高齢者虐待。2018年度は施設職員による虐待が過去最高を更新

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高齢者虐待。2018年度は施設職員による虐待が過去最高を更新 ニュース

厚労省が24日、2018年度の高齢者への虐待数などのデータを発表しました。

そして、施設職員による虐待が過去最高を更新し、621件という結果でした。

厚生労働省は24日、介護施設の職員による高齢者への虐待行為が2018年度に621件あり、過去最多だったと発表した。前年度(510件)から21.8%増加した。被害者は認知症の人が85.0%を占めた。虐待で死亡したケースも1件(1人)あった。件数は12年連続で増えた。

深刻な人手不足による介護現場の負担増が増加の背景にありそうだ。厚労省は「社会的な関心が高まり、通報も増えている」(担当者)と指摘している。

家族や親族らによる虐待判断の件数も、過去最多となる1万7249件だった。殺人や心中、虐待で21人が亡くなった。

621件の施設での虐待に関し、被害者が複数いる場合があり、被害者は927人に上る。うち女性が約4分の3となる688人。加害者は男性が54.2%で介護に従事する男性の割合(20.6%)と比べて相当高い。

虐待の種類(複数回答)で見ると、暴力や拘束といった身体的虐待が57.5%でトップ。暴言などの心理的虐待27.1%、著しい減食や長時間の放置を含む介護放棄19.2%が続いた。不当な財産処分などの経済的虐待(5.8%)、性的虐待(5.4%)もあった。

施設・事業所の種類別では、特別養護老人ホームが34.9%、有料老人ホームが23.0%で多かった。いずれも、入所者が寝泊まりするなど生活の場としている施設。621件のうち20件は、過去にも被害者が出た施設・事業所だった。

引用:日本経済新聞

 

結果をまとめるとこんな感じです。

・前年度の510件から21.8%増加

・件数は12年連続で増え続けている

・被害者の特性

①全体の85%が認知症

②被害者の性別では4分の3が女性

・加害者は男性が54.2%

・虐待の種類

1位:身体的虐待(57.5%)

2位:心理的虐待(27.1%)

3位:ネグレクト(19.2%)

・施設種別

①特養(34.9%)

②有料老人ホーム(23%)

なぜこのような結果になったのか?

皆さん、この結果に対して言いたいことは色々あると思いますが、なるべく客観的に結果を見ていきたいと思います。

まず虐待の傾向自体はこれまでと大きく変わりはない印象です。

被害高齢者に認知症女性が多い事。身体的虐待が一番多く、次に心理的虐待やネグレクトが続く事。

男性職員による加害の割合が女性よりは少し多い事などは、これまで通りと言えます。

僕が一番注目しているのは12年連続で増え続けていることです。

なぜ虐待件数が増え続けているのか?

この結果だけ見てしまうと「虐待が増え続けている=介護の質の劣化が止まらない」という印象を与えてしまいます。

しかし僕も現役の実践者として肌で感じるのは、介護業界のレベル自体は10年前と比べて著しくレベルが低下したという事はあり得ないです。

全体としては、接遇教育に力を入れる事業所が増えたり、加算を取得するために人員を整えたり、研修機会を充実させて職員を育てる所も増えて、むしろ質は良くなっていると思います。

介護の質が上がっているのに、虐待件数が増える理由

大きく2つの理由があると思います。

①事業所の格差が昔より大きくなった

僕がこの業界で働き出してもう少しで14~15年になりますが、まだ僕が働き出した当時というのは介護保険制度が始まって数年でした。

その頃は措置時代の感覚がまだ抜けず、全体的には「安かろう、悪かろう」が業界的に多くの事業所で普通にまかり通っていました。

しかし、大手民間企業の福祉参入などによって、接遇やホスピタリティーの向上が売上に直結するようになってくると、そういった事業所にお客さんが集まり、結果として質の高い人材を雇い、教育し、ますまず売上が増えるという好循環ができました。

一方で、質の高い人材を育成することが経営改善になるという意識のない事業所は、行き当たりばったりの人材採用しか行わず、人が辞めたら適当に誰でも雇うというようなスタンスです。

このような事業所では人は育たず、残って仕事をするのは利用者にタメ口や横柄な態度を取ることに疑問を欠片も感じないような人ばかりになります。

そのような事業所は悪い噂がすぐ立ちます。今の世の中の噂が出回るスピードはSNSの普及などにより、格段にパワーアップしています。

そういった劣悪な事業所からの通報が増えた事が一つあると思います。

②世間の虐待への通報意識向上と、隠し撮り等が容易になって世間に露出しやすくなった

皆さんは今Youtube等の動画サイトで、利用者の家族が隠し撮りした虐待の証拠画像等が流されている事を知っていますか?

そういった事が行われるようになった背景には、世間の逆対への通報意識が高まった事に加えて、隠し撮りをするためのカメラなどの購入がAmazonなどのECサイトで購入が容易になったこともあります。

例えばこの商品です。どっからどう見てもボールペンにしか見えませんが、これがカメラなんです。

こういった高性能カメラの普及と、You Tube等の動画サイトの流行により高齢者の虐待が世間に露出しやすくなった事も虐待の増加の背景にあると考えられます。

まとめ

・高齢者虐待は12年連続で増え続けており、2018年度は過去最高の621件

・虐待件数が増え続ける理由として

①事業所の格差が大きくなり、質の低い事業所の通報が増えた

②世間の虐待への通報意識向上と、隠し撮り等が容易になって世間に露出しやすくなった

今後僕達は「常に監視カメラで見られている」という意識で利用者のケアを行うべきです。

別にカメラで撮影されようが、恥ずかしくない質の高いケアをすれば良いだけです。

それよりも家族の前でだけ丁寧にやって、いないときには虐待まがいのケアをする意識で仕事をされるほうが、事業所にとってリスキーです。それなら事業所が積極的にカメラで監視するほうがまだマシです。

施設での高齢者虐待を少しでも減らすには、組織で人材育成を地道に徹底的にやるのが最も効果的で唯一無二の方法だと思います。

 

 

 

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