知っておきたい、ケアマネができるヤングケアラー支援

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知っておきたい、ケアマネができるヤングケアラー支援 社会資源

この記事はこんな人の役に立ちます

・最近よく聞くようになった「ヤングケアラー」について詳しく知りたい
・ケアマネとして仕事でヤングケアラーの子どもを見かける事が多くなったんだけど、どこまで、どんな風に関わっていいのか分からない
少子高齢化がますます進んでいる現代で、今社会的な問題になっている事、それが「ヤングケアラー」です。
このワード、一度は聞いたことがあるでしょう。でも僕がケアマネをやり始めた10年以上前にはなかったワードです。それくらい大きな問題になってきているのです。
そして僕自身、仕事の中でヤングケアラーの人達が以前より増えてきたと感じています。しかしどう関わっていいのか分からない。だからといって、見えないフリをするわけにもいかない。そんなもどかしさを抱えている人も多いのではないでしょうか?
今回の記事は月刊ケアマネジャー2022年10月号から、ヤングケアラーについて、ケアマネとして必要な知識をまとめてみます。
参考文献

ヤングケアラーの定義とは?

ヤングケアラーの定義とは?

まずそもそもヤングケアラーとは何なのか?

僕自身は「学生のような若者が、親や祖父母の介護をしている」くらいの認識しかありませんでした。しかしまずは正確に理解をしておく事が大事です。

ヤングケアラーの定義についてはこのように記されています。

家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子どものこと。

引用:一般社団法人日本ケアラー連盟HPより

国によって定義は異なるようですが、日本では日本ケアラー連盟がヤングケアラーについて、18歳未満の子どもが介護などのケアを行っている場合にヤングケアラーと定義されるようです。

 

ちなみにあまり知られていないですが、若者ケアラーというワードもあります。

18歳~おおむね30歳代までのケアラーのこと。

引用:一般社団法人日本ケアラー連盟HPより

このワードを知らずに、ヤングケアラーの定義だけ理解する事は危険だと思います。なぜならこのように考える事もできてしまうからです。

 

ヤングケアラーは18歳未満だから、それ以上の年齢になった人がケアをする事はそれほど大きな問題ではないだろう

 

 

介護の問題は担い手不足から、日本の大きな社会問題になっています。だからといって若者に介護の責任を押し付ける事が果たして適切でしょうか?

若者には就学、就職、結婚を含めた自分自身の人生設計があり、それらを実現させる為に頑張っていく時期でもあります。

僕自身も若い時は自分自身の事で精一杯。とてもじゃないですが、介護を担う余裕は全く無かったです。それは今の若者であっても変わりません。

そんな状況で介護の責任を押し付けられた若者はどうなるか?大きな負担と、自分が生きたいように生きられない不満から彼らの人生を大きく損ねてしまう事になります。

つまり考え方としては、18歳未満のヤングケアラーだけでなく30代の若者も含めた人が介護をする事。それがヤングケアラーの問題とも言えます。

ヤングケアラーが抱える4つの課題

ヤングケアラーが抱える4つの課題

では、現実にヤングケアラー(以下若者ケアラーも含む)は、どのような課題を抱えているのでしょうか?

①学校生活

ケアの為に勉強や宿題をする余裕が無くなったり、病院の付き添いなどのせいで学校を欠席したり遅刻したりすることがあります。その結果、授業についていけなくなる。しかし補習への参加も十分できず、結果として進学に必要な成績を取る事ができなくなる事もあります。

そうなってしまうと学校を中退したり、そうならなくても不登校のきっかけになる事もあります。

②友達関係

学生時代の友人と遊ぶ時間は、大人になって振り返るとあれほど楽しい時間は無かったと記憶している人も多いでしょう。逆に言えば、若者にとっては友人関係は非常に大切なのです。

しかしケアのせいで遊ぶ時間が減れば、友人との話題についていけない。また友達に遊びに誘われても、家に帰ってケアをしないといけないから断る。そうなると大切な友達とも自然に疎遠になってしまいます。

この悩みを友達に相談したくても「きっと理解されないだろう」と考えてできません。それはそうですよね、自分と同年代の人で家族をケアしている人なんていないわけですから。そう考えてしまうのも仕方ない事です。

結果として、友達関係が希薄になり、孤立化してしまう事になります。

③健康

ヤングケアラーは心身の健康を損ねやすい事も大きな問題です。

学業とケアの両立。大人でも仕事と介護の両立は大変な負担なのに、それを若者がやる事の負担は想像を絶します。

さらに友人関係が上手くいかない、本当は遊びにだっていきたいのにそれもできない精神的ストレス。その結果、睡眠不足や食生活など生活習慣が乱れ、健康を損ねてしまう可能性が高くなります。

④将来

若者がケアをする事で、自分自身の将来を損ねてしまう。具体的には希望する進学や就職ができなくなります。

ケアのせいで十分な勉強時間が確保できない為、進学を断念せざるを得ない。就職活動中の場合であれば、それに使う十分な時間が無い。結果的に希望する企業への就職ができない。

こうなってしまうと、低賃金で長時間労働を違法にやらせるブラック企業などしか就職できない確率が高くなり、若者の貧困問題を加速させる恐れさえあるのです。

ヤングケアラー7大支援ポイント

ヤングケアラー7大支援ポイント

ヤングケアラーに対して、何かしらの社会的サポートが必要な事は理解できたと思います。

しかし僕達ケアマネが、その存在に気付いた時にどのようにして関わればいいか分からない。分からなければ、結果的に何もできない事になります。

それではダメだという事で、ヤングケアラーに対しての支援ポイントを確認してみましょう。

①相手へ関心を示す

ヤングケアラーにとって、ケアマネは自分がケアをしている家族の専門職であり、「自分には関係が無い人、だから自分の事など気にしていない」このように考えてしまいます。

そうではない事を分かってもらう為には、相手に関心を示します。といっても難しい事はしなくていいです。

さり気なく声をかける。それを繰り返す。それだけでOKです。

最初は心を開いてくれないでしょう。しかし繰り返し声掛けを続ける事で、少しずつですがヤングケアラーとの信頼関係が築けてきます。

声をかける場合、例えばこんな言葉が良いです。

・「しんどい事はない?」
・「無理はしなくていいからね」
・「困った事があったら、相談してほしい」
反対にこのような声掛けは止めましょう
・「頑張ってね」
・「あなたがケアしてくれるから、私も安心してる」
・「ちゃんと学校行かないとダメだよ」
ケアマネとして励ましているつもりかもしれませんが、このような言葉は相手にプレッシャーを与えるだけです。かえって信頼関係を損なてしまうのでしっかり覚えておきましょう。

 

②社会資源(子ども情報ステーション)の案内をする

ヤングケアラー自身が気軽に自分の悩みを相談したり、情報を得たりできる社会資源があります。それがコチラです。

子ども情報ステーション

ヤングケアラー同士が悩みを共有できるオンラインサロンや、悩みなどの相談窓口があるサイトです。スマホからでも見る事ができる為、この情報をまずは伝えるだけでもやってみましょう。

③「話したい」タイミングを逃さない

信頼関係が築けてくると、ヤングケアラーから「ちょっと相談したい事があるんですけど・・・」とふいに言われる事があります。その時絶対にタイミングを逃してはいけません。

なぜなら子どもの心はとても繊細です。一度でも断られると、ケアマネに対してこう思うでしょう。

 

この人は口だけで、結局子どもの自分の事なんてどうでもいいんだ。もう相談するの止めよう

こうなると子どもから相談されることはもう無くなり、支援に繋げるきっかけが無くなります。

だからこそ相談があった時は、なんとかして他のスケジュールをその場で急遽調整しましょう。そして相手の話を遮らず、最後まで全力で傾聴してください。そして話してくれた事に「自分に相談してくれてありがとう」と伝えましょう。

ここでしっかり対応ができれば、ヤングケアラーとしっかり信頼関係が築けます。その大事なタイミングを逃さないようにしましょう。

④解決方法を一緒に考える

相談があった後は、現在の問題をどのようにして解決するか?本人と一緒に考えます。

ここで大事なのがアセスメントです。現状の課題を整理し、解決に向けた糸口を一緒に考えていきます。

アセスメントのポイントとして、以下のような事を確認してみましょう。

・ヤングケアラーが担っているケアについて(内容、時間帯、頻度など)
・ケアが長期化しているかどうか
・ヤングケアラーの心身の健康状態
・生活、学業、進学、就職活動などへの影響
・本人の負担感、ケアをする事をどう考えているか
・ケアを拒否してもいいことを認識しているか

⑤情報共有の同意を得る

当然ですが、この問題をケアマネ単独で解決する事はできません。学校や行政など他機関との連携が重要になります。

その為には得た情報を提供する同意を得る必要があります。

 

「なぜ情報提供する必要があるのか?」

「情報提供する事でヤングケアラーにどんなメリットがあるのか?」

「情報提供する事で不安な事はどんな事があるのか?」

 

これらを丁寧に説明します。間違っても同意を焦ってはいけません。ただし虐待などの緊急事案であれば、同意なしに児童相談所などに報告はできます。その見極めは大切です

⑥罪悪感や役割喪失感に注意する

支援に繋いだ結果、ショートステイや施設入所などケアをしていた家族が自宅にいられる時間が短くなったり、いなくなったりすることもあります。そのような時

「自分が相談したことで家族が家にいられなくなった」

このような罪悪感や自分自身の役割を喪失して、メンタル的に不安定になるリスクがあります。その為支援に繋ぐ前に「あなたのせいなどでは決してない」事を十分に説明し、納得できるよう支援が必要です。

⑦専門機関につなぐ

必要に応じてヤングケアラーの支援をしてくれる機関に繋ぐ事も大切です。

ただ住んでいる市町村によって窓口や機関名が異なるのが現状です。自分やヤングケアラーが所属している地域の支援機関はどこなのか?一度市町村に問い合わせて把握しておきましょう。

まとめ

ヤングケアラーの定義とは?

・18歳未満で家族などのケアをしている子ども
・18歳~おおむね30歳代のケアをしている人は「若者ケアラー」という
ヤングケアラーが抱える4つの課題
①学校生活
②友達関係
③健康
④将来
ヤングケアラー7大支援ポイント
①相手への関心を示す
②社会資源(子ども情報ステーション)の案内をする
③「話したい」タイミングを逃さない
④解決方法を一緒に考える
⑤情報共有の同意を得る
⑥罪悪感や役割喪失感に注意する
⑦専門機関につなぐ
ヤングケアラーの存在に気付き、支援の入り口になる。それは自宅を定期的に訪問する僕達ケアマネです。それ以外にも訪問介護や訪問看護など、訪問系サービスの事業者も同様です。
こういったチームのメンバーと連携しながら、ケアマネがヤングケアラーに適切なアプローチと支援をする。その積み重ねが将来ある若者を一人でも救うきっかけになると思います。
「ヤングケアラーの支援はケアマネの業務範囲外だ」
このような意見もあると思います。確かに現在は責任の範囲外であり、支援しなかったからといってお咎めがあるようなものではありません。
ただ僕個人としては、将来ある子ども達の一生に一度きりしかない大切な時間が奪われるような事は避けたい。思いっきり全力で、今しかない青春の時間を楽しんでほしい。そしてそのサポートが少しでも自分達ができるならやれることはこちらも全力でやりたいと考えています。
この記事を読んでくれた人が、少しでも僕と同じようにヤングケアラーの人達をサポートしてくれると、とても嬉しく思います。
参考文献

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