この記事はこんな人にオススメ
主任や管理職などのリーダーに抜擢されたが、上手くリーダーシップを発揮できない。
どうすればリーダーシップを学ぶ事ができるのか分からない
僕も過去に介護主任や居宅の管理者等、リーダー的ポジションで仕事をしてきましたが、いつもリーダーシップについて悩んでいました。
「このやり方でいいのか?」
「さっきの指導方法は正しかったのか?」
そんな迷いを抱きながら日々忙しい仕事をこなす事に、次第に疲弊していった事もたくさんありました。その原因はリーダーシップに必要な学習が適切にできていなかった為です。
リーダーシップは明確に「これが絶対的正解」というものはありません。もしあるとするなら、優れたリーダーシップを発揮する為には、常に質の高い学びを継続し、それを実践することだけです。
なので、今回はリーダーシップの発揮に必要な学習の方法について紹介します。
リーダーシップ2つの学習方法
まず「学習」の定義について見てみましょう。
1 学問・技術などをまなびならうこと。「学習の手引」「学習会」
2 学校で系統的・計画的にまなぶこと。「英語を学習する」
3 人間も含めて動物が、生後に経験を通じて知識や環境に適応する態度・行動などを身につけていくこと。不安や嫌悪など好ましくないものの体得も含まれる。
引用:デジタル大辞泉
一般に,特定の経験や練習によって行動のかなり持続的な変容が生ずるとき,その過程または結果を学習と呼ぶ。
引用:百科事典マイペディア
簡単にまとめると学習とは
それまでなかった知識をインプット→新しい知識をアウトプットして、これまでの行動を変化させ、結果を変える一連のプロセス
このように考える事ができます。そしてリーダーシップの習得に必要な学習は大きく2つあります。
①シングルループ学習
シングルループ学習とは、結果に対して問題点があることが分かった場合、その問題点の改善に向けて行動(アクション)を起こす学習方法です。
多くの人や組織が、この概念を知らなくても実践している方法で学習の基本的な考えとも言えます。
例えば部下とのコミュニケーションが上手くいかなった時、自分の話し方や伝え方に問題があり、そこを改善することで、「これまよりコミュニケーションが円滑に取れるようになる」という結果を目指す方法です。
②ダブルループ学習
ダブルループ学習とは、結果に対して問題点が分かった時、その問題点にのみ注目するのではなく、それが起きた背景まで深く考察・分析しようとする方法です。
例えば、部下とのコミュニケーションが上手くいかない時、シングルループ学習では自分のコミュニケーションスキルの改善に注目します。
しかしダブルループ学習では「そもそもなぜ部下とのコミュニケーションが必要なのか?」という「そもそも論」にまで原点回帰し、全体のプロセスのロジック自体を再構築しようとする方法です。
部下とのコミュニケーションの必要性について考察した結果、仕事を円滑にするのに必要ということは導きだせましたが、その方法を既存のやり方に頼るのではなく
・大人数の部下と密なコミュニケーションは難しい。その為、セッション内でグループを幾つか作り、普段の密なコミュニケーションはグループリーダーを中心に密に行ってもらう
・言いにくい事を相談する機会が設けられていない
→直接言いにくい人に配慮し、メール等でも相談の受付をする等窓口を多様化する
→月に1回等、時間をしっかり取ってマンツーマンで話し合いをする機会を作り、信頼関係を深めていく
このように、自分のコミュニケーションスキルだけでなく、ロジックを再構築することで方法そのものを新しいモノを作りだしていく事を目指す。これがダブルループ学習の特徴です。
これはダブルループの方が有能というわけではなく、どちらも必要な学習方法です。
リーダーシップの学習とは、行動の結果を観察しつつ、自らの行動を支える理論をできる限り効率的に変化させていくことだと言えます。
リーダーシップ学習の4ステップ
ステップ①リーダーシップの直接体験
リーダーが自分のリーダーシップがどの程度の価値を提供できているのか?それを確認するためには周囲の支援者(以下フォロワー)が必要です。上司であれば、自分についてくてくれる部下等の仲間がフォロワーです。
リーダーとフォロワーには相互作用が働きます。リーダーが自分の価値観に沿って起こしたアクションに、フォロワーが何かしらの影響を受け、そのフォロワーの変化にまたリーダーの価値観が影響を受けます。
その結果リーダーシップにも修正や変更が行われます。それに必要な要素は組織論で3つあります
- リーダーは「自分の物語」を語る
- フォロワーはそれを「私達の物語」にする
- 皆で「今すべきこと」を考える
リーダーとフォロワーによる相互作用が1人歩きを始める。そしてその事を直接体験する事がリーダーシップの学習には必要不可欠なのです。
ステップ②すごいリーダーの近くで仕事をする
心理学者のウィリアム・ジェーンズによると人間というのは本来もっている能力の20~30%程度を発揮するだけで、仕事をクビにならない程度のパフォーマンスを発揮できるということです。
つまり、大して頑張らなくても、日々のルーチン化された仕事はなんとなくこなしてしまえるのです。
さらに現代社会の成果主義に基づく価値観により「収入=能力」という考えが多くの人に植え付けられてしまっています。しかし給与による収入というのは、あくまでその人の時間と能力の一部を切り売りしただけのものであって、その人の全ての能力を示しているわけではありません。
ただ、こういった背景により「自分にはこの程度の仕事が丁度いい」とあきらめて、無理矢理自分を納得させてしまう人が多いのです。
その停滞した状況を打破する為には「スゴイリーダーの近くで仕事をする」のが最も効果的です。
能力的に優れているのではなく、リーダーシップに優れていることが条件です。能力で人と比べると「あの人は私より遥かに優秀だからスゴくて当然」と自分に言い訳してしまいます。
リーダーシップに長けた人はダブルループを中心とした学習を積極的に実施し、常に変化し挑戦しています。そんな人が近くにいれば非常に強い刺激を受けます。そして、少しでもその人の考えや行動を真似する事を繰り返す。そうすることでリーダーシップを身につける近道に繋がるのです。
ステップ③学習した事を言語化(アウトプット)する
これはシンプルに言えば、学習した事をフォロワーなどの周囲の人に対して「自分の言葉で伝える」という事を日々繰り返す事です。
人間というのは学習、つまりインプットしただけではそれが自分の力になりません。インプットした学習を他者に伝えるという「アウトプット」を通して、初めて少しずつ自分の力になっていきます。
これには2つ理由があります。
一つは他者に伝える為には、教科書に書いてあるような難しい理屈をただ並べても伝わりません。伝わりやすい言葉に置き換える等の工夫が必要ですが、その為には自分がしっかり学習内容を理解しなければできません。
アウトプットの機会がないと、学習の理解が浅いまま終わってしまい自分の力にならないのです。
二つ目にアウトプットすることで、自分で言った言葉に自分自信が影響され、結果として好ましい行動を起こしやすくなり、その結果フォロワーなどの周囲に影響を与えるという良い循環が生まれやすくなるからです。
自分で言った理論を、実践もせず机上の空論で終わらせるリーダーなんて格好悪くて嫌ですよね。この意識がリーダーシップの向上には必要です。
ステップ④学者や偉人の理論・持論から自分の持論を構築する
優れたリーダーシップを学習し、実践していくと過去の優れたリーダーと価値観がかなり近づいてきます。
異なるのは価値観に沿った行動の基準となる理論(持論)です。
偉大なリーダーに共通しているのは「自分の価値観通りに行動する」という事です。そしてその行動を支える為の理論(持論)は歴史上の優れたリーダーのものを参考にしながら自分で構築していく必要があります。
ちなみに経営学者であるサランシックによる原理原則へのコミットメントは以下のような内容です。
- 行動が観察可能であること
- 真剣であって、取り消し不可能であること
- 自分の自由意志で、個人的な責任でやっていること
- 公の場で、自分の行動を宣言すること
補足ですが、カリスマ性を示したい場合は自らの行動に「強さ」と「怖さ」を与えればよいと言われています。
自分をカリスマ化したい場合や、カリスマ的行為による支配に陥らない為に知っておいても良いと思います。
リーダーシップに必要な勇気
最後に精神論のようになってしまいますが、リーダーシップを発揮するには「勇気」という感情が必要不可欠です。
リーダーというのは人々の先頭に立つ存在。そしてそのポジションは勇気を持って戦う事でしか手に入らないし、フォロワーがリーダーについていく気になるのは勇気ある行動を認めた時です。
これはハイリスク・ハイリターンな行動が勇気ある行動というわけではありません。投げやりな態度で行うハイリスクな行動、正義という旗を振りかざしながら最終的には100%自己の利益の為に行っているのが透けて見える行動を人々は勇気と認めません。
真の勇気とは、自己の利益や他者がどう思うかなど関係なく、自分の価値観に沿って決めた原則に基づく行動を勇気と言います。
皆が自己保身ばかり考え、結果として変われない社会は勇気が失われています。勇気が失われれば、生きることの意味を失い、元気が無くなるのは当然の結果で、今の日本の課題とも言えます。
リーダーには業務に必要なスキル、理論等多くの事が求められますが、最も大事な事は「勇気を示す事」です。
それ無くして真のリーダーシップは発揮できないと言えます。
まとめ
リーダーシップ2つの学習方法
①シングルループ学習
②ダブルループ学習
リーダーシップ学習の4ステップ
ステップ①リーダーシップの直接体験
ステップ②すごいリーダーの近くで仕事をする
ステップ③学習したことを言語化(アウトプット)する
ステップ④学者の理論・持論から自分の持論を構築する
リーダーシップに必要な勇気
今回はリーダーシップの学習方法について解説しました。この考えは現在リーダーでない人でも取り入れる事でプロとしての成長が加速し、将来優れたリーダーになれる可能性が高まります。是非参考にしてもらえればと思います。
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