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ケアプランの標準様式が変更になったのは知ってるんだけど、ケアプランを作る時に具体的に何をどう変えなきゃいけないのか分からない
令和3年4月からケアプランの標準様式が13年ぶりに変更になり、約1年が経ちました。
詳しい内容についてはコチラの記事に書いています。
これによりケアプランの作り方に様々な変更点が加えられているのですが、こういう悩みを持つケアマネが僕の周囲に大勢います。
色々文書で書かれているけど、だからといって何をどうしたらいいのかよく分からない
これです。確かにこの文書を読んだだけで
「なるほどね。ここをこう変えなきゃいけなくなったのね」
こんな風にすぐ理解できるケアマネのほうが少数派でしょう。実際僕もその一人です。
そこで今回は、僕が定期購読している「月刊ケアマネジャー」から、ケアプラン第1表の「利用者及び家族の生活に対する意向」の具体的な書き方について紹介します。
この記事の参考資料
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新しい「意向」の書き方とは?
まずは今回の新様式で、意向の書き方がどのように示されたのか確認してみましょう。
この欄はこれまでこのように示されていました。
利用者及び家族の生活に対する意向
そして、これが新様式で示された内容です。
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
赤字が今回追加された内容です。さらに記載要領がこちらです。
利用者及びその家族が、どのような内容の介護サービスをどの程度の頻度で利用しながら、どのような生活をしたいと考えているのかについて意向を踏まえた課題分析の結果を記載する。その際、課題分析の結果として、「自立支援」に資するために解決しなければならない課題が把握できているか確認する。そのために、利用者の主訴や相談内容等を踏まえた利用者が持っている力や生活環境等の評価を含め利用者が抱える問題点を明らかにしていくこと。
引用:介護保険最新情報VOL.958 居宅サービス計画書記載要領
赤字が今回で追加、変更になった箇所です。まとめると大きな変更点は4つです。
①「課題分析」という文言が標準様式にも反映された
②アセスメントで「利用者の意向を踏まえる」という前提をあらためて強調してきた
③利用者が「自身の課題をどれだけ把握しているか?」を確認する事を求めた
④利用者の持っている力(強み、長所、可能性)を明らかにする事を求めた
この4つの変更点を踏まえた上で、どのように意向を作る必要があるか?まとめるとこのようになります。
①強みや弱みを含めた「自覚できている事」を整理する
「意向を踏まえる」等とわざわざ示されましたが、ここは特に難しく考える必要はありません。本人がどのように生活したいのか?それを聞き取り記入するという基本に変更はありません。
ただし、より具体的にポイントを押さえた内容を分かりやすく示す必要があります。それが本人や家族が自覚できている強みや弱みです。例えばこんな感じです。
本人:「最近足が弱くなってきた歩きにくくなってきた。このままではいけないので何とかしたいと思っている」(自覚している現状の弱み)
長女:「父は昔から人一倍努力家で健康にも気を遣ってきた。(自覚している本人の強み)しかし、歳をとってきたせいか最近は歩くのも難しくなってきている」
長女:「父は昔から人一倍努力家で健康にも気を遣ってきた。(自覚している本人の強み)しかし、歳をとってきたせいか最近は歩くのも難しくなってきている」
この場合、弱みとしては足が弱って歩行が困難になってきている。一方で強みとして努力家で、元々健康管理への意識も人一倍高い事が強みという事になります。
②課題分析の結果は「今後の方向性」という欄を作って支援の方向性を示す
新しい様式では、アセスメントの結果をポイントを押さえて簡潔に示す必要があります。
そしてアセスメントの内容を書く以上「その課題の解決をどうするの?」という大まかな方向性を示す必要もあります。
そこで本書では「今後の方向性」という欄を意向に作って、支援の道筋を記入する事を勧めています。
でも、一体そこに何を書けばいいの?
そうですよね。何を書けばいいか分からないのでは困りますよね。しかし大丈夫です。書くべき内容は既に決まっています。それがコチラです。
①本人、家族の意向(目指したい生活や状態)
②そこに至る為にどのような課題があるか
③支援の方向性(①を達成する為にどう支援していくか)
④「本人が持っている力」を考慮した、実現可能かつ短期間で達成可能なビジョン
この4つを押さえるだけで、新様式に求められている内容を列挙する事ができます。
では実際にどのように書くか確認してみましょう。
新様式「意向」の書き方具体例
まずはこれまでのよくある意向の書かれ方から確認してみましょう。
本人:「一人でトイレをすることが難しくなってきたので、ヘルパーさんに手伝ってもらいながら家族に迷惑がかからないようにしたい」
長女:「デイサービスに行って運動をして、少しでも自分でできる事を増やしてほしい」
長女:「デイサービスに行って運動をして、少しでも自分でできる事を増やしてほしい」
よくありそうな意向の書かれ方ですが、一体何がダメなのか?それがコチラです。
・「できない事」の記載が優先され、それしか書かれていない
・「介護保険サービスありき」の意向になっている
・本人と家族の希望が掘り下げられていない
つまり、新様式に求められている内容を満たしていないと言えるのです。
逆に先ほど説明した4ポイントを押さえた上で、この意向を修正してみましょう。
①本人、家族の意向(目指したい生活や状態)
②そこに至る為にどのような課題があるか
③支援の方向性(①を達成する為にどう支援していくか)
④「本人が持っている力」を考慮した、実現可能かつ短期間で達成可能なビジョン
(修正例)
どうでしょうか?以前に比べるとかなりボリュームが増えますが、質がグッと上がっているのが一目で分かりますね。
最初は難しく感じますが、この4ポイントを意識して書くだけで利用者や家族から見ても何をどうすればいいか分かりやすい内容になります。
まとめ
新しい意向の書き方
これまで意向については、書き方が漠然としていて何となく書いていた人も多いと思います。
しかし今回の新様式で、どのように書く事が必要なのかハッキリしてきました。
是非ポイントを押さえた上で、素晴らしい意向を書いて、利用者や家族のモチベーションを引き出せるケアマネになってもらえればと思います。
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