「有益情報じゃないなら時間の無駄」という人には、オススメできませんので決して見ないようにしてください
2021年介護保険改正のタイムリミットも迫ったきた現在、僕達ケアマネに最も関心があるトピックと言えば「自分達の報酬が本当に増えるのか?」という事でしょう。
介護保険の全サービスの中で、居宅介護支援だけがずっと赤字なのです。
だから基本的には併設でしか運営できないし、併設法人の経営者から「自事業所にサービスを振れ」等と公立中正の「こ」の字も知らないような低スペックな人間の機嫌を伺わなければいけない、僕達ケアマネにとって歯がゆい状態が続いています。
単独で運営するには特定事業所加算を取得しないといけないのですが、この場合人件費もかかる事から決して安定した運営ができる状態にはなっていません。
この閉塞感を突破するには、以前から言われているようにケアマネの報酬の抜本的改革が必須事項だと言われてきました。そして今回の改正でようやく少し光が見えてきそうな様子です。
しかし、現時点ではその効果は少なく、大きな改善が期待できそうになさそうです。では具体的にどういった内容なのか?それを今回の記事で考察してみます。
報酬アップ案①基本報酬アップと逓減性緩和
僕達ケアマネが一番望んでいる事、それは何と言っても「基本報酬のアップ」です。
ハッキリ言って今の基本報酬額は安すぎる。予防に至ってはやればやる程赤字まっしぐら。こんな報酬体系では安定した経営等、単独でできるはずがありません。
そこで基本報酬をアップさせる事に、ようやく国が重い腰を上げ出しました。それ自体は喜ばしい事ですが、そこはずる賢い国のやり方。
この基本報酬アップとセットでやろうとしているのが「逓減性の緩和」です。
まだ具体的な内容は決まっていないのですが、現在は要介護の居宅支援費の請求は常勤1人に対して、通常の金額でできるのは40人まで。それを超えると減額になってしまいます。
それを例えばですが60人くらいまでは通常の金額で請求が可能になる。そして合わせて担当件数の標準件数も増加するという流れになることが予想されます。
ここで多くのケアマネがこう思ったでしょう。
それができない事業所は、これまで通りの報酬で働きなさい
報酬アップ案②通院同行加算の新設
現在は僕達ケアマネが利用者の病院受診に付き添う業務は完全にタダ働き扱いです。
この病院の付き添いが、大きな病院だった場合待ち時間を含めるとほぼ半日拘束されてしまい、ケアマネの仕事が停滞してしまう原因になってしまいます。だからどうしても必要でなければ付き添いをしないケアマネの方が大多数のはずです。
今回この部分にメスを入れるようで、要件や算定額等不明な点は多いながらも加算が新設される事だけはほぼ決定しました。
しかし、この加算。「無いよりはあった方がマシ」くらいのもので、この加算ができたからといって収益の大幅な改善に繋がる効果はほぼ皆無でしょう。
僕の、本当に個人的な予想ですがこの加算は1回あたりせいぜい300~500点前後。
そして先述したように、基本的には通院同行は頻繁にやる支援ではありません。
本来医療機関との連携や情報提供というのは、通院に同行する以外の形で行うのが基本です。
しかし例えば以下のような場合なら、ケアマネにも通院同行する理由やメリットはあります。
・個人病院等で、連携室などの機能が働いていない
・利用者が主治医に言いたい事あるが、自分達だけだと遠慮して言えない為、代弁者としての役割を果たす為
逆にこの加算ができたからと言って、加算取得を目的に不必要な通院同行をする等という流れができてしまえば本末転倒です。本来、通院同行はケアマネの仕事ではないという事を周知していく必要がありそうです。
ケアマネはコスパが悪い仕事というイメージの払拭が急務
最後に今回のテーマとは少しズレるかもしれないのですが、ケアマネの報酬を今以上に引き上げないとかなりマズイ理由があります。
それは介護・医療業界で働く多くの人にこんなイメージがほぼ定着してしまったからです。
「ケアマネとして働くのってコスパ悪すぎ!!」
一体どういうことなのか?
①ケアマネになるまでが難しい
まずケアマネはそもそもなるのが難しいです。
もちろん看護師や介護福祉士のほうが簡単とかっていうわけではありません。ただケアマネの資格というのは、そういった国家資格を所有した状態で最低でも5年以上の実務経験がないと受験資格すらありません。
さらに受験資格を得たとしても、試験の合格率は10%台という狭き門。試験に合格する為には、仕事をきちんとこなしながらも日々の生活の中でしっかり勉強する時間を作らないといけないのですが、これが多くの人にとってハードな部分です。
なにせ一生懸命努力したからといって、合格するより落ちる確率の方が高いのです。ストイックに努力する事、自分を信じる力。加えて「仮に落ちたとしても、合格するまでチャレンジする」というタフなメンタルがなければ絶対に挫折します。
合格後には実習も含めた長期間の研修があり、これを全て修了して初めてケアマネジャーになれます。この研修も体調不良などで履修できないと、履修できなかった部分はまた来年受けないといけなくなり、それまではケアマネとして働けません。
ただこの実習は12月の合格発表後の1~3月という、非常に寒くて風邪などの体調を崩しやすい時期にガンガン行われます。仕事もこなしながら、体調を崩すわけにもいかないという非常に厳しい自己管理が求められる為、この実習を普通に終わらせるのも結構大変なのです。
②ケアマネになってからがスーパーハード
僕自身の経験で思うのは、ケアマネはなってからが超絶大変です。
まず資格自体が5年しか有効期間がないので、5年の間に更新に必要な研修を受けてライセンスを切らさないようにする必要があります。
この資格管理も必要です。なぜならご丁寧にどこからかDM等で「後1年しか有効期間がないので更新手続きお願いします」等と連絡は来たりしません。ボーッとしていると下手したら有効期限切れなんて、シャレにならない事が起きるかもしれません。
そして何より実務をこなすのが本当に大変で、常に高いレベルでの自己研鑽を永続的に求められます。
介護保険制度の事は当然として、医療保険制度、年金などの様々な社会保障制度に関する知識、地域の社会資源の情報、多様な機関の人達とのネットワークの構築、利用者や家族と信頼関係を作る為の面接技術、パソコンなどのICTを使いこなすスキル、スゴイスピードで変わる制度への情報収集、メンタル病んだりしないよう心身の自己管理・・・etc
本当に挙げればキリがないです。もちろんケアマネもピンきりであまり努力していないケアマネもいますが、そういうケアマネは大多数がそのうち続かず辞めていきます。
僕の肌感覚としては、5年以上一度も辞めずに続けているケアマネはほぼ本物といって間違いないと思います。
これだけの努力をしていても何か不都合な事があれば、ケアマネのせいにされてバッシングされる事が多いです。
医者「こんなになるまで放っておくなんて、ケアマネさんは今まで何してたの?」
「こんなことも知らないなんて、あの人本当にケアマネなの?」
「絶対一人一人の利用者の支援の質が下がってしまう」