以前人材育成に有効なスキルとして人材を「人財」に育てるためにはコーチングとティーチングを使いこなそうで「コーチング」について紹介しました。
今回はコーチングをする際に押さえて置きたい基本的なポイント「なぜ?」がキーポイントになる理由について解説します。
解決策を教える事はコーチングではない
まず多くの人が間違っている事に「すぐ解決策を教える事」があります。
これがあらゆる場面で間違っているわけではありませんし、答えが明確に決まっている法律のルールへの質問などであれば問題ありません。
しかし人材育成の視点で考えた時に、解決策を教えるだけでは人は育ちません。特にケース対応などの相談に部下や新人が来た時に「独居高齢者はこうやればいいのよ」みたいな返しをすることは、すぐ解決策を教えることになります。
この方法で上手くいけばいいのですが、多くの場合は分からないことがあるとその度に質問。自分でどうしてその方法が必要だったのか考えることをしなくなる。その結果自分で考えたり、判断して行動に移すことがなくなる為、相手の成長を阻害する可能性があります。
なぜ?で気づきを引き出す
例えば、後輩のAさんが独居高齢者のケースに相談に来たとします。
「利用者のBさんは独居で、一人息子も東京にいて近くに頼りになる身寄りはいない。筋力も低下して先日も転倒したのに介護サービスを使おうとしないんです。このケース、どうすればいいですか?」
この質問にあなたならどう答えますか?
ここで解決策をすぐに教えてはAさんの成長につながりません。そこで有効なのが「なぜ?」と問いかけて相手から気づきを引き出すことです。
「なぜ、Bさんはそんな状況なのに介護サービスを使おうとしないんだと思う?」
こんな感じです。こう返せばAさんはその理由を自分で考えられます。
・家に誰かが来るのに抵抗感がある?
・もしかすると、お金が心配で使おうとしないのでは?
・東京で頑張ってる息子に心配をかけたくないから?
いずれもこの時点では仮説ですが、自分で考えた仮説をBさんと面談することで確認ができますよね。こういった事の積み重ねが確実に成長に繋がります。
まとめ
コーチングのポイントは
・すぐに解決策を教えるのではなく
・「なぜ?」と相手に問いかけることで気づきを引き出す
です。少し違う話になりますが、たまに「分からない事は相談に来るように言っているのに、分からないまま勝手にやって困る」という話も聞きます。
しかしこういう人は以下のようなワードを多用していることがあります。
・「そんなことも知らなかったの?」
・「それはこうやってやればいいんだよ」
・「なんでそんな事をやったの」
これでは相手が質問するたびに萎縮したり、不快な気持ちになって質問したいという気持ちが無くなってしまうから相談に来ないのです。しかし、こういった場合でも「なぜ?」をキーポイントにしたコーチングを取り入れることで、自然と相手の印象が良くなり相談される機会が増えますので是非試してみてください。