この夏の時期、多くのケアマネが忙しさが増すと感じてはいませんか?その理由に7月末に後期高齢者保険証をはじめ、様々な証明書関係が更新されるからです。
その中の一つが「介護保険負担割合証」です。これまで一律1割負担だった介護サービスの利用者負担割合が、平成27年度改定から所得に応じて2割負担する人が出て、平成30年度改定ではついに3割負担まで登場しました。まあ医療保険も3割あることだし、このまま1割オンリーでは制度が継続できないので仕方ない流れかと思います。
ただ、ケアマネでもどれくらいの所得だと2割になるのか、3割になるのか。キチンと理解している人はどれくらいいるのでしょうか?
「私去年は1割負担だったのに、今年送られてきた負担割合証見たら2割になっていた。なんで?」等利用者や家族に質問されて「全く分かりません」ではちょっと頼りないケアマネだと思われてしまいます。そこで今回は介護保険の負担割合が決まる仕組みについてご紹介します。
介護保険負担割合が決まる仕組み
引用:厚生労働省 平成30年度介護保険負担割合パンフレット
これが概要です。まず基本的な事ですが
1割以上の負担割合になるのは、第1号被保険者のみ
ということです。どれだけ高額所得の第2号被保険者でも1割負担になります。ただこの辺りは今後第2号被保険者にも負担を求めていく流れになるかもしれません。また65歳以上でも生活保護受給者や市区町村民税非課税の方は1割です。
この図だけではちょっと分かりにくいですね。ポイントは「世帯に65歳以上の人がいる人数」で考えることです。
①世帯に65歳以上の人が1人だけ(単身世帯含む)
3割
・単身世帯:340万円以上
・単身世帯ではないが、65歳以上が一人:220万円以上
2割
・単身世帯:280万円以上
・単身世帯ではないが、65歳以上が一人:160万円以上220万円未満
1割
・単身世帯:280万円未満
・単身世帯ではないが、65歳以上が一人:160万円未満
②世帯に65歳以上が2人以上いる
3割
65歳以上の年齢の人の合計所得(年金収入+その他の合計所得金額)が463万円以上
2割
65歳以上の年齢の人の合計所得(年金収入+その他の合計所得金額)が346万円以上463万円未満
1割
65歳以上の年齢の人の合計所得(年金収入+その他の合計所得金額)が346万円未満
まとめ
今日は介護保険の負担割合が決まる仕組みを解説しました。ポイントは
65歳以上の人が世帯に何人いるのか。(一人の場合は単身世帯かどうか)
です。この制度、65歳上の人が複数いる世帯のほうが負担割合は少なくなりやすいです。例えば70歳の女性1人と40代の息子夫婦と10代の孫と4人暮らしだったとします。この場合この女性の年金などの収入が160万円を超えるだけで2割、220万円を超えれば3割になってしまいます。
一方同じパターンでも70代の夫婦に息子家族の2世帯暮らしだった場合。夫婦の所得が346万円未満なら1割で済みます。
ちなみに2015年の調査データですが、高齢者世帯の平均年収は297万円です。月の収入で言えば約25万円。この数字は物価の安い地方であれば十分ですが、都心部では心もとないかもしれません。
つまり、65歳以上が2人以上いれば1割になる確率が高く、誰かと住んでいるが1人しか65歳以上がいないと負担割合は高くなってしまいます。
これは「一緒に住んでいる若い人にお金の世話もしてもらいなさい」という国からのメッセージにも見えます。しかし今話題の「8050」問題があるように、むしろ若い世代が高齢者のお金をあてにしている現状もあり、ケースによっては必要なサービス利用を拒否する原因になるかもしれません。
いずれにしても、ケアマネとしては制度を正しく理解して、適切な支援を利用者や家族にしてほしいと思います。
参考になったという方はコメントをよろしくお願いします。