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ケアプランの標準様式が変更になったのは知ってるんだけど、ケアプランを作る時に具体的に何をどう変えなきゃいけないのか分からない
令和3年4月からケアプランの標準様式が13年ぶりに変更になり、約1年が経ちました。
詳しい内容についてはコチラの記事に書いています。
これによりケアプランの作り方に様々な変更点が加えられているのですが、こういう悩みを持つケアマネが僕の周囲に大勢います。
色々文書で書かれているけど、だからといって何をどうしたらいいのかよく分からない
これです。確かにこの文書を読んだだけで
「なるほどね。ここをこう変えなきゃいけなくなったのね」
こんな風にすぐ理解できるケアマネのほうが少数派でしょう。実際僕もその一人です。
そこで今回は、僕が定期購読している「月刊ケアマネジャー」から、ケアプラン第1表の生活援助中心型の算定理由の具体的な書き方について紹介します。
この記事の参考資料
生活援助中心型算定理由の書き方は何が変わったの?
まず今回の新様式になって、生活援助中心型算定理由についてどのように文言が変わったのか確認してみましょう。
「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成 12 年2月 10 日厚生省告示第 19 号)別表の1の注3に規定する「単身の世帯に属する利用者」の場合は、「1.一人暮らし」に、「家族若しくは親族(以下「家族等」という。)と同居している利用者であって、当該家族等の障害、疾病等の理由により、当該利用者または当該家族等が家事を行うことが困難であるもの」の場合は、「2.家族等が障害、疾病等」に○を付す。また、家族等に障害、疾病がない場合であっても、同様のやむをえない事情により、家事が困難な場合等については、「3.その他」に○を付し、その事情の内容について簡潔明瞭に記載する。事情の内容については、例えば、
・ 家族が高齢で筋力が低下していて、行うのが難しい家事がある場合
・ 家族が介護疲れで共倒れ等の深刻な問題が起きてしまう恐れがある場合
・ 家族が仕事で不在の時に、行わなくては日常生活に支障がある場合
などがある。(「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」(平成 21 年 12 月 25 日老振発 1224 第1号)参照)
引用:介護保険最新情報VOL.958 居宅サービス計画書記載要領
赤字で書かれている部分が今回新しく追加された文言です。
結論を言えば、基本的な内容に変更はありません。ただし、これまでになかった算定理由についての具体例が示されたのが変更点です。
・ 家族が高齢で筋力が低下していて、行うのが難しい家事がある場合
・ 家族が介護疲れで共倒れ等の深刻な問題が起きてしまう恐れがある場合
・ 家族が仕事で不在の時に、行わなくては日常生活に支障がある場合
こういった具体的な理由を書きましょうという事です。
そんな不安を感じる人もいますよね。でも大丈夫です。厚労省が言いたいのはこういう事です。
これまでケアマネが書いてきた理由が薄いから、最低限これくらいの理由は書いてよね
その為わざわざ具体例まで今回記してきたという事です。つまりこれ以外の理由でも必要性があれば大丈夫です。
ただし注意点があります。それはどこにでもあるような薄い定型文的な理由は認められないという事です。
例えばこのような内容です。
・高齢による筋力低下の為
・家族の介護疲れ
・仕事で家族が自宅にいない
この記事を読んでくれてるあなたも、一度はこのような理由を書いた。もしくは見たことがあると思います。しかし今後はこの程度の内容では、生活援助中心型の算定理由として認められなくなります。
ではどうすれば良いのでしょうか?
生活援助中心型の「理由」の書き方のポイントとは?
まず生活援助中心型で理由が必要なのは、通知では3の「その他の理由」だけです。しかし2の「家族等が障害、疾病等」でも、実際はその障害の程度によって保険給付が妥当なのかどうかが変わってきます。
そして1の「一人暮らし」つまり独居であったとしても、本人ができる部分とできない部分についてのアセスメントをきちんと行った上でサービス提供しているのか?
そういった視点で今後実地指導やケアプラン点検などが行われる可能性が高くなっています。
つまり利用者の状況に関わらず、生活援助中心型の算定理由はきちんと示すのが間違いない対応になります。
では家族が同居している場合などはどのように書くのが良いのでしょうか?ポイントはコレです。
例えば以下のような事に関してアセスメントを深めていきましょう。
・日中不在
同居家族の⇒勤務時間、休みは何曜日なのか。結果としてどの程度不在になるのか?
・家族に病気がある
どのような持病を抱えており、結果としてどのような生活上の障害が生じているのか?
このような根拠をベースに、理由を書けば一気に説得力が増します
具体例
パターン①家族が日中不在の場合
・同居の長男は、朝の7:00に家を出る。帰ってくるのは夜の21時前後。休みは日曜日と祝日のみ。さらに月に5日程度県外への出張がある
・市内に長女が住んでいるが、長女も仕事で平日は8:00~18:00まで働いている
・よって日常的な家事は家族によるサポートが期待できない為、支援が必要
パターン②家族に病気がある
・同居の妻は85歳の高齢。関節リウマチを患っており手指の痛みが強い。その為掃除や洗濯といった身体に負担の大きい家事を行うのが困難な状態
・よって、掃除と洗濯は家族によるサポートが期待できない為、支援が必要
ポイントは家族による支援が難しい理由を「より具体的に」書く事です。
・家族の仕事の具体的スケジュール(勤務時間帯、週何回くらい仕事に出て不在になるのか)
・他の家族の介護や育児で、本人に関わる時間が無い
・病気や体調が理由の場合は、病名や具体的な障害の程度など
このように理由をより具体的に示す。「これが生活援助のサービスが必要な根拠ですよ」というのを、誰が見ても「あ~それなら仕方ないね」って思える内容にする。それが大切です。
まとめ
生活援助中心型の算定理由の変更ポイント
具体例が示された⇒より具体的に必要な理由を書く必要がある
理由の書き方のポイント
家族の日常的な負担が大きい事の具体的な根拠を示す
生活援助中心型の算定理由はこれまであまり深く追求される事はありませんでした。
しかし新様式以降は、算定理由が弱い場合、実地指導などで「不適切なケアプラン」とされる恐れもあります。
そのような事態にならない為にも、しっかり生活援助が必要な理由を明確にしておきましょう。
現実的な対応として、第1表には書ききれない為、別紙対応とするのがいいでしょう。その場合
「別紙アセスメントシート「生活援助中心型算定理由欄」を参照」
このようにして、どこを見ればいいのかすぐ分かる書き方をしておけば完璧です。
その為アセスメントシートも、新様式に対応できるようにカスタマイズしていく必要がありそうですね。
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