ケアマネの支援経過記録ってどう書くの? 書き方のポイントを押さえよう

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支援経過記録

ケアマネの日常業務の一つに支援経過記録を残すことがあります。しかしこの支援経過記録

「一体どんな事を、どんな風に書けばいいの?」

こんな風に悩む人も多いと思います。実際僕も「記録を残さないといけないのは分かるんだけど、書き方が分からない」と悩んでいました。

実際この支援経過記録については、研修などでもあまり触れられない部分なので多くのケアマネが「なんとなく、多分、こんな感じでよいのだろう」と自己流的になっている。

そこで、今回は支援経過記録の作成ポイントについて説明していきます。

支援経過記録の作成ポイント

①タイトルをつける

支援経過を読みやすくする為の第1歩はタイトルをつけること。これをすると自分でも他者でも何についての記述なのか一目で分かります。

(例)

「自宅訪問」「長男妻来所」「長女から電話」「事業所に電話」「認定調査立会い」「受診同行」「往診同席」「サービス担当者会議」

 

さらにタイトルを少し詳しく表示すれば、支援の動きがより分かりやすくなります。ケースやその時の状況によって短い物と詳しい物見やすい物を使い分けます

(例)

【定期モニタリングの為の自宅訪問】
【作業療法士と住宅改修の下見に同行訪問】
【○○サービス新規利用の為同行訪問】
【入院経過について担当看護師に電話確認】
【長男の妻がサービス変更の相談に来所】
【治療方針の確認の為に受診に同行】
【○○事業所よりFAXにて定期報告】
【入院先の病院で退院カンファレンス】

②見出しをつける

ここで言う見出しとは内容を端的に表現したもの

つまり内容のもっとも特徴的な点を一文でズバリと要約したもの

(例)

【定期モニタリングの為自宅訪問、玄関まで送ってきた妻に「施設入所を申し込みたい」と相談を受ける】
【○○訪問介護事業所より「明日から来なくていい」と本人に言われたと電話がある】
【留置カテーテル抜去との連絡に訪問看護師と同行訪問。主治医に緊急往診を依頼する】
【3度目のサービス担当者会議を自宅で開催、サービス提供者への感謝の言葉が初めて本人より語られる】
【訪問リハのPTより「リハプログラム更新カンファレンス」開催の要望の電話をもらう】

このように見出しをつけることで支援経過の流れと内容を瞬時に把握できるようになります。

コツとしてはタイトルに記録の結論や要点を先に書くと分かりやすいです。

③重複して書かない

サービス担当者会議の記録、モニタリング、アセスメント、などケアマネはいくつもの記録を残す。しかしモニタリングやアセスメントなど別に用紙がある場合は「○○参照」としたので良い。こうする事で重複をさけ業務の効率化が図れる。さらに見やすい記録となります。

「一度書いたことは二度書かない」

これを意識して記録を作成する事が、デスクワークの簡素化を実現する第一歩になります。

 

※基本は上記の考え方で良いのですが、いちいち別の記録を開くのも時間がかかります。その為○○参照の後に要点や特筆すべき点など記すと見やすい記録になります。

サービス担当者会議実施。詳細は議事録参照
※薬の飲み忘れ対策として訪問看護が調剤薬局に一包化を要望することになる

④堂々と書く

ケアプランや議事録など利用者や事業所が見る書類には書けないような内容を書けるのが支援経過の特徴の一つ。利用者からの提示があれば見せないといけませんが、利用者の不利益になる場合など、条件によっては非開示にもできます。

ただし記録するのは全て支援業務に関連するものに限られることに留意してください。

・本人に告知していない深刻な病気の進行に伴う支援の記録
・本人がケアマネジャーに打ち明けた秘事のなかで支援業務に関連するもの
・経済的環境などサービス事業所へ知らせなくてもよいと判断できるもの
・本人と家族の意見の隔絶などケアプラン等には掲載できないもの
・家族や親族間の確執
・いわゆる「社会的規範」から逸脱するような本人、家族の言動や行動(自分達の利益の為なら、他人に不利益になる事をしてもいいといった発言や行動など)
・サービス担当者会議の議事録に掲載できない内容。例えば会議の場では発言できなかった本人や家族の本音、無遠慮な出席者の発言など
・サービス提供者への苦情や批判・本人の訴えの信憑性を確かめる為にケアマネジャーがとった行動
上記のような事も業務遂行に必要と判断される場合は、堂々と記録に残していきましょう。

⑤変化を書く

支援経過の目的の一つに利用者に対して行われている支援が最適かどうか吟味するというものがあります。その判断根拠に「変化」の記録が役に立つ為積極的に残していきましょう。

・どのような変化が起きたか
・変化に誰がどのように対応したか
・変化は実施中の支援にどのような影響を与えるか
・ケアプラン変更の必要性も含めて支援プログラムの修正、変更の吟味
・修正や変更の結果はどうか

以上のような流れを支援経過に記録していく。なお変化には健康、身体、心理、介護環境など様々なものがあります。

(例)

妻より電話連絡。「ベッドに取り付ける手すりがほしい」と相談あり。
理由を聞くと今日の早朝4時に本人がベッドから転落したからだと言われる。
妻によると左腕に青あざができた程度だと言われる。
本人の状態確認の為自宅訪問。
本人の身体状況確認。左腕に打ち身確認できたが本人は「痛みはない」と言われる。
それ以外に身体状況に変化はなし。ベッド~トイレの移動までの動作に問題は見られない。
内服薬の確認。すると先週の受診時より眠剤が処方されていたことが分かった。

上記のように変化の流れを記録します。変化には原因がありその原因を考え、確かめ、対策を講じていくというプロセスはケアマネジャーの大切な仕事のひとつになります。

⑥事実を書く

支援経過に書く記録は基本的に「事実に基づく信憑性」が求めらます。

その為には何が必要なのか?考えなくてはいけないのは「情報の質」です。

一次情報

自分自身で確かめた情報。情報の信憑性が高い

二次情報

自分自身で確かめたものではなく他者から聞いた情報。その為情報の信憑性にかける

 

情報とは大きく分けると上記のように2つあります。

一次情報を記録するのであれば問題ないのですが、ケアマネジャーの業務の性質上、二次情報を扱う機会のほうが多いです。

二次情報の特性として情報発信者が直接確認したわけではなく、情報提供者自身も二次情報を伝えている可能性が高いということです。

例えば訪問介護のサービス提供責任者からの連絡で「今日吐き気があると言っていました」

という情報。しかしこれは多くの場合、直接業務に当たったヘルパーからの報告を、サービス提供責任者がさらにケアマネに報告しています。

また二次情報は情報提供者の思惑や利害関係などがあればさらに事実と異なってくる可能性が高いという特徴があります。

可能ならば二次情報はできるだけ本人や家族などの当事者に確かめるようにすると、事実の誤認を防ぎやすくなります。

⑦気持ちを書く

支援において家族介護者の気持ちも大切な要素。介護は家族と一緒に歩む道のりです。

家族の介護状況や思いの変化などの記録は、支援過程の大切な要素になってくるので記録に残していきましょう。

例えば在宅ターミナルの記録のなかで、家族の気持ちの変化は本人がどのように生きて、どのように亡くなっていくかを綴る上で欠かせない情報です。

 

本人の気持ちを記録できているか

認知症や寝たきりで本人が自分の思いを他者に伝えられないような場合は、家族の言動などに本人の気持ちが埋もれてしまう場合があります。

例え本人とのコミュニケーションが困難であっても、家族と一緒に本人の気持ちを推し量るなどの働きかけが求められます。

⑧苦情を書く

苦情も支援経過に記録を残す。援助者のいたらなさやミスに基づく苦情であっても、苦情の発生から対応までのプロセスを記録に残します。

また苦情発生時は「苦情報告書」も作成します。

苦情の記録を残す、さらなる意味

利用者や家族には様々な価値観をもった人がいます。例えば

「自分の要求通りに周りが従う事が当たり前」
「どんな小さなミスも絶対に許さない」
「利用者である自分はお客様。つまり神様同然だろ」

このような歪んだ考えの人や、何度も不当な苦情を繰り返す「クレーマー」など実に様々です。

そのような人への対応は丁寧でありながらも毅然とした態度で臨むことになりますが、同時に「記録」が重要になります。

後に訴訟などに発展したとしても

「利用者の安全の為に当方が勧めたにも関わらず、利用者独自の判断でその勧めとは別の方法を選択したために事故になった」

このような記録がる事で、自分たちを守ってくれる証拠となります。

最近は特にこの悪質なクレーマータイプの利用者や家族が増えてきたように思います。正当なケアマネ業務をしているのであれば、「訴える」みたいな事を言われても毅然とした態度を貫けばいいだけです。

僕の経験上「こちらの言うことを聞かないのであれば訴えてやる」と脅してくる人で本当に訴えてくる人はほとんどいません。

しかし万が一裁判沙汰になった時、こちらの正当性を証明する必要があります。

その証明に必要なのがこの「記録」なのです。しっかり記録を細かく残して自分の事は自分で守っていくようにしましょう。

⑨その他

・少し時間を置いて書く

メリットとして

・情報が整理できる

・感情を沈静化でき、客観化できる

・結果が出た後のほうが、出来事→対応→結果→考察などプロセスを関連付けて書けます。

・台詞は効果的に

台詞をそのまま逐語録風に書くとその場の雰囲気は伝わりやすいが、冗長な記録になりやすいというデメリットがあります。その為台詞は特に重要なものだけにとどめ、簡潔に要点だけを書くようにします。

・判断の根拠と結果を書く

ケアマネ業務には色々な判断が求められる。その際なぜ、その判断を行ったのか「根拠」を記載し、その判断による「結果」を記載します。

この時の判断が結果として間違っていても構いません。(全ての判断が適切などありえないからです)、大事な事はそういった事を記録していき、振り返りを行うことで判断の精度を上げていけるようにするということです。

・直感を無視しない

利用者の自宅を訪れた際「いつもと何か違う」と違和感を感じることがあります。この直感を無視する必要はないのですが、記録に残そうとする時はなぜそのような違和感を感じるのか「根拠」を探しそれを含めて記録に残してください。

・評価の対象はプランや支援行為

支援経過は評価を記載しますが、評価の対象は「利用者の頑張り度」ではなく、ケアプランの内容や一連の支援プロセスです。その為利用者、家族の喜怒哀楽をクローズアップしすぎないようにします。

「嬉しそう、悲しそう、寂しそう」などの表現には記録記入者の主観や思い入れのバイアスがかかっており、正確な記録の妨げになります。

まとめ

支援経過記録の作成ポイント

①タイトルをつける
②見出しをつける
③重複して書かない
④堂々と書く
⑤変化を書く
⑥事実を書く
⑦気持ちを書く
⑧苦情を書く
⑨その他

今回は支援経過記録を残す際のポイントをある程度紹介させてもらいました。何も意識せずに書くよりも「狙いや目的を持って記録を残す」ことで、自然とケアマネ業務の質も向上してきます。

いきなり全部のポイントを押さえようとしなくで良いので、まずはできそうな事から参考に記録を残してみてください。

ちょっとしたポイントを知って記録を残せるようになる事で、確実にデキるケアマネに近づき、ケアマネとして自信を持って働く事ができるようになりますからね。

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