ケアマネジャーにとって、アセスメントはケアプランを作る為にも非常に大切なプロセスです。
それが分かっている分、初めてアセスメントする時から
「メチャクチャいいプラン作る為にも、たくさん情報を聞き出すぞ~」
と気合い十分に、アセスメントシートの項目を全部埋めようとして利用者や家族にたくさん質問しまくる。
実はこれ、一番やってはいけないパターン。でも分かっていても実際にはこれをしているケアマネジャーは多い。もしくは緊張しすぎて、結局必要な情報を聞き出せない。
初回のアセスメントは2回目以降のアセスメントとは違う事が求められるのです。それが
「利用者や家族と信頼関係を作る事」
考えてみてほしいのが、仮に自分が利用者の家族だった場合。
会ったばかりの人からいきなり
「家族構成は?家族との関係は?」
「病歴を時系列で詳しく教えてください」
「トイレの失敗はありますか?」
「ご家族はどれくらい本人さんの介護ができるのですか?」
「年金収入ってどれくらいあるんですか?」
っていきなり聞かれたらほとんど人が
「なんで、あなたにそんな事教えないといけないんですか?💢」
かなり控えめに表現してもこれくらい相手が不快になるのが普通の反応です。ところが、反省しないケアマネジャーは
「あの家族はちゃんと情報を教えてくれない。面倒なクレーマーになりそうだ・・・」
等と考えて相手との関係を築こうとせず、最後は取り返しがつかないような結果になってしまうんです。
人は最初の印象に強く支配されるという「初頭効果」という心理学でも証明されているものがあります。つまり
最初の印象・つかみが良ければその後はスムーズに事が運びやすい
その為にも最初のアセスメントは信頼関係を築く事を最初は重視する必要があります。
「じゃあ、どんな風に初回のアセスメントを進めたらいいの?」
ケアマネジャーは初回は分からない情報が多いので色々聞きたい気持ちは分かります。しかしその気持ちは一旦脇においてまずは相手が話しやすい事を質問してみてください。例えば
・若い時にどんな仕事をしていたのか
・家に賞状や、手作りの小物等あれば「○○が得意なんですか?」
・家族写真などがあれば「美人(ハンサム)な人ですね。お孫さんですか?」
等色々あり、そこから話を少しずつ広げていけばいいのです。
ポイント「人は自分の好きな事であれば自然と話しが弾む」ということです。家の環境などを観察して、その人が興味を持ちそうな話題をまずは振ってみてください。
そうやって自分の話をしていくと、少しずつ緊張もお互いに解けてきてアイスブレーキングの効果も出てきます。
クライエントがケアマネジャーと話をすることに抵抗感がなくなり始めたと感じたら次に聞いてほしいのがその人の「生活史」です。
どこで生まれて、どんな子ども時代を過ごして、若い時はどこに住んでどんな仕事をしたのか。
「そんな事会ったばかりのタイミングで聞いたら怒られるんじゃ・・・」
そんな風に思って遠慮して聞けない人もいます。しかし、以外にもほとんどの人が実は自分の事を自由に語りたいという「欲求」を持っています。
でも、信頼できない人間にいきなり自分の事をペラペラと語りたい人はいません。だからこそ最初にしっかり相手の心を掴む、信頼関係作りが重要なんです。この時クライエントが自分の過去の話を気持ちよく話し出せば、あなたとの信頼関係が既にある程度築けていると思っていいです。
この生活史を聞いていけば、ケアマネジャーが知りたいと考えている情報の多くは実は自然に聞き出せます。
ここまでアセスメントを進めてそれでも聞けなかった事があれば、最後に最低限聞きたい情報(おおまかなニーズ。主治医、お薬情報、利用しているサービスやその状況等)を聞けば、初回のアセスメントは成功。
「今日はありがとうございました。これからもお話しを聞かせてください」
とお礼を言って、「2回目以降のアセスメントもさせてもらいますね~」というメッセージをさらっと伝えておいてください。
クライエントがリラックスした様子で返事をしたのであれば、今後のアセスメントやモニタリングは格段に行いやすい。逆に「もう結構!」みたいな表情と雰囲気が出ていると、今後の関わりが難しくなる。
まとめ
初回の印象で、今後のクライエントとの関係が大きく変わってしまうと思うと緊張してしまうかもしれません。
でも、シンプルに「最初は相手に気持ちよく自分の話してもらう」それだけを心がけてアセスメントをすれば大体上手くいくと思います。
初回はアセスメントシートを埋めるより、信頼関係を作る事。これを実践してクライエントである利用者や家族と素敵な関係を築いてください。