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ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは?
ACPの3段階ステージ
ACPには健康状態や疾病のステージに応じて3つの段階があります。
第1段階
健康な全ての成人を対象に、ACPについて啓発し、最初の取り組みを始める段階。
主に市町村の保健師や地域包括支援センターの職員が中心となって健康教室の場等でACPについて情報発信していく。
第2段階
疾病や障害をもつ人、フレイルの状態にある高齢者などを対象にACPの実践を積み重ねていく段階。
この段階ではすでに何らかの医療やケアを受けている人が多く、現在進行形で支援や生活についての意思決定を行う。
「この先、人生の最終段階までどう生きたいか?」を本人や家族とともに話し合い、ACPを実践していく
第3段階
人生の最終段階にまで到達した人を対象にする最終ステージ。
人生の最期をどう過ごしたいか、自分らしい人生を送るための医療やケアについての選択を話し合う。
ケアマネジャーは主治医など医療専門職と十分に連携・協働しながら本人の価値観をよく知る存在としてACPを実践する
ケアマネジャーが行うACP実践とは?
ACPの基本的な考えや内容については理解できたとしても「じゃあ、具体的にどうやって実践すればいいのか?」という疑問があると思います。
片山陽子氏によると、特別なノウハウが必要なわけではなく僕達ケアマネが普段行っているケアマネジメントプロセスの中に自然に取り入れる事ができるようです。
①本人の価値観の確認
僕達ケアマネジャーがアセスメントやモニタリングの場面では、普段から利用者本人と話し合いをしながら、そのニーズに沿ったケアプラン作成をしていると思います。
そこで自然と確認しているのが本人の価値観です。例えば
- 家族に下の世話はさせたくない
- 若い頃大怪我した時もリハビリして仕事できるようになった。だから今回もリハビリを頑張って家でこれまで通り生活を送れるようにしたい
- 「早く向こうに逝きたい」という利用者(これまで金銭的に厳しい生活を続けてきた。今の自分に医療・介護の費用がかかっている事を分かっていて、家族に金銭的に負担をかけたくないという思いがあっての発言)
こういった価値感を理解しておくことが、ACPにとって最も大切な事になります。
②信頼関係を作っておく
そもそもACPのような深い話題について話し合う時には信頼関係がメチャクチャ大事ですし、逆に信頼関係が無ければ行うことが不可能です。どれほど終末期ケアに優れた専門職がいたとしても、信頼関係がなければケアが行えないのです。
普段から信頼関係を築いている人だからこそ、人生の最期をどうするか。それまでどんな生き方をしたいか。表現することが難しい思いを語る事ができるのです。日頃からコツコツと信頼を積み重ねた先にACPの実践は可能になります。
まとめ
・ACPとは、本人が人生の最期まで尊厳をもって自分らしく生きる事ができるようにすること、死に方ではなく、死ぬまでをどう生きるかを支える為のアプローチ方法
・ACPの3段階ステージ
・ケアマネジャーが行うACP実践
最近は以前に比べると終末期のケアをする機会が増えてきました。その最前線で頑張らなければならない僕達ケアマネはこのACPについて最低限の知識は必要だと思い紹介させていただきました。
ただ難しく考える必要はないと思います。ACPはあくまで基本のケアマネジメントプロセスを丁寧に積み重ねた延長線上に、少し必要な要素を付け加えるスパイスのようなものだと捉えれば良いと思います。
恐れず、自信をもって利用者の人生の最期までしっかり支援できる専門職でありたいですね。
参考書籍