ケアマネが利用者や家族に聞きづらい話題のトップは「お金」です。
何故か日本人はお金に関する話題を避けがちです。それはお金に対してネガティブなイメージがある為です。だらかいきなり初対面の人にお金に関する事を聞くのは失礼になると考えてしまい聞けないのです。
しかし、ケアマネとしてこの感覚ではいけません。利用者の事を本当に支援する気持ちがあるのなら、お金に関する話は「最初のアセスメント」ですべきなのです。今日はなぜ最初にお金の事を聞かなければならないのかについて説明します。
お金の話を最初に確認すべき理由
①お金の情報がなければそもそもケアプランが作れない
まず大前提なのですが、僕達ケアマネは利用者のケアプランを作ります。しかしケアプランを作って支援する為には介護や医療のサービスを受ける為の出費が必要です。
つまり「どれくらいケアプランの支援サービスにお金を支払えるのか?」この情報なしにケアプランの作成は不可能です。いくら素晴らしいケアプランを僕達ケアマネが作っても「ちょっと、そんなに払えないから無理」と言われたら全ての時間と労力が水の泡です。
ケアプランは作成の前に、「使用可能な予算」もしっかりマネジメントが必要なのです。
②最初に聞かないでいつ聞くの?
お金の話を最初に聞かないケアマネに「ではどのタイミングで確認するのですか?」と聞くと、多いのは「もうちょっと信頼関係ができてからにしようと思います」という答えが返ってきます。
では、どの程度の信頼関係が築けたら聞くのか?具体的なタイミングがあるのか?
こう確認すると、ほぼ100%そんな事は決めていないと答えます。これではいつまでも確認するタイミングを逃して逆に聞けなくなります。
「今更お金の話して、せっかく築いた信頼関係が壊れたらどうしよう」こんな思考になってしまうと、大事なお金の情報が分からないままになってしまいます。これでは質の高い支援はできません。
お金の話の切り出し方
最初のアセスメントでお金の情報の確認の必要性は理解できたとしても「でも、どうやって聞いたらいいのか分からない」という方が多いと思います。そこで僕がやっているやり方をお伝えします。
僕が居宅でケアマネしていた時に「初回面接で施設入所の話」をしていました。
「在宅で暮らしている人にいきなり?」って感じですよね。しかし在宅で生活している人も、転倒や病気による入院などがきっかけでいきなり施設入所になる事は珍しいことではありません。そしてそのリスクがあることは、ほとんどの利用者や家族が理解しています。
「段々これまでのように暮らすのが難しくなってきた。だから介護サービス使ったりしながら、できるうちは家で生活できるようにしたい(難しくなったら施設)」
こんな想いです。つまり介護保険のサービスを受けようと決意した段階で、現時点では在宅でも将来的には施設入所という選択肢はすでに頭にインプットされている状態です。その為施設入所に関する具体的な情報はむしろニーズとして持っているのです。
そこで地域にある1番高額な施設情報(有料老人ホーム等)も含めて特養やサ高住のパンフレットや料金表を見せて説明します。その後こう切り出します。
「もし、1番高額な施設に入るとしたら月に大体◯◯円かかりますが、ご本人の収入で支払いはできますか?」
こう聞くと大体「ちょっと難しいな」「ギリギリ足りるかな」といった答えが返ってきますのでそこから話題を繋げます。
「足りないと言うのは、どれくらい足りないですか?」
これで答えてくれればおおよその収入が推測できます。
しかし仮にですが「なんでそんな事言わないといけないの?」と言われた場合の返しも用意しておけばOKです。
「介護サービスを受けるには当然ですがお金がかかります。私達は支払える予算も考えながらプランを作ります。加えて年金の収入などが分かれば支払いの負担を減らす制度を紹介することもできます」
こんな感じで言いながら、さり気なく負担軽減の例として「介護保険負担限度額認定」について情報提供すると説得力が増します。
介護保険負担限度額の制度内容の詳細についてはこちらを参照ください。
ショートステイや特養の費用を軽減する「介護保険負担限度額認定」収入あっても軽減が受けられるかも!?
こうやってケアマネに自分の収入を伝えるメリットを利用者や家族に知ってもらうことが大切です。誰だってお金は大切です。そのお金をケアマネにちゃんと情報提供することで損をしないことが分かればほとんどの人が教えてくれます。さらに「この人できるな~」とケアマネの信頼感も増して一石二鳥です。
まとめ
最初のアセスメントでお金の話を聞くべき理由として
・そもそもお金の情報がなければ適切なケアプランは作れない
・逆にタイミングを逃せば聞く機会を失う
・お金の話の切り出し方は施設入所にかかる費用を説明しながら、介護保険負担限度額を例に収入が分かれば負担軽減できる制度があることを情報提供すればスムーズ
です。お金の話をケアマネが避けてしまうのはケアマネ自身が、費用負担を軽減できる制度にあまり詳しくなくて突っ込んだ質問をされた時に答えられない。つまり自信の無さが原因にあります。
このブログサイトのカテゴリー「社会資源」にお金の負担軽減系で使える制度について紹介していますので、参考にしてみてください。