居宅支援事業所の管理者要件が主任ケアマネになるリミットに約1年と迫ったきました。
その一方、緩和要件も発表されケアマネの中では結構話題になりました。
居宅の主任ケアマネ管理者要件、延長が決定
それに関連し、先日ケアマネ協会の濱田副会長からこのような質疑応答のコメントが発表されました。
− 今後の課題は?
主任介護支援専門員研修を受けやすい環境の整備を十分に進められるかどうかです。都道府県ごとに状況が異なっていますので、まずは個々の実態を詳しく把握する必要があるでしょう。
− 協会として特に求めたいことは?
1つあげるとすれば、都道府県ごとの受講要件の違いを正してもらうことですね。市町村による推薦状を必要とするところもあり、研修を受けにくい要因の1つとなっています。もちろん、人材の資質を担保するという視点は今後も非常に重要でしょう。ただ今は、管理者として活躍する主任介護支援専門員を増やしていかなければいけません。まずは研修を希望する人が皆スムーズに受けられる環境を作って頂きたい。
− 全国統一の受講要件に?
さしあたり全国の状況を調べて明らかにすべきです。そうすることで、現行のルールの中でどんな受講要件を設定するのが一般的なのかよく分かるでしょう。各都道府県はそれを踏まえ、主任介護支援専門員の養成を推進する観点から適切に運用してくれると期待しています。
引用:JOINT 介護のニュースサイト 一部抜粋
これに関して、少し考察したいと思います。
主任ケアマネ研修の課題とは?
僕が考える主任ケアマネ研修の課題がこちらです。
①年に1回しか研修機会がない
②費用と時間がかかりすぎる
③受講要件がハード過ぎ、& ローカルルールで要件内容が全国統一されていない
今回特に③について濱田副会長はコメントで改善をしていく意向を示しています。
ここで、主任ケアマネの受講要件について紹介します。
ちなみに、この内容は僕が所属する愛媛県の情報になります。
主任ケアマネ受講要件(新規)
(Ⅰ) 開催日の前日までに更新(専門)研修【研修課程Ⅰ・Ⅱ】を修了している方
(Ⅱ) 次の①~③のいずれかに該当すること
①地域包括支援センターに配置されており、介護支援専門員の業務に関する十分な知識と経験を有している方
②居宅介護支援事業所で専任の介護支援専門員としての従事期間が開催日前日までに通算して5年以上である方で、現在も居宅介護支援事業所で就業している方
③ケアマネジメントリーダー養成研修を修了した方又は日本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャーであって、居宅介護支援事業所で専任の介護支援専門員としての従事期間が開催日前日までに3年以上で、現在も居宅介護支援事業所で就業している方
(Ⅲ) 勤務先の所在する市町長から推薦を受けた方
新たに主任ケアマネを目指す人で、この時期最も多いのが居宅からだと思います。条件として目指すのは(Ⅱ)の②で「専任ケアマネとして5年以上居宅で働いた経験があり、今も働いている人」だと思います。
主任ケアマネ受講要件(更新)
(Ⅰ) 主任介護支援専門員研修または主任介護支援専門員更新研修修了証明書の有効期間がおおむね2年以内に満了する者
(Ⅱ) 介護支援専門員への助言・指導及び地域包括ケアシステムの構築に向けた地域づくりの実践への協力が可能な者
(Ⅲ) 主任介護支援専門員研修修了後、直近の過去5年以内に下記の①~⑤のいずれかに該当する者① 介護支援専門員に係る研修の企画、講師やファシリテーターの経験がある者
② 地域包括支援センターや職能団体等が開催する法定外の研修に年4回以上参加した者
③ 日本ケアマネジメント学会が開催する研究大会等において、演題発表等の経験がある者
④ 日本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャー
⑤ 主任介護支援専門員の業務に十分な知識と経験を有する者であり、愛媛県が適当と認める者(Ⅳ) 勤務先の所在する市町長から推薦を受けた者
問題となるのが(Ⅲ)の部分の①~⑤でどれを目指すのかという事です。
恐らくですが、多くは①か②のどちらかになります。そしてどちらかと言えば②のほうが研修さえ受けられれば良いのでイージーと考えられます。
見ていただいた通り、受講するだけでも結構大変な事が分かると思います。
ちなみに個人的なことですが、僕はケアマネとしては居宅での経験が5年以上あり、トータルで約10年近い経験があり経験の浅い新人ケアマネの指導も行っています。
ですが現在は老健のケアマネですので、それだけを理由に主任ケアマネを受けることすら許されないという状況です。
こういった内容からも、施設ケアマネは居宅や包括のケアマネよりも立場が低い扱いと国から見なされている感じるのは僕だけでしょうか?
話を戻してここで問題になるのが、新規でも更新でも挙げられている(Ⅳ)の「勤務先の所属する市町長から推薦を受けた者」
これが必要なのか?という事に関しては疑問があります。主任ケアマネとして相応しいかどうかを担保する要件はたくさんある中にこれが入れられるのは正直厳しいと言わざるを得ません。
その理由ですが、僕が所属する愛媛県松山市の推薦を受ける為の要件があるので紹介します。
市町長からの推薦要件
主任更新研修の受講要件に該当し、かつ次の各号に掲げる要件のうち、(1)必須要件の全て及び(2)選択要件に掲げる取り組みのいずれかに該当していること。
(1)必須要件(以下全ての要件に該当すること)
ア 勤務する事業所等の要件
① 前年度までに本市が行う実地指導や運営指導に基づく指導等の改善がなされている事業所等であること。
② 受講申込年度の前年度に実施した集団指導に参加している事業所等であること。
イ 受講を希望する介護支援専門員の要件
① 主任更新研修後、最低1年間は引き続き松山市内で働く予定があること。
② 主任更新研修後、本市における以下の全ての要件について主任更新研修受講希望者が同意し、かつ主任更新研修受講希望者が以下の全ての要件を行うことに配慮することを勤務先法人及び勤務する事業所等が同意していること。
ア)本市又は本市が委託した機関が行う事業に協力すること。
イ)支援困難事例の受け入れに積極的に取り組むこと。
ウ)地区・地域への貢献や他の事業所の介護支援専門員に対する指導・助言など主任介護支援専門員としての役割を担うこと。
エ)本市が作成する主任介護支援専門員名簿への登録及び地域包括支援センターへの情報提供に協力すること。
(2)選択要件(3つ以上の要件に該当すること)
過去5年以内に以下に掲げる取り組みへの実績があること。
① 地域包括支援センターが主催する地域ケア会議に参加(事例提供者は除く)していること。
② 愛媛県、愛媛県内の市町及び地域包括支援センター等が主催する研修で講師又はファシリテーターを行った実績があること。
③ 愛媛県介護支援専門員地域リーダー養成研修地域別演習に地域リーダーまたは活動メンバーとして参画した実績があること。
④ 地域包括支援センター又は関係機関と連携し、虐待など困難事例のケアマネジメント等を担当したことがあること。
⑤ 地域包括支援センター等が主催する事例検討会に継続的に参加し、総合司会、コメンテーター等を実践したことがあること。
⑥ 本市又は本市が委託した機関が実施するケアプラン検討会の委員として参加又は事例提供者として協力した実績があること。
⑦ 本市又は地域包括支援センターが主催する、介護支援専門員を対象とした研修会や連絡会等へ積極的に参加していること。
どうですか、これ?主任ケアマネの受講要件よりハードじゃないですか?
これは個人レベルだけの頑張りではかなり無理があります。職場の経営者や同僚もその人が主任ケアマネを取得できるよう、お金・時間・マンパワー。あらゆる面でサポートが必要です。
そうでなければ、主任ケアマネは増えないし個人だけで頑張らせた事業所に対しては、その主任ケアマネはいずれ別の条件の良い所に移籍する可能性が高まります。
まとめ
主任ケアマネ研修の課題
①年に1回しか研修機会がない
②費用と時間がかかりすぎる
③受講要件がハード過ぎ、& ローカルルールで要件内容が全国統一されていない
とくにローカルルールの市長推薦の要件がハード過ぎ
ローカルルールと言え、市長推薦を課している所が多いので実質全国的な要件と言えるかもしれません。
しかしあまりにハードな要件では主任ケアマネは増えません。主任ケアマネを増やしたいのであれば、濱田副会長が言うようにもう少し要件緩和を図る必要があるでしょう。
一方緩和しすぎると、以前から僕が危惧している主任ケアマネが「ただ5年以上の実務経験がある事を証明するだけの資格」に成り下がらないかという心配があります。
両者のバランスを取りながら、今後どのように変わっていくのか注目していきたいです。