この記事で簡単に触れましたが、この記事では4大認知症の一つである「脳血管性認知症」の特徴について紹介します。
脳血管性認知症とは?
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血等、脳血管障害、高血圧や糖尿病、脂質異常症等の危険因子によって発症する認知症です。
脳血管障害によって周囲の細胞がダメージを受け、様々な症状が出現します。また障害を受けた部位によって症状が異なるという特徴があります。
主に男性に多いのも特徴です。
脳血管性認知症の症状
主な症状として
- 物忘れ
- 注意集中の困難
- 精神活動の低下
- 自発性の減退
- 決断力の鈍化
- 作業能力の低下
- 作業内容の貧困化
- 感情失禁
- 実行機能障害
このような症状が出現します。
そして、脳血管性認知症の最も顕著な特徴は、障害された脳の部位によって保たれている部分と、機能低下した部分が両立している為、別名「まだら認知症」とも呼ばれます。
一般的に記憶障害はそれ程重度でなく、言われた事を覚えていたり、礼儀作法をきちんと守った振る舞いもできます。
その反面意欲の低下や、感情コントロールが難しくなって急に泣いたり怒り出したりすることもあります。
こういった様子から家族などが「うちのお袋は認知症ではないのだが、最近ちょっとしたことでも怒りっぽくなった」等と言う事があります。これは一般の人には「認知症=物忘れがひどくなる」という単純な認識がまだまだ強いことが影響しています。
症状が進行してくると
- 不眠や頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 肩こり
- 食欲不振
- 不安や焦燥感
こうなってくると抑うつや夜間せん妄などが出現しやすくなります。
支援のポイント
①経過は一進一退
脳血管性認知症は脳障害の重症度や、障害を受けた部位や範囲によって経過は様々です。
そのため経過の予後・予測は困難で個別性が高くなり進行のスピードは不安定です。
脳梗塞の再発などで、進行が加速することもあります。支援の際はそういった一進一退で不安定な経過があることを理解して行います。
②症状の変動を理解する
脳血管性認知症の特徴として、阻害されている能力と保たれている能力がある事。感情のコントロールが上手くできないときがあり、急に怒り出したり泣き出したりすることがあります。
先述したように症状がまだらなのが脳血管性認知症の大きな特徴ですが、この事を理解していないと不要な誤解が生まれます。
「これだけ理解力があるのに、できないのはおかしい」
「認知症じゃないのだから、本人の言っている事はただしいはず」
支援者は周囲に症状の特徴などを丁寧に伝えながら、本人のケアを行っていく必要があります。
周囲の戸惑いも大きいですが、それ以上に本人ができていたことが上手くできないもどかしさや苦しさを感じています。その思いを受け止め、理解できるよう努める事が大切になります。
③本人ができることを大切にする
先述したように、できないこともありますが、まだまだできる事が多く残されているのも脳血管性認知症の特徴です。
どうしても本人や周囲はできない事にばかり注目しがちですが、その結果抑うつ傾向が加速し意欲の低下を招いてしまいます。
本人が今できていることが自信を持って行えるよう、周囲が協力できる体制を作る事が支援者には求められます。
まとめ
✔ 脳血管性認知症の特徴として、主に男性に多い
✔ 主な症状に、
- 物忘れ
- 注意集中の困難
- 精神活動の低下
- 自発性の減退
- 決断力の鈍化
- 作業能力の低下
- 作業内容の貧困化
- 感情失禁
- 実行機能障害
✔ 支援のポイントとして
- 経過は一進一退
- 症状の変動を理解する
- 本人ができることを大切にする
今回は4大認知症の一つ、脳血管性認知症の特徴について紹介しました。それぞれの認知症の特徴の違いを理解できれば、質の高いケアが行なえます。参考にしてみてください。
参考文献