この記事で簡単に触れましたが、この記事では4大認知症の一つである「レビー小体型認知症」の特徴について紹介します。
レビー小体型型認知症とは?
レビー小体型認知症は、4大認知症の中でアルツハイマー型の次に多いとされており、全体の約2割程を占めています。進行はアルツハイマー型より速い事が多いです。
原因はαシヌクレインというタンパク質が大脳だけでなく脳幹部や末梢自立神経にまで広く異常沈着することが原因です。その神経細胞の中にできた構造物を見つけた人がレビー博士であり、そこからレビー小体という名前がつきました。
画像元:相談e-65netより
※上記画像の丸い部分がレビー小体と言い、球円形の形が特徴です。
・女性よりも男性に発症者が多い
・パーキンソン病と酷似した症状
という特徴があります。
アルツハイマー型認知症の症状
①パーキンソン症状
- ゆっくりとした動作になり、歩幅も狭くなる
- バランス、足取りの悪さ
- 突進しても止まれない
- 手足の振るえ
- 猫背姿勢
- 嚥下困難
- 弱々しい声
- 身体や表情が固くなる
上記のようなパーキンソン病に非常に酷似した症状が出現します。特に体の動かし辛さの影響で、他の4大認知症よりも転倒のリスクがかなり高くなります。
②自律神経症状
自律神経症状と言われる便秘や起立性低血圧による血圧変動、場合によっては失神することもあります。パーキンソン病による体の動かし辛さ以外にも、この急な失神が転倒リスクに繋がる事もあります。
③レム睡眠行動障害
人が夢を見るのは「レム睡眠」の時です。この時健康であれば何か行動を起こす事はありませんが、レム睡眠行動障害がある人は夢を見ている時に大声を出したり、何かを叩こうとしたり、歩き出そうとする等の行動を起します。
一緒に住んでいる加家族が眠れなかったり、本人が行動の結果怪我をするリスクがあります。
④幻視
パーキンソン症状に並んでレビー小体型の特徴的な症状にこの「幻視」があります。
「そこに知らない女の人がいる」や壁や天井のシミを見て「変な虫がたくさん這いずり回っている」等と言い出す事があります。
パーキンソン症状に加えて、この幻視が見られたらかなりの確率でレビー小体型であると思われます。
支援のポイント
①まず現状を把握する
レビー小体型の特徴として、発症の初期の頃は記憶障害もアルツハイマー型と比べれば保てれている事。また症状が出現している時と、そうでない時のレベルの差が大きいと言う特徴があります。
この特徴によって、夜間に大声を上げたり引きこもりがちになる等の様子が見られていても、病院で診察しても異常がなかったりすると、周囲の人達はお手上げ状態になり長期的に放置され、結果としてかなり症状が進行してからケアマネに相談が入る事があります。
病院はどこの病院でも良いわけではなく、内科などで異常が無いと言われても認知症専門医に診てもらうと診断がつくことがあります。その為、レビー小体型を疑うような症状がでていないか把握に努めます。
②転倒を防ぐ環境を整える
先述したように、レビー小体型はパーキンソン症状の影響で転倒のリスクが他の認知症よりも高くなる傾向があります。
まずは住環境と、普段どのような生活をしているのか把握し、つまずきやすい段差などの解消ができないか検討します。
また自律神経症状による起立性低血圧なども転倒の要因になります。正常時であれば問題ない動作も、血圧が下がった時には困難になることも考えられます。起立性低血圧がどの程度起きるのか把握し、頻度が多い場合は見守りができる体制でケアをすることも考える必要があります。
③アルツハイマー型とパーキンソン病との違い
・アルツハイマー型との違い
アルツハイマー型の際立った特徴である記憶障害は、レビー小体型では比較的軽度です。それに対して運動機能障害は著明で、注意障害や視空間の錯視、言葉の流暢性等の障害も見られます。
また意識がしっかりしている時と、ぼんやりしている時の「覚醒度の変動」はレビー小体型に特有で、アルツハイマー型のには見られません
・パーキンソン病との違い
レビー小体型は安静時の振戦が少なく、その一方で姿勢反射異常や仮面様顔貌、歩行障害はパーキンソン病より目立ちます。パーキンソン病治療薬への反応性が乏しいのも特徴です。
まとめ
✔ レビー小体型型認知症の特徴として、脳の神経細胞内にレビー小体という物質が発生して起きる。女性より男性に多く、パーキンソン病と酷似した症状が出現
✔ 主な症状に、
①パーキンソン症状
②自律神経症状
③レム睡眠行動障害
④幻視
✔ 支援のポイントとして
- まず現状を把握する
- 転倒を防ぐ環境を整える
- アルツハイマー型とパーキンソン病との違いを理解する
今回は4大認知症の一つ、レビー小体型型認知症の特徴について紹介しました。それぞれの認知症の特徴の違いを理解できれば、質の高いケアが行なえます。参考にしてみてください。
参考文献