知ってますか?高齢者の健康を左右するオーラルフレイルについて

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知ってますか?高齢者の健康を左右するオーラルフレイルについて 介護方法

この記事はこんな人の役に立ちます

・現役のケアマネジャー
・利用者で食事の摂取量が減った、或いは上手く食べれなくなっている
・上記のような状態を歯科医に診てもらったが、思ったような改善が見られない
人が健康に生きる上で大切な事が3つあります。それが「食事」「運動」「睡眠」です。
そして食事とは、栄養があるものを適量「食べる」行為です。
どれだけ体に良い食べ物でも、ちゃんと食べる事ができないと栄養にはならず、健康になれません。
ではちゃんと食べる為に大切な事とは?それが「お口の健康」です。ケアマネの間では「口腔機能」「口腔環境」等と呼ばれます。
これまでお口の健康に関しては、他の疾患や健康管理に比べるとあまり重要視されてこなった歴史があります。しかし最近はその流れも見直されてきています。
その証拠にフレイルという言葉が浸透してきたと同時に言われる事が増えてきたのが「オーラルフレイル」という言葉です。
ちなみにフレイル全般にに関してはこちらをご参照ください
今回はオーラルフレイルに関する知識と、ケアマネとして必要な支援のポイントについて、月刊ケアマネジャー2022年12月号から紹介させてもらいます。
参考文献

オーラフレイルとは一体どんな状態なのか?

オーラフレイルとは一体どんな状態なのか?

オーラルフレイルとは、身体的フレイルの一種です。口腔機能の低下から、生活に様々な支障が生じるようになってきます。

オーラルフレイルの特徴として、徐々に進行していくというものがあります。

最初は些細な変化、しかしそれを放置し続けた結果、日常生活に大きな支障が出て介護が必要になります。そうならない為にもオーラルフレイルの兆候を逃さない事が大事です。例えばこんな状態です。

・歯を磨く回数が減る
・歯が抜けたり、痛みを感じても治療を受けない
・義歯が合ってないのに、そのまま放置している
このような状態を放置すると、口腔機能の低下を招き、オーラルフレイルが進行します。では、その大事な口腔機能とは?どんな大事な役割があり、機能低下によりどのような影響が出るのか確認してみましょう。

口腔機能の4つの役割

①呼吸

口周りの筋力が低下すると口呼吸が増えます。口呼吸は鼻呼吸と比べて多量の細菌を取り込んだり、口腔内の乾燥などを引き起こします。さらに高齢者は唾液量も減少している為、口腔内の自浄作用も低下しています。その結果、様々な口腔内トラブルが増えてしまいます。

②食事

口腔環境の悪化などで、歯が減ったり噛む力が低下すると肉や魚、野菜といった繊維質の食材を噛む事が難しくなります。そうなると食べられるものが限定される事でたんぱく質などの必要な栄養が摂れなくなり、体調管理が難しくなります。

何より食べる事は人生において大きな楽しみの一つ。その楽しみを失う事は、心身共に大きくQOLを損なう事になります。

③発音(構音)

唇の動きや滑舌が悪くなると、ハッキリと発音ができない。または声が小さくなります。

そして自分が話した事が相手に伝わらず、聞き返される事が増えるなどコミュニケーションがスムーズにできなくなります。

その為人と会ったり会話したりするのが億劫になり、引きこもりがちになり認知症などの進行リスクが高くなります。

④表情を作る

表情を作るにも筋力が必要です。しかしその筋力が衰えると、笑顔を上手く作れなくなります。

すると周囲から「アノ人はいつも無表情で不機嫌そうな印象。なんだか話しにくい」と思われ、孤立化してしまう原因になります。

実は要介護の高齢者であまり笑わず無表情な人が多いのも、この顔の筋力低下が影響している事があるのです。

低栄養のリスクとは?

オーラルフレイルが進行すると、低栄養のリスクが高くなります。では低栄養になると、どのようなリスクが高くなるのでしょうか?

①病気になりやすくなる

体力が低下し、ちょっとした事でも疲れやすくなります。また免疫力が低下する為、感染症などにかかりやすくなったり、皮膚が弱くなり褥瘡などができやすくなります。

また回復力も低下している為、これらの不調から回復するにも時間がかかるようになります。

②身体機能が衰える

たんぱく質が不足すると、不足した分を体内で補おうとして、筋肉に蓄えられたたんぱく質を消費するように体がはたらきます。その結果、筋肉量や筋力の低下を起こし転倒などのリスクが高くなります。

③浮腫みやすくなる

栄養状態が悪くなると、低アルブミン血症になります。この状態になると全身の浮腫みや血圧の低下などを引き起こしやすくなります。その結果、足などの浮腫みが目立つようになってきます。

オーラルフレイルの支援ポイント

オーラルフレイルの支援ポイント

オーラルフレイルを起こしてしまうと、様々な健康上のリスクが高くなる事が分かりました。では、オーラルフレイルを予防するためにどのような支援が必要なのか?

オーラルフレイルの早期発見と予防の為のポイントを解説します。

①歯肉が腫れていないか?

様々な理由から歯肉が腫れる事があります。歯肉が腫れると痛みから歯磨きをしなくなる人がいます。

また義歯を外す時に痛みを感じる為、義歯を常時つけたままにする人もいます(夜も外さず寝てしまう)

このような状態が放置された結果、口腔環境がどんどん悪化。結果的に歯肉炎の症状も進行する悪循環に陥ります。

支援のポイント

・早期に歯科医などの専門職に介入を依頼する
・スポンジブラシの使用、義歯の付け外しや洗浄のケアをケアプランに導入し、口腔環境の改善を支援する

②歯がグラグラしていないか?

高齢者は歯が折れかけていたり、グラグラして抜けそうになっている事があります。

そのような歯が抜けてしまった時、日中意識がしっかりしていれば吐き出す事ができます。しかし寝ている時に抜けたり、認知症の人などであれば誤って飲み込んでしまう。結果として誤嚥による窒息や肺炎、腸菅損傷などの重篤なリスクに繋がるリスクがあります。

支援のポイント

・早期に歯科医の受診を行い、歯の固定や抜歯などの処置を行う

③義歯はちゃんと使えているか?

歯が抜けたり、全く無くなった利用者にとって義歯は大切な道具です。しかし義歯がきちんと使えていない高齢者は多いです。

仮に本人が「問題なく使えている」と言っても鵜呑みにしてはいけません。会話していると義歯がパカパカと動いていたり、口を頻繁にモゴモゴ動かしている場合は合っていない可能性が高いです。特に定期的に歯科にかかっていない場合は一度確認が必要です。

支援のポイント

・「あ、い」と発音してもらい義歯のバネの状態など確認。合っていない事が分かったら、歯科受診に繋いで、義歯の調整を依頼する
・義歯が過度に汚れている場合は普段のケアが適切にできていない証拠。その為、歯科衛生士などの専門職に義歯のケアの指導を行ってもらう

④体重が急激に増減していないか?

体重は栄養状態を知るうえで最も参考になる指標です。この体重が急激に増減している場合は、なにかしらの栄養の問題を抱えている可能性が高いです。

支援のポイント

・本人の標準体重がどれくらいか?把握しておく
・体重が減ってきている場合は食事摂取量が減っている事が多い。食事の量や回数、どのようなモノを食べているのかを確認。活動量の低下や、心身の疾患の影響で食事摂取量が減っている可能性も視野にアセスメントを行う
・体重が増えている場合は、食べ過ぎや偏食、ジャンクフードなどを寝る前に食べる事が習慣になっている可能性がある。ただ食事量を単純に減らすのは難しいため、肉や魚、卵や乳製品といった高たんぱくで低カロリーなメニューに変える事を検討する(たんぱく質を食べると満腹を感じやすいので、食べる量を減らしやすい)

⑤嚥下がちゃんとできているか?

食事中に疲労感や息切れ、むせ等の症状が見られる場合は嚥下機能の低下が疑われます。

このような状態になると低栄養や誤嚥性肺炎を起こし、健康状態を悪化させるリスクが高くなる為、早期の支援が必要です。

支援のポイント

・滑舌が悪い、上を向いて飲み込む、口の中の食べカスが増えるなどの様子が見られるか?
・飲み込みがしにくい場合は、一口量を調整する、圧力鍋などで柔らかく調理する、食べやすい大きさにカットする、飲み物と食事を交互に摂取する(交互嚥下)
・家族やヘルパーなどと情報共有、連携し必要なケアが行えるようにする
・ST(言語聴覚士)などに介入を依頼し、嚥下機能を維持、向上させるためのリハビリなどをケアプランに取り入れる

まとめ

オーラルフレイルの支援ポイント

①歯肉が腫れていないか?
②歯がグラグラしていないか?
③義歯はちゃんと使えているか?
④体重が急激に増減していないか?
⑤嚥下がちゃんとできているか?
今回は身体的フレイルの中でも、最近注目度の高くなっているオーラルフレイルについて紹介させてもらいました。
歯の健康は軽視されがちですが、実はQOLを大きく左右するくらい影響が強いです。その為高齢者になっても、いかにお口の健康を保つかがとても重要になってきています。
利用者のオーラルフレイルを防ぎ、元気に生活を楽しんでもらいたい。そのサポートができるケアマネになりたいと自分も思います。この記事が少しでもその助けになれば幸いです。
より詳しく知りたい方は、実際に参考文献を読んでみる事をオススメします。
参考文献

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