僕達の業界で昔から当たり前に使われている「傾聴」という言葉があります。新人の頃、教育研修などで「利用者さんの話を傾聴しましょう」なんてサラッと言われます。
しかし、傾聴について深く学習する機会はほとんどの人がないまま仕事を続けてきています。その為傾聴について「要はよく相手の話を聞くことでしょう」くらいの認識しかありません。
しかしこれが大きな間違いなんです。「相手の話を聞くこと=傾聴」ではありません。なので、この介護・医療の業界で利用者や患者などのクライエントに対してきちんと傾聴できている人は少ないです。傾聴の本質を一言で言うなら
傾聴とは相手を理解すること
今日は傾聴の正しい方法について紹介します。
傾聴の効果とは?
①相手との信頼関係が増す
②話し手の人間性や、これまでのバックグラウンドなどの理解が深まる
③話し手自身が、傾聴してもらうことで自分の頭の中の考え事を整理することができる
他にもありますが大きくこの3つの効果が期待できます。ケアマネとして利用者やその家族との関係を築き、適切な支援をするには傾聴が欠かせないことが理解できます。しかしこの効果を得るには正しい方法で傾聴ができていなければいけません。
傾聴の正しい方法
傾聴とはただ相手の話を「うんうん」と聞くだけではダメです。しかし喋りすぎてもいけません。あくまでも聞くことに重点を起きながら、要所要所で必要な言葉も使い、相手が心地よく話ができるようにしてあげる必要があります。
①アイコンタクト
②うなずき
③あいづち
④繰り返し
⑤要約
⑥解釈
これらのコミュニケーション技法を中心に相手の話を聞いていきます。技法の詳しい内容については
コミュニケーション能力は正しい技術をマスターして身につけよう ケアマネに必須の相談面接技術とは
こちらを参照してください。
傾聴で大事なポイント
①こちらの考えや価値観を相手に押し付けない
利用者や家族には様々な生活史があり、それにより様々な価値観や考えをもっています。それはケアマネ側も一緒で、人は自分の価値観こそが正しくて、自分の価値観と異なるものやそれを否定するような価値観に対して「それは違う」と不快感を抱きやすいです。
例えば「自分が得するのであれば、他人がどうなっても構わない」
このような価値観を持っている人がいたとしますよね?恐らく多くの人はこの考えに不快感を抱いて、結果つい「そんな考えではいつまでたっても現状は良くならない」みたいな事を言ってしまいます。
その結果相手との信頼関係は築けず、相手の事も理解できない為いつまでたっても適切な支援に結びつかないことになってしまいます。
傾聴とはこのような自分と相反する価値観や考え方を否定せず、相手の話を聞き、相手の事を受け入れることです。これが頭で分かっていても実際にやるとなると難しい事が多い為、イメージトレーニングや、職場の同僚等とロールプレイで鍛える必要があります。
②自分が話す事を考えすぎない
ある程度傾聴の技術を使い慣れてくるとつい「次は要約で、こんな感じで返してみるか」といった事を考えすぎてしまいます。その結果、相手の話が右から左へ抜けているのに気づかなかったりします。
このような状態に話し手は気づいています。皆さんも「この人、私の話を聞いているようで全く聞いていないな」と感じることがあると思いますが、まさにその状態です。
相手が話している時は、全力で相手の話を聞く事に集中してください。話したいことをある程度話し終えると少し沈黙ができたり、話のペースが落ちたり、同じ内容を繰り返したりします。そうなった時に必要な返しをするので十分です。
③早急な判断をしない
例えばクライエントに合う前に得た事前情報や、ここまでの話の内容から「要するにこういうことでしょう」と相手がまだ話しているのに、早急に結論を決めつけてしまし、それが正しい前提で話を進めようとする人がいます。
それが仮に正しいとしても、傾聴の方法としてはNGです。傾聴とは相手の話を聞いて理解することです。相手をケアマネから観て早急に正しい結論に導くことではありません。
まとめ
・傾聴の効果
・傾聴の正しい方法
・傾聴の大事なポイント
今回は上記3つを紹介させてもらいました。
「傾聴とは相手を理解すること」その為の正しい知識や技術を身につけて、利用者や家族に適切な支援ができるようにしましょう。
またこの傾聴は人間関係構築全般にも応用ができます。悩んでいる職場の同僚、友人、家族などの話を聞くときにも効果的です。上手な傾聴ができるようになって「聞き上手な○○さん」と言われるようになれば、たくさんの人があなたの事を信頼してくれるはずです。そんな素敵な人になる為に正しい傾聴をマスターしてもらいたいと思います。