今回から住環境整備を場所別に分けてポイントをご紹介します。今回は「玄関」です。
玄関は外と中を出入りする際の場所であり、外出の機会が定期的にある場合は必ず通らなくてはいけません。しかし古い日本家屋は上がり框の段差などが高く、その昇降動作が難しくなっている場合があります。ではどのような環境整備をすればよいのでしょうか?
自分の足で歩ける場合
下肢筋力は低下しているが、まだ自分の足で歩ける人の場合は直接段差を昇降する事を考えてみましょう。
その時考えるのは「段差の軽減」と「つかまる場所を作る」事です。
段差の軽減で一番簡単なのは踏み台などの設置です。この踏み台はプラスチック等軽い素材の物だと、踏台の端のほうに足をかけた時、浮いたりして危険な事があります。木で作られてて重量感のある物のほうが便利です。ホームセンターなどでも売られています。
手すりですが、これは環境やその人の身体機能によってどこに、どの程度取り付けるのか変わってきます。住宅改修で壁に取り付けることもできますが、ここで優先的に考えたいのは福祉用具貸与で利用できる手すりです。
この手すりは置くだけの簡単な物で、値段も200~400円/月(1割負担)と非常に安価で使い勝手が良いです。さらに踏台付きの手すりもあるため、まずはこちらの利用を考えてみましょう。
ただし、全ての人に踏台も手すりも両方必要なわけではありません。市販の踏台があれば、玄関の靴入れを手すり代わりに使用すれば安全ならわざわざ介護保険を利用する必要はありません。
車椅子でないと昇降できない場合
車椅子が必要な場合はやはりスロープの利用が必要です。
スロープを選定する時に考えたいのは「勾配」つまり傾斜の角度です。
これは段差の高さに対して、スロープが長くなればなるほど緩やかになり、短いほどきつくなります。そしてスロープのレンタル金額は長くなればなるほど高くなりますし、重量も重くなります。勾配がきつすぎると介助の負担が重く、スロープの重量が重くなると力のない女性だと使用するのに負担になります。それらを考慮し、支援チームのメンバーの意見も聞きながら適切なスロープを選定しましょう。
また玄関の横幅が狭くて通常の一枚板のスロープが設置できない時は、レールタイプの物もありますので選択肢の一つにしてください。
そもそも玄関から昇降できない時
玄関が狭すぎて玄関から昇降ができない、等の場合の最終手段は「昇降機」の使用です。庭のスペースに取り付けて、居室などにある窓から直接出入りを試みます。
福祉用具貸与の中では高額な物になります。また設置できる場所のスペースなどに一定の条件がありますので、事業者に設置ができるかどうかの確認は必要です。
パッと見は取り扱いが難しそうに見えますが、基本は簡単なリモコン操作で昇降できますので、玄関からのアプローチが難しい人には検討してみましょう。
まとめ
玄関の住宅改修ポイントは
①自力で移動できそうな人は「踏台」「手すり」の検討
②車椅子の人はスロープの選定
③玄関から出入りが難しい場合は昇降機の設置
です。是非住環境整備の際に参考にしてください。