはケアマネのレベルがもの凄い下がる可能性です。どういうことかというと

総合事業移行→重症者増加→在宅無理な為施設入所希望→それまでロング・ショート→入所決まれば終了

つまり「居宅のケアマネに依頼が来た段階ですでに最初からロング・ショートありきのニーズばかりになる」→「ロングショートのケアプランばかり作ってもスキルなど1mmも上がらない」→「ケアマネが成長しない」→「ケアマネの質の低下」という流れが起きかねないのではないかと思います。

安易な要介護1・2の訪問介護・通所介護移行というのは僕達ケアマネにとっても、大きな不利益を被る可能性があるのです。

結論

要介護1・2の訪問介護と通所介護が総合事業に移行すると

総合事業移行→重症者増加→在宅無理な為施設入所希望→それまでロング・ショート→入所決まれば終了

からケアマネの質の低下にも繋がるリスクが起きる可能性がある

このまま財務省の言いなりになっていたら、最後には日本の介護の崩壊しかない気がします。しっかり僕達現場で働いている現役の専門職が、今何が起きていてこれから何が必要なのかを発信していかなければなりません。自分達の事は自分達で守るという、考えがこれからは必要ではないでしょうか。

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